Via Vino
No. 106 "20th Anneversary & Hokkaido Wine"
<20周年記念・北海道ワイン>
<日時・場所>
2026年2月15日(日)17:00〜20:00 新宿「リストランテ・ベニーレ・ベニーレ」
参加者:23名
<今日のワイン>
辛口・白・発泡性「十勝スパークリングワイン・ブルーム白・限定醸造」
辛口・白「NIKI Hills HATSUYUKIケルナー 2024年」
辛口・白「山父純Cナリー シャルドネ紺 2023年」
辛口・赤「北海道ワイン 葡萄造りの匠・田崎正伸 木樽熟成ツヴァイゲルト 2020年」
辛口・赤「北ワイン中央葡萄酒 木村農園 ピノ・ノワール・プライベート・リザーヴ 2018年」
<今日のディナー>
自家製ポークパテ マンダリンオレンジ ラズベリー
いわて短角牛 ラザニエッテ セロリラブ
真鯛 アロスト 柚子クリーム フィノッキオ
いわて和牛 ブラッサート 赤ワイン ペペ・ヴェルデ
いわて地鶏卵 ”黄金の里” 青りんご ティラミス





1.北海道ワイン概要
日本の国土の22%、オーストリア一国に匹敵する面積を占める北海道は、低い気温と湿度の影響で、日本のワイン造りにおいて長野県と並ぶ活気ある土地となっています。全道のワイン用葡萄栽培面積は約450haに達し、2024年のワイン生産量は、国税庁データによると山梨の4,278tに次いで3,638tと、長野を抜いて全国2位となりました。ワイナリー数も右肩上がりで増えており、2025年4月現在で71軒となっています。 一方で、2019年を境に気候が変わり、温暖化により降雨や病虫害、鳥害の発生も増えており、葡萄品種の見直しなどが迫られています。
2.北海道ワイン産地 3.北海道ワインの歴史 4.北海道ワインの葡萄品種 5.試飲 「十勝スパークリングワイン・ブルーム白・限定醸造」 (タイプ:白・辛口・発泡性、品種:ケルナー、シャルドネ、清見他、産地:日本/北海道/十勝) 「NIKI Hills HATSUYUKIケルナー 2024年」 (タイプ:白・辛口、品種:ケルナー100%、産地:日本/北海道/余市)
農業研究センターの試算では、2030年に道内ほぼ全域でワイン用葡萄の栽培が可能になるとされていますが、現在は温暖な果樹地帯の後志エリア、寒暖の差がある空知エリア、積雪の少ない道南エリアが、北海道ワインの三大産地とされています。
【後志(余市・仁木)】
北海道のワイン生産の中心地で、全体の42%の面積を占めています。余市・仁木を中心に30ものワイナリーがひしめいています。2025年2月には余市町とジュヴレ・シャンベルタン村の親善都市協定が締結されました。
【空知】
石狩平野の端に位置し、内陸で昼夜の寒暖差が大きく、葡萄にしっかりした酸が残ります。果樹地域ではなく、むしろ米や穀物が栽培されてきたエリアです。
【道南(函館)】
北海道の中では最も温暖で積算温度が高く、雪も少なくて樹の受けるダメージが少ない点が特徴です。2016年にはブルゴーニュ地方の名門ワイナリー、ドメーヌ・ド・モンティーユが函館でワイン造りを行うプロジェクトを開始し話題になりました。
1876年 札幌に開拓使葡萄酒醸造所設立
1882年 札幌一帯の葡萄栽培総面積が100haを超える
1963年 十勝・池田町でワイン造りが始まる(のちの「十勝ワイン」へ)
1972年 富良野で試験醸造がスタート(研究所設置→のちの「ふらのワイン」へ)
1973年 道南・七飯で「はこだてわいん」設立
1974年 北海道ワイン(小樽)設立、余市で「余市ワイン」の醸造スタート
1988年 千歳ワイナリー創業
2010年 ドメーヌ・タカヒコ(余市)設立
2011年 余市町が「北のフルーツ王国よいちワイン特区」認定
2014年 仁木でNIKI Hillsが事業スタート(観光複合型のモデル)
2016年 ドメーヌ・ド・モンティーユ、函館でワイン造りプロジェクト始動
2018年 国税庁、北海道をワイン産地に指定、「GI(地理的表示) Hokkaido」設定……「北海道収穫葡萄100%使用」「北海道内で醸造・貯蔵・充填」「官能検査合格」
2019年 ド・モンティーユ、函館で植樹開始
2025年 余市町とジュヴレ・シャンベルタン村の親善都市協定が締結
【Kerner ケルナー】
1929年にドイツのヴュルテンベルク地方の研究所で、黒ブドウのトロリンガーと白ブドウのリースリングを人工交配させて生まれた白ブドウ品種です。ケルナーという名前は、ヴュルテンベルグ出身の詩人であり医師でもあるユリウス・ケルナーにちなんで名付けられました。日本では、冬場の気温がマイナス10度以下になる北海道でも栽培可能なブドウ品種として、1973年にドイツからケルナーの苗木が導入されました。現在、白ワイン用ブドウ品種としては北海道最大の栽培面積となっており、日本のケルナーの全醸造量の大半を北海道が占めています。
【Chardonnay シャルドネ】
シャルドネは、早熟で寒冷地の環境にも適応するため、ブドウ栽培の限界地区以外ならどこでも比較的容易に生育、成熟させることができます。そのため、世界中のワイン産地で栽培されています。樽の風味との相性が良く、樽熟成されたタイプが多いのも大きな特徴です。2010年代以降、北海道のトップレンジ白として急浮上、マロラクティック発酵を抑制し、ブルゴーニュ北部的なスタイルを志向する造り手が増加しました。海産物(ホタテ、白身魚、貝類)との相性で高い評価を受けています。
【Zweigelt ツヴァイゲルト】
1922年オーストリアのクロスターノイブルク栽培醸造学校のフリードリッヒ・ツヴァイゲルト教授によって開発されました。ブラウフレンキッシュとザンクト・ラウレントの交配によって造られ、開発当時はロートブルガーと呼ばれていましたが、後に開発者の名前からツヴァイゲルトと改められました。日本での栽培はその大半を北海道が占めています。寒さに強く北海道の気候での栽培に適しており、しっかりとした色調やタンニン、スパイシーな香りを持った赤ワインを生み出しています。
【Pinot Noir ピノ・ノワール】
ピノ・ノワールは繊細で気難しい品種のため栽培のハードルが高いことが特徴です。良質なブドウを育てるためには冷涼か温和な気候が必要で、病気にも弱いことから、他の品種に比べて栽培するのも醸造するのも難しく、限定的な条件の環境でしか栽培されていません。2000年代後半から2010年代にかけて、北海道ワインの国際評価を押し上げた象徴的品種となっています。単一畑・クローン選択・低収量栽培など、畑の個性を表現する方向性が進展しつつあります。




葡萄栽培による農業振興を第一の目的として設立された「十勝ワイン」は、寒冷地に適した葡萄栽培と独自品種の開発で知られています。「ブルーム白」は、瓶内二次発酵によって、北海道後志地方産のケルナーを中心に、シャルドネ、十勝池田町産清見などからつくられた辛口(Brut)タイプのスパークリングワインです。ケルナー種由来の爽やかな柑橘類をイメージするアロマと、バランスの良さが際立つ味わいが特長です。瓶内発酵ならではの、きめ細やかな泡と酵母由来のアミノ酸組成に特徴があります。自家製ポークパテと一緒に味わいました。



2015年のファーストヴィンテージから作り続けているNIKI Hillsのフラッグシップワインです。 余市町の安藝農園と廣瀬農園の樹齢40年近いケルナーと自社畑のケルナーを使用。キリッとした北海道らしい酸に加えて、アロマとテイストにおける層の厚みを出すために収穫時期に幅を持たせ、12℃での低温発酵にこだわっています。発酵には数種類の培養酵母を使用し、最終的にブレンドすることでNIKI Hillsでしか表現できない唯一無二のアロマとテイストに仕上がっています。洋梨やリンゴのコンポート、ハーブなどの爽やかな香りが印象的なワインです。いわて短角牛のラザニエッテと共に頂きました。



「山父純Cナリー シャルドネ紺2023年」 (タイプ:白・辛口、品種:シャルドネ100%、産地:日本/北海道/空知)
北海道三笠市にて4代にわたり農作業に従事してきた山父純Cナリーは、地域に根ざした農業、技術革新をつねに追従し、高品質なワインをつくることで評価の高いワイナリーです。ここの造るケルナー2007年を、10年以上経った2020年に開けてみて、パワフルな果実感が全く失われていないのに驚いたことが、北海道ワインに注目するきっかけとなりました。現在は残念ながらケルナーやドルンフェルダーの生産は中止しており、国際品種に特化しています。シャルドネ紺は、三笠市達布の自社圃場にて栽培した樹齢8年から26年のシャルドネをホールプレス後野生酵母で樽発酵させたもので、麦わらのような色調があり、グレープフルーツや黄色い花、鉱物を思わせる複雑な香りで、柑橘系果実のフレッシュな味わいとなっています。土地の個性を感じられる静かで冷涼な余韻が続くワインです。真鯛のアロストと共に愉しみました。






「北海道ワイン 葡萄造りの匠・田崎正伸 木樽熟成ツヴァイゲルト 2020年」 (タイプ:赤・辛口 品種:ツヴァイゲルト100%、産地:日本/北海道/余市) 「北ワイン中央葡萄酒 木村農園 ピノ・ノワール・プライベート・リザーヴ2018」 (タイプ:赤・辛口、品種:ピノ・ノワール100%、産地:日本/北海道/余市)
ワイン専用の葡萄品種を昭和60年から植栽している、北海道余市町の「葡萄造りの匠」田崎正伸氏が育てたツヴァイゲルドを醸造し、セニエ法で凝縮感を高め、約1年間木樽で熟成させています。オーストリア交配品種ツヴァイゲルト特有の、ブラックチェリーのような赤い果実の香りと樽香がワインに溶け込み、まろやかな風味と深みのある味わいに仕上がっています。
山梨県を代表するワイナリー「中央葡萄酒株式会社」の経営一族の長男として生まれた三澤計史氏は、約6年間のアメリカ留学で化学を学んだのち、山梨県より遠く離れた北の地でワイナリー経営に取り組んでいます。北海道中央葡萄酒はピノ・ノワール栽培における北海道の可能性を信じて、1994年から余市町の凝灰質砂岩土壌の緩やかな東向きの斜面上に位置する木村農園と共にブドウ栽培を開始しました。フレンチオーク樽でおよそ8ヶ月間の熟成を行い、優れた約5樽のキュヴェを選抜して瓶詰め、その後ワイナリー石蔵内で保管した特別なピノ・ノワールで、力強い香りと余韻が印象的なワインです。どちらかというと淡泊な味わいの多い北海道のピノ・ノワールの中にあって、本場ブルゴーニュ産に近い力強い味わいを持ったワインとなっていると思います。いわて和牛のブラッサートと共に堪能しました。
<今回の1冊>
【荒井早百合「北海道のワインに恋をして」(海辺の出版社)】(2023年刊行)
「道産ワイン応援団(winecafe veraison」というお店を2011年に立ち上げた著者が、クラウドファンディングで500名以上の支援を取り付け、2008年に札幌に移住してから約6,000日、16年間をかけて取材してきた北海道ワインを一冊にまとめた本です。フルカラー130ページで、豊富な写真やインタビューを盛り込んだ、かなり贅沢な本に仕上がっています。北海道には多くのワイナリーが立ち上がっているものの、殆どは見学不可となっている場合が多く、その意味では北海道ワインの生産者を知るにはもってこいの著書だと思います。今回紹介した「北海道ワイン」や「千歳ワイナリー」はもちろん、「ドメーヌ・タカヒコ」や「10Rワイナリー」、「ド・モンティーユ」に至るまで、重要な生産者について知ることができます。