Via Vino
No. 105 "Wine & Cheese"
<ワインとチーズ>
<日時・場所>
2025年12月6日(土)18:00〜21:00 広尾「マノワ」
参加者:18名
<今日のワイン>
発泡性・白「ユレ・フレール・アンヴィタシオン・キュヴェ・ド・レゼルヴ・マグナム」
辛口・白「ポール・ブルケール・リースリング・グラン・クリュ・ケフェルコプフ」
辛口・赤「フレデリック・マニャン・モレ・サン・ドニ・プルミエ・クリュ・クロ・ボーレ2017年」
辛口・赤「ヤレック・アレノ&ミシェル・シャプティエ・サン・ジョゼフ・クロワ・ド・シャボ 2022年」
甘口・白「シャトー・クーテ・バルザック 2016年」
<今日のディナー>
マノワのアミューズ(サバとカキ/アマエビとカリフラワーのムース/エゾジカのソーセージ)
寒ブリ・発酵キウイ・ビタミン大根・ライムのソース
スコットランドの山うずら
函館のヒグマ
チーズ盛り合わせ(マノワ熟成サントモール・ド・トゥーレーヌ/モンドール/ルブロッション・サヴォワ/ロックフォール/タンタカ1年熟成(北海道酪恵舎が作るパルミジャーノ・レッジャーノ))
能登栗/洋梨/お茶菓子






1.チーズの製法
チーズは、牛や山羊や羊等の乳に、乳酸菌や凝乳酵素(レンネット)を加えて、乳成分(たんぱく質)を凝固させて豆腐のような白い塊、凝乳(カード)をつくり、そこから乳清(ホエイ)を取り除いて造られる発酵食品です。中にふくまれる乳酸菌が生きているので、時間が経つごとに味が変化し、「食べごろ」が楽しめるのが魅力です。良質の脂肪、タンパク質、カルシウムやリンなどのミネラルやビタミンを多く含み、足りない栄養素はビタミンCと食物繊維くらいとされている、おすすめの栄養食品と言えます。
2.チーズの種類
【フレッシュ】
固めたミルクからある程度水分を抜いてできたもの。水分が多く、軽い酸味が特長です。鮮度がおいしさを左右するので、早めに食べ切る必要があります。モッツァレラやカッテージチーズなど。
【ハード/セミハード】
プレスして、数ヶ月から数年間熟成させたもの。非常に硬質で、濃厚な旨みのあるチーズに仕上がっています。ゴーダ、エダム、コンテ、パルミジャーノ・レジャーノ、ミモレットなど。
【白カビタイプ】
チーズの表面に白カビを吹き付けて熟成させたもの。切断した内部はクリーム色で、熟成が進むにつれて中身がやわらかくなっていきます。カマンベール、ブリ・ド・モー、シャウルスなど。
【青カビタイプ】
青カビは空気が必要なので、固めて水を切った凝乳に青カビをまぶしてから形をつくります。風味が強烈でかなり塩味が強いのが特徴です。フランスのロックフォール、イタリアのゴルゴンゾーラ、イギリスのスティルトンが世界三大ブルーチーズとされています。
【ウオッシュ】
チーズの表面についている菌で熟成させますが、数日ごとに表面を塩水や地元の酒で洗います。独特の匂いがある、通向きのチーズです。エポワス、ポン・レベック、モンドール、ラングル、リヴァッロなど。
【シェーブル】
山羊の乳でつくられたチーズで、牛乳からつくるチーズより歴史は古いと言われています。個性的で独特の酸味があります。ヴァランセ、クロタン、サントモールなど。


3.試飲







「ユレ・フレール・アンヴィタシオン・キュヴェ・ド・レゼルヴ・マグナム」 (タイプ:白・辛口・発泡性、品種:ムニエ45%+ピノ・ノワール40%+シャルドネ15%、産地:フランス/シャンパーニュ/モンターニュ・ド・ランス)
ユレ・フレールはモンターニュ・ド・ランスの東、「ベレッシュ」など実力者が多いリュ―ド村で、1960年代から家族経営を続ける歴史ある造り手です。「アンヴィタシオン」に加えるのは、1982年からソレラ・システムで熟成させた特別なリザーヴ・ワインです。シェリーのソレラ・システム同様、毎年1/3を残して新しいヴィンテージを継ぎ足しています。複数のヴィンテージが合わさる事で、バランスが良く、かつ複雑な味わいを実現させています。マノワさんの3種のアミューズ(サバとカキ/アマエビとカリフラワーのムース/エゾジカのソーセージ)、そしてキャビアと共に味わいました。



「ポール・ブルケール・リースリング・グラン・クリュ・ケフェルコプフ」 (タイプ:白・辛口、品種:リースリング100%、産地:フランス/アルザス)
ポール・ブルケールは、8世代に渡り伝統を守るアルザスの名門の造り手で、その品質とコストパフォーマンスの良さは、フランス国内でも認められており、生産の7割弱がフランス国内で消費されています。特級畑「ケフェルコプフ」で収穫されたぶどうを使ったリースリングは、美しく輝くライムグリーンがかった若々しいレモンイエローの外観で、白桃、青リンゴなどの新鮮なフルーツと白い花の爽やかなブーケ、心地よい酸味と、果実味のバランスが素晴らしい、アルザスの伝統的な味わいに仕上がっています。寒ブリとともに楽しみました。



「フレデリック・マニャン・モレ・サン・ドニ・プルミエ・クリュ・クロ・ボーレ 2017年」 (タイプ:赤・辛口、品種:ピノ・ノワール100%、産地:フランス/ブルゴーニュ)
モレ・サン・ドニの名門ドメーヌ・ミシェル・マニャンのネゴシアン部門としてスタートしたフレデリック・マニャンは、5代目フレデリック氏により1995年に設立されました。手がける畑のほとんどがオーガニックやビオディナミを実践しており、樹齢40年以上の古樹ブドウを中心に選定されます。クロ・ボーレは特級クロ・デ・ランブレイの真下に位置する0.87haの非常に小さな畑で、石を多く含む赤みの強い粘土石灰質土壌がワインに力強さと骨格を与えています。スコットランドの山うずらのローストと共に頂きました。



「ヤレック・アレノ&ミシェル・シャプティエ・サン・ジョゼフ・クロワ・ド・シャボ 2022年」 (タイプ:赤・辛口、品種:シラー100%、産地:フランス/ローヌ) 「シャトー・クーテ・バルザック 2016年」 (タイプ:白・甘口、品種:セミヨン75%+ソーヴィニヨン・ブラン23%+ミュスカデル2%、産地:フランス/ボルドー)
アレノ=シャプティエは、ローヌの伝統的なワインの造り手であるシャプティエ社と、パリの三ツ星レストランで知られる著名なシェフのヤニック・アレノ氏が、「食とワインのペアリング」を視野に入れてコラボレーションしたブランドです。花崗岩の南東向きの斜面に広がる、厳選された葡萄畑で、樹齢30年の伝統的なゴブレ仕立てから手摘みで収穫された葡萄を使用し、木製タンクで3週間醸造、その後コンクリートタンクで熟成。黒系果実とスパイスの繊細な香り、力強い口当たりと余韻の長さが特徴です。函館のヒグマのローストと共に堪能しました。



ソーテルヌ・パルザック格付け第1級の「シャトー・クーテ」は、もともと13世紀に要塞として造られた起源を持ち、クーテとはガスコーニュ語でナイフを意味しています。バルザックの土壌は、隣接するソーテルヌの土壌と比べて、石灰分の多い粘土質で、畑の表土は20〜50cmと浅く、亀裂の入った石灰岩の岩盤の上を、シルトと砂、粘土が覆っています。ソーテルヌの貴腐ワインが絢爛で豪奢なワインだとすると、バルザックの貴腐ワインはやや酸味が強めで、優美でバランスが良いワインになります。10年近い熟成を経て、輝きのある琥珀色と蜂蜜のような芳香が楽しめる奥深い味わいとなっていました。ロックフォール、そして能登栗のケーキと共に楽しみました。
4.チーズ盛り合わせ






「サント・モール・ド・トゥレーヌ」 (タイプ:シェーブル、原料乳:山羊乳(無殺菌乳)、原産国・地域:フランス/ロワール) 「モン・ドール」 (タイプ:ウォッシュ、原料乳:牛乳(無殺菌乳)、原産国:フランス/ジュラ) 「ルブロション・ド・サヴォワ」 (タイプ:ウォッシュ/セミハード、原料乳:牛乳(無殺菌乳)、原産国・地域:フランス/サヴォワ) 「ロックフォール」 (タイプ:青カビ、原料乳:羊乳、原産国・地域:フランス) 「タンタカ1年熟成(北海道酪恵舎が作る、パルミジャーノ・レッジャーノ)」 (タイプ:ハード、原料乳:牛乳、原産国・地域:日本/北海道) <今回の1冊>
表皮に木炭をまぶした細長い円筒形をしていて、中心に型崩れを防ぐための藁が通されています。この藁には、生産者情報が刻印されています。若い状態ではやわらかなチーズですが、熟成が進むにつれて水分が抜けて硬くなり、表面は細かいしわがより、グレーに変化し風味が増していきます。1990年にAOP(EU統一の原産地統制呼称)を取得しました。熟成前は新鮮な酸味が特徴ですが、熟成後はナッツのようなコクが楽しめます。
表モン・ドールは、フランスとスイスの国境付近にあるドゥー県の最高峰「モン・ドール(金の山)」という山の名からきています。生産時期が8月15日〜3月15日、販売期間は9月10日〜5月10日までと限定されています。このチーズの外皮は厚めでクリーム色をしており、表皮を除いて、中身の黄色がかったトロリとした部分を味わうチーズです。やわらかいため、出荷するときはエピセアの木箱に入れます。濃厚なミルクの味にほのかな木の香りが入り混じった幻想的な味わいです。1981年にAOPを取得しました。
サヴォワ地方の言葉で「再び搾る」という意味の「ルブロション」が、このチーズの名前になったといわれています。オート=サヴォワの牧草地で地主が搾乳量を調べに来た後に、こっそり搾ったミルクでこのチーズを作っていたといわれています。若いチーズは非常に甘みがあり、熟成とともに甘みは消え、香ばしい風味になります。使用できる牛乳は、アボンダンス、タリーヌ、モンベリアルドという3種の牛に限定されています。1958年にAOPを取得しました。
真っ白なチーズの地肌に青カビの鮮やかな模様が美しいチーズです。独特のピリッとした刺激と、クリーミーな味わいのハーモニーが楽しめます。フランス南部の岩山にある小さな村・ロックフォール・シュール・スールゾン村が原産で、昔からこの村にある洞窟の中で熟成が行われていますが、この洞窟で熟成したものだけがロックフォールを名乗ることができます。ピリッと鋭い塩辛さと、羊乳独特のコクと甘みが特徴です。
白糠酪恵舎は、北海道白糠町の酪農家14戸と有志3名により2001年に創立されました。「タンタカ」は、イタリア・ヴェネト州のカゼアーリア・モンティー・トレンティーニ社のファビオ・フィンコ氏を白糠に招いて技術を学び製造しています。部分脱脂して12ヶ月以上熟成させた、ホールで35キロ以上ある超硬質チーズです。しっかりと熟成しているので、アミノ酸が豊富に含まれています。料理のまとめ役に最適な、王道のチーズです。
【小久保尊/山田コロ「図解・ワイン一年生2時限目・チーズの授業」(sanctuary books)】(2020年刊行)
「いつものワインを"神の一滴"に変える!」といううたい文句で、ワインとチーズのマリアージュを豊富なイラストで紹介しています。2015年刊行のベストセラー「図解・ワイン一年生」の第二弾ですが、普通なら「ワイン二年生」とでも題して、さらなるマニアックなワイン解説に進むかと思いきや、チーズをキャラクター化して紹介してくるあたりがなかなか意表を突いています。ただ外観にあまり際だった違いのない葡萄の品種を、ワインの味わいやスタイルによってキャラクター化するというアイデアは比較的受け入れられやすいと思うのですが、固形物で外観もさまざまなチーズそのものの見た目を殆ど載せずに、キャラクターのみ載せているというのはなかなか異色だなあと思った次第です。チーズそのものの写真かイラストを合わせて載せた方が今回は良かったのでは、という気も……。ちなみに第三弾は、「チーズと料理」かと思っていたら、2023年に刊行されたのは「コーヒー一年生」でした! まあイラストは同じ人ですが著者は違うので、続刊とは言えないかもしれませんが。