Via Vino
No. 67 "Champagne"
<シャンパーニュ>
<日時・場所>
2016年8月13日(土)12:00〜15:00 広尾「マノワ」
参加者:13名
<今日のワイン>
白・辛口・発泡性「ドゥラモット・ブリュット・マグナム」
白・辛口・発泡性「ヴァルニエ・ファニエール・アヴィズ・ブラン・ド・ブラン ・ブリュット・ゼロ・マグナム」
白・辛口・発泡性「ガティノワ・アイ・レゼルヴ・ブリュット・マグナム」
白・辛口・発泡性「エリック・ロデス・アンボネ・ブラン・ド・ノワール・マグナム 」
<今日のディナー>
【アミューズ】 青森県のムラサキウニと 魚介のタルタルとコンソメジュレ
【魚料理】 鮎のコンフィ コリアンダー、おかひじき、肝のソース
【肉料理】 広島県 ウリ坊のロースト
【デザート】 山梨県一宮町の桃のコンポートとシャンパーニュのムース/ハーブティー
1.シャンパーニュについて
「グラン・クリュを愉しむ!」
テロワールを表現するワインとしてのシャンパーニュ
シャンパーニュの格付けの頂点に立つグラン・クリュ
実際には現在最高のコスト・パフォーマンスを誇る
ブルゴーニュやボルドーと同様に、シャンパーニュにも格付があります。しかしその格付の根拠は分かりにくく、あまり浸透しているとは言えません。最上級の100%に格付された村が17ヶ所あり、グラン・クリュを名乗ることができるのですが、この「100%」は買い付け価格の上下を意味し、たとえば80%の村のブドウの最低保証価格は100%の村の8割に相当することになります。しかし、古い時代に導入されたこの制度は、EUによって自由競争を阻害するとして1999年に廃止され、既に過去の物となっています。
従って実質的にはシャンパーニュのAOCはただ1つで、その中に格付は含まれないことになっているのですが、品質の基準として、この17のグラン・クリュの優位性は歴史的にも味覚的にもはっきりしているので、やはり選ぶ基準としてなくてはならないものとなっています。シャンパーニュはブランドで選ぶもの、という慣習は根強く残っていますが、一方で他のワイン産地のグラン・クリュが桁外れに高価であるのに対し、シャンパーニュのグラン・クリュはそれほど差がないため、ある意味最高のコスト・パフォーマンスを誇ると言っても過言ではないのです。
グラン・クリュの畑は、全て白亜紀上部のチョーク層の上にあります。このチョーク層の厚みは300m近くにも達し、ランスからエペルネにかけて広がり、ピノ・ノワールとシャルドネが植えられています。アイより西側の肥沃な沖積土壌で覆われた土地では、グラン・クリュのようなミネラルが豊富で酸のしっかりしたワインを造ることは難しいとされています。
【モンターニュ・ド・ランス】
モンターニュ・ド・ランスは、「ランスの山」の意で、ランスとエペルネに横たわる標高300mに満たない森で、その裾野を取り囲むようにブドウ畑が広がっています。栽培の主体はピノ・ノワールで、9つのグラン・クリュがあります。ヴェルズネやヴェルジは北向きの斜面にあり、洗練した酸味を持つとされていますが、アンボネは東南斜面にあり、豊満な味わいのある、樽との相性の良いワインを生み出します。
【ヴァレ・ド・ラ・マルヌ】
マルヌ川沿いの日照に恵まれた南向きの斜面を中心に、ピノ・ムニエを中心に丸みのある充実したワインを生み出します。ここにはアイとトゥール・シュール・マルヌという2つのグラン・クリュがあり、特にアイは歴史的に最高のワインと評されてきました。ドン・ペリニヨンのいたオーヴィレールもこの地に位置します。
【コート・デ・ブラン】
エペルネから南に続く丘陵の東向きの斜面にブドウ畑が広がります。コート・デ・ブラン、すなわち「白い丘」と呼ばれるように、シャルドネが中心に栽培されています。6つのグラン・クリュがありますが、特にクラマンやアヴィズ、そしてル・メニル・シュル・オジェが有名です。
2.ワインテイスティング
「ドゥラモット・ブリュット・マグナム(NM)」(タイプ:白・辛口・発泡性、品種:シャルドネ50%+ピノ・ノワール30%+ピノ・ムニエ20%、産地:フランス/シャンパーニュ/コート・デ・ブラン/ル・メニル・シュル・オジェ)
ドゥラモットは1760年創業のシャンパーニュ・メゾンで、創業者フランソワ・ドゥラモットの長男ニコラ・ルイはマルタ騎士団のシュヴァリエ(騎士)として知られています。今日のドゥラモットは、その拠点をコート・デ・ブランのグラン・クリュのひとつ、ル・メニル・シュル・オジェ村に置き、あの幻のシャンパーニュ、「サロン」の姉妹メゾンという位置づけを担っています。瓶内熟成期間はブリュットNVでさえ30〜36ヶ月と長く、気品と複雑な果実味を堪能することができます。
「ヴァルニエ・ファニエール・アヴィズ・ブラン・ド・ブラン ・ブリュット・ゼロ・マグナム(RM)」(タイプ:白・辛口・発泡性、品種:シャルドネ100%、産地:フランス/シャンパーニュ/コート・デ・ブラン/アヴィズ)
ド・スーザやジャック・セロスといったビック・ネームのドメーヌが軒を連ねるコート・デ・ブランの聖地アヴィズ村。その中にあって異彩を放つのがこのヴァルニエ・ファニエールです。わずか5haの畑から、完璧な酸とバランスを持つシャンパーニュを生み出します。特に「ブリュット・ゼロ」はリキュールを全く加えることなく仕上げられており、まさにアヴィズ村のテロワールを再現した逸品であると言えます。豊かなミネラルの中に芳醇な果実味と、球体のような絶妙なバランスの良い余韻が感じられます。
「ガティノワ・アイ・レゼルヴ・ブリュット・マグナム(RM)」(タイプ:白・辛口・発泡性、品種:ピノ・ノワール90%+シャルドネ10%、産地:フランス/シャンパーニュ/ヴァレ・ド・ラ・マルヌ/アイ)
シャンパーニュ随一のピノ・ノワールを誇るグラン・クリュ、アイ村。ロマネ・コンティもポンパ・ドール夫人とコンティ公による争奪戦で有名ですが、アイ村はそれ以上に当時のフランスで最高峰の赤ワインとして崇められ、王侯貴族たちがこぞって畑を手に入れようと奔走したほど。アイ村の畑は殆どが南向きで、最高峰のピノ・ノワールを産み出しますが、その中でも最高の畑はアイの街のすぐ背後、冷たい北風が遮断される、マルヌ川沿いに落ちこむ急斜面と言われています。ガティノワは、これらの最高の区画を含む27区画をアイ村だけに所有しており、卓越したピノ・ノワールを用いて、あえてエレガントさとフィネスを優先させたワイン造りを行っています。
「エリック・ロデス・アンボネ・ブラン・ド・ノワール ・マグナム(RM)」(タイプ:白・辛口・発泡性、品種:ピノ・ノワール 100%、産地:フランス/シャンパーニュ/モンターニュ・ド・ランス/アンボネ)
アイ村とならんで類稀なるピノ・ノワールを産み出すことで知られるアンボネ村。ドメーヌは村の中心から教会を抜けて県道を越えた離れにあります。エリック・ロデス氏は、このアンボネ村の村長を務めていますが、ボーヌの醸造学校に学び、実家のロデズ家を引継ぐまでの間、名門クリュッグでチーフ・エノロジストとして活躍しました。クリュッグ仕込みの経験を生かしたアッサンブラージュと樽使いにこだわり、仕上がった葡萄は古い小樽を中心に新樽、大樽、ステンレスタンクなども組み合わせて醸されます。そして出来上がったベースワインはエリック氏によるアッサンブラージュの妙技を経て、芳醇でふくよかな、素晴らしいフィネスを持ち合わせた複雑深遠なる一瓶に集約されるのです。