「6月の独り言」


6月22日

 随分と日記に間隔が空いてしまったのですが、特に書くことがなかったわけではなくて……いやむしろ色々あったんだけど何しろ書く暇がなくて……。最大の難点は6/8-9, 6/15-16の土日に休日出勤が入ってしまったことなのでした。別 にたいしたことをしている訳ではないのですが、どうしても外出が続くと疲れてしまって……。6/8(土)は実は話題の映画「小林サッカー」を観に行こうと誘われていたのですが、残念ながら休日出勤。観賞後の一次会にも間に合わず、二次会からのみの参加……とまあこんな調子。6/15-16は大阪行きで、「パソコン持っていって向こうで更新すれば?」と言われたりもしたのですが、なんせ持っていくのが面 倒臭い……。
 ホームページに書かなきゃならないネタとしては、上野の「プラド美術館展」(ルーベンスの「サトゥルヌス」に感動!)とか、映画「ブレード2」(なんでバンパイヤ達は光を遮断するスーツを持っているのに、それを着てリーパーズと戦わないんだ……?)とか、はたまたSFセミナーのレポートとか(もう一ヶ月以上経っているのに)、結構ストックはあるのでした。でも時間が経つと忘れちゃうんだよなあ……。

 この間巷ではサッカー人気で結構大騒ぎ。日本がロシアに勝ったときはロシアで暴動が起きたとか……スポーツマンシップにのっとり、勝つか負けるかではなくいい試合をすることが大事、なんて呑気なこと言ってられないんですね。ヘマしたら下手すると本国で殺されかねない……う〜ん、スポーツが今一つ好きになれない私には理解しにくい世界です。小学校の時、サッカーとかされられて、当然ながらボールなんか回ってくるはずもなく、しょうがないので愛想笑いしながらひたすら周りに合わせて走り続けていた……という嫌なシーンばかり思い出される……。日本もベスト16まで残ったんだからたいしたものだと思うのですが、お隣り韓国はなんか凄い。イタリアとかスペインとか、本場ラテンのサッカー王国を下してベスト4ですか! 最近映画の世界で元気がいいと思っていたら、サッカーも凄いじゃないですか。ついでながら最近アニメで「ヒカルの碁」とか観てるんですが、碁の世界も韓国って凄いんですよね。ここは一つフランス語を諦めてハングル語を勉強するか?(お前ね、英語だってろくなもんじゃないくせに……)なんにせよ、元気のあるということはいいことです。日本はやっぱり気迫で負けているような気が……。余談ですが、対イタリア戦で得点を決めた韓国の選手が、実はイタリアのチームに在籍していて、今回勝った直後に除名されたとか……。ヲイヲイ、スポーツマンシップの世界はどこに〜? なんでもその選手がイタリアのサッカーを侮辱した発言を行ったからというのが理由なんだそうだけど、どーにもすっきりしない。ラテン系の人達にはもっとあっけらかんとしていて欲しいのに、ことサッカーに関してはやたら執念深いような気が……。
 スポーツに熱中しない者から見ると、オリンピックにしてもワールドカップにしても、この手の「なんかすっきりしない話」ってやたら目に付くのでした。スポーツ漫画の好きだった私としては、ドーピングとか怪しい判定とか横槍を入れる委員会とか、とってもうさんくさく感じる……いや、むしろこれからはそっちをネタに使ったほうが新鮮なのでは? 自分はスポーツなんかしないくせに影で勝敗の鍵を握り、選手達の汗と涙を踏みにじる「闇の存在」をメインに描くサスペンス……漫画にしたら「ああ、あるある、そういうのって……」とか言われてウケるんじゃないかと思うんだけど、どうでしょうか


6月4日

 東京ビッグサイトで行われている国際ワイン・リキュール見本市「VINEXPO2000」に参加。なるべく珍しいワインを探そうと、イスラエルやレバノンなどのあんまり人のいないコーナーを好んで回ったのでした。意外に南アフリカの物に濃厚で飲みごたえのあるものを発見したり、昔飲んでえらく価格の割においしいと思ったカリフォルニアの「ルネッサンス」に巡り合ったり(見かけないと思っていたら、浦安ブライトンホテルの独占販売になっていたのね……)。
 夕方からはレセプションホールであの田崎真也氏のパネルディスカッションに参加。以下はその時のレポート。

   講師:田崎真也氏    
   渋谷康弘氏(ホテルインターコンチネンタル「ラ・プロヴァンス」副支配人)    
   阿部誠氏(第11回世界ソムリエコンクール日本代表)    
   山本諭氏(「ミクニマルノウチ」シェフソムリエ)    
   石田博氏(「トゥールダルジャン」ソムリエ、第10回世界ソムリエコンクール第三位 )    
   佐藤陽一氏(六本木「マクシヴァン」代表)

  今回は日本で二度目のEXPO。前回は日本で紹介されていないワインを用意したとのこと。講演出席者全員にワインが配られました。白ワイン1種、赤ワイン2種、透明のお酒1種、琥珀色のお酒1種の計5品。田崎氏が参加しているソムリエのメンバーにブラインドティスティングしてコメントを求め、その後にディスカッションをするという形式。
・ブラインドテイスティング(1)〜白ワイン:石田氏コメント  
   外観〜濃いイエロー、少しゴールド、透明感あり、成熟度は高そう。  
   香り〜上品、熟したフルーツ、白桃、ゴールデンデリシャス、樽のロースト香もあり。ニュートラル。香り自体は強くはない。ミネラル感あり。やや若い。温暖なエリア。  
   味〜豊かな酸味。ストレートな印象。アルコールのボリューム感強い。余韻残る。 成熟度高い。日照量豊かなエリア・ビンテージ。  
   料理〜身の厚いスズキやヒラメなどの魚。レモンを加える。根菜。ミネラルあるもの。供出温度は10℃。  
   シャルドネ種、アメリカ〜モントレ以南・オレゴン、樽熟タイプ、99年、4,500~5,000円
   <正解>  日本、シャトーメルシャン「北信シャルドネ」2000年、Alc.12.7%、5,000円  マロラクティック発酵、寒暖の差のある気候、酸はしっかり。
  これはやられましたね。北信シャルドネは今年1月のワインスカラの飲み会で飲んだばかり。飲んだことがないとは言えません。私も多分南半球のシャルドネかな〜と思ったけれど、それにしてはやや重くはなく上品な味だったので、まさしく「言われてみれば〜」という感じでした。以下は石田氏と田崎氏の会話から。
  石「来店客は高級志向。良い時間を過ごしたいと考えているので、お客さんはあまりメニューを開かないですね」
  田「問題点は?」
  石「セクショナリズム。リクエストがスタッフ全員に伝わりにくいこと」
  田「一般の人にとって、高級レストランはワインが高い、というのが第一印象では?」
  石「当店ではボルドーが七割、残りブルゴーニュ、それ以外の地域は10%以下。他の地域のものを揃えても売れないのが現状です」
  田「高級レストランではソムリエがむしろうるさいとされるイメージがあるのでは?」
  石「客の雰囲気を見て判断しています」
  田「日本のレストランはフランスワインが主力であり、パリと比較しても必ずしも値段は変わらない。むしろ掛け率は日本の方が低いくらい。それでも問題があるとされるのは? 全体の額に対して払った価値がないと受け取られていないか? サービスが満足のいくものであれば払った価値はあると感じるはず」
  山「ミクニマルノウチは高級レストランではないけれど、一般に高級レストランは空間にしても諸経費にしても無駄 は多いです。無駄が価値に通じていたり。非日常空間でありつづける必要があるのでは?」
  田「お客様ありきのはずだが、フランスの流儀をそのまま使用してよいのかどうか?」
  石「フランスはある意味誇りをもってサービス業に臨んでいると思います」
・ブラインドテイスティング(2)〜赤ワイン:渋谷氏コメント  
   外観〜やや赤みのあるルビー色、エッジは赤み強い。熟成感あり。  
   香り〜果実からの印象強い。チェリー、イチゴなどベリー系の香り。花香。優雅。  
   味〜はつらつとした酸、穏やかでやさしさのあるタンニン、Alc.12~13%、フィニッシュもシンプルでさっぱり。若々しさがある。  
   ピノタージュか。南アフリカ。2000年。樽の影響は少ない。3,500円。  供出温度は14〜16℃。  複雑なフレーバーの料理よりも、シンプルなフュージョン的料理。
   <正解>  アルゼンチンのマルベック「アルタ・ヴィスタ」。果 実感あり。酸さわやか。2,000円  国のオリジナリティを大事にしている。
 若くて、かつ苦渋味もしっかりあり、しかもどこかクセがある……ということで、私の予想はスペインのリオハ。見事に外れました。アルゼンチンのマルベックは一度試験のためにトラピチェのワインを自分で買ってきて飲んだことはあるのですが、なじみがあるとは言い難い……。うーん、難しいです。
  渋「サービスではなく主としてスタッフ全員の教育を業務としています。オリジナリティのあるワインを選んでいます。何故それを選んだかを明確に伝えなくてはならないし、かつ利益も確保しなければならないところが難しいですね」
  田「現状のコストとワインの限界率は?」
  渋「日本のホテルの殆どがそうですが、利益のとれないような金額で常備しています。原価率は40%まで」
・ブラインドテイスティング(3)〜赤ワイン:山本氏コメント  
   外観〜やや青みのある紫。若い印象。色素強い。ガーネット。  
   香り〜はなやかな印象。熟成前だが濃縮度高い。フレッシュな赤。スワリングするとジャムの香り。木のロースト香、バニラの香り、ローリエ、紅茶、チョコレート、コーヒー豆、甘苦い素材を連想させる香り  
   味〜果実味が中心、酸はやさしい。タンニンもやわらか、しなやか。まろやか。丸くまとまっている。軽い酸味。  
   長野・新潟のマスカットベリーA、もしくはジンファンデル
   <正解>  ポルトガルのトゥリガ・ナシオナル100%「グラン・ダルテ」2000年、上質なポート用の品種で作った辛口の赤。 果実味豊かな個性。
  世界中で個性のあるワイン作りを目指していて、95年以降その傾向が強い……ということを反映しての選択だとか。しかしポルトガルのこのワイン、日本未入荷だそうで、そんなの分かる訳ないじゃん! ちなみに私の予想は、コクがある中でやや甘味もあるということで、オーストラリアのシラーズ……全然違いましたね〜。
  山「『ミクニマルノウチ』は、昼間はビジネスマン対応。開店後半年で大分落ち着いてきました。ビバレジの利益率は10〜20%」
  田「30%が理想ですね」
・ブラインドテイスティング(4)〜日本酒:佐藤氏コメント  
   外観〜かすかに黄色を帯びた透明。粘性あり。水に近い外観。  
   香り〜白い花の香り。水芭蕉。酵母の香り。米の香り。木樽のかすかなニュアンス。  
   味〜アタックなめらか。米の甘味を感じる。ライチやアプリコットの味わい。アルコール15度。6〜8℃で飲める。やや甘味あり。  
   寒いところで飲み続けられる吟醸酒。ホヤ、海苔などと合わせられる。
   <正解>  伏見の純米酒「松竹梅」。品種は五百万石。アルコール16〜17度。一升瓶\2,500。
  やはり、というか当然ながら甘口の日本酒でした。コクもあるので吟醸というよりは純米でしょう、と私も思ったのですが、さすがに産地までは……。
  田「海外のソムリエが日本のソムリエに聞きたがることは日本のワインであり、日本酒・焼酎でもあるわけです。しかし日本のソムリエは意外にその分野に弱いようです」
  佐「ソムリエとしては、全てのワインについて把握したいと考えています。」
  田「オーナーとして、スタイルを変えたいことは?」
  佐「ワインを好きな人ほど単価が高くなる傾向にあります。自分の妥当と思う値段を付けるようにしたいと考えています」
  田「ソムリエの自己満足でワインを集めてはいけないと思います。経営・マネージメントの部分を忘れていないかどうかが問題です」
  佐「オーナーソムリエとしては、まず店を潰さないことが重要ですね」
  石「ワイン選びは自己啓発。この店に向いているかどうかが第一前提となります」
・ブラインドテイスティング(5)〜デザートワイン:阿部氏コメント  
   外観〜濃い色調。粘性高い。  
   香り〜強いアンズやジャムの香り。ピューレ。蜂蜜。樽香、花香。  
   味〜濃厚でリッチな味わい。酸の印象きれい。上品でエレガント。余韻は7〜8秒。アルコール12%。供出温度12℃。黄桃・タルトに合う。フォアグラのムースなど。  
   ロワールのシュナンブラン種。おそらくはボンヌゾー98年。樽熟。
  <正解>  カナダのアイスヴァイン。ヴィダル種使用。
  飲んだ瞬間にアイスヴァインだと思いました。貴腐ワインならもう少し違った樽というか樹脂のような香りがあるはず。シュナンブランのボンヌゾーとは、少々考えすぎのような……最も、先の赤ワインの内容からすると、かなり変わったものが出されるのではと警戒したくなるのも道理。阿部氏の後に石田氏がコメントを受け継ぎ、見事カナダのアイスヴァインと断定。カナダとは……さすがに産地までは思いつかなかったなあ。
  田「コンクール出場への抱負は?」
  阿「一人の人間としてのスタイルを確立して臨みたいと思っています」
  石「世界ソムリエコンクールはコミュニケーションが最大の目的だと考えています。その期間中どれだけ情報交換ができるかが重要ですね。日本のソムリエに対していい目で見てもらえるように……」
  田「出場するからにはまず自分の為に勝たなくてはならないと思います」
 
 以上、なかなか面白いディスカッションでした。本物の田崎氏も見ることができたし(←ミーハー……)。しかし、出された物は特に赤などはかなり難易度が高いうえに、指名されて銘柄を外した後ではそうそう偉そうなことは言えなくなってしまったんじゃ、と少々参加メンバーには同情したくなるような。どうせなら田崎氏御本人にもブラインドティスティングに参加して世界コンクール一位 の実力を見せつけて欲しかったですね。 


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