Via Vino
No. 75 "Japanese Food & Sherry V"
<和食とシェリー5>
<日時・場所>
2017年11月11日(土)12:00〜15:00 汐留「なだ万・汐留47」(2018年12月28日閉店)
参加者:7名
<今日のワイン>
辛口・フィノ「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・フィノ」
辛口・フィノ「ウィリアムズ&ハンバート・ドライ・サック・フィノ」
辛口・アモンティリャード「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・アモンティリャード12年」
辛口・パロ・コルタード「ウィリアムズ&ハンバート・パロ・コルタード20年」
辛口・アモンティリャード「ウィリアムズ&ハンバート・ハリファ・アモンティリャード30年」
甘口・ミディアム「ウィリアムズ&ハンバート・ドライ・サック・ミディアム」
<今日のディナー>
【旬菜】赤水菜生木耳菊花浸し/銀杏胡麻豆腐アンチョビキャビア鮟肝和え/馬肉の黄身ソースかけ/北寄貝真菰酒盗クリーム和え
【蒸物】木の子スープ蒸し
【造り】鯛・鮪・烏賊
【煮物】京芋唐揚げ・蟹玉餡かけ
【焼物】目鯛柚香焼き
【食事】秋鮭きのこ釜炊き御飯
【デザート】スイートポテトプリン
1.インターナショナル・シェリー・ウィークを和食で祝う!
辛口から極甘口まで、多彩な味わいを持つシェリー。
現地では食前酒というよりもむしろ食中酒。
魚介類を中心とした日本料理とは抜群の相性を見せます。
日本ではシェリー、特にドライ・フィノ・シェリーは、代表的な食前酒として扱われています。しかし、現地スペインでは、バルなどでタパスなどと共に気軽に食中酒として楽しまれています。ヘレスやマンサニージャは海に近く、シェリーはそこで魚介類と一緒に飲まれています。アルコールが高く酸が低いところなども日本酒に通じるものがあり、日本でももっと親しまれて良いお酒だと言えるでしょう。
当初6月だった「インターナショナル・シェリー・ウィーク」、一昨年からは11月となりました。ここ日本でシェリー・ウィークを祝うのなら、やはり日本料理がふさわしいでしょう。
今年のインターナショナル・シェリー・ウィークのイベント登録数は、すでに、世界25カ国から1,000件以上。世界各地のレストラン、バル、ホテル、ワインショップなどで、シェリーのテイスティング、ペアリングメニュー、シェリーカクテルのサービスのほか、シェリーをテーマにした様々なイベントが催されます。今年は、リトアニアからも初参加。また、ワールドワイドなガストロノミー都市パリ(フランス)でも、シェリーイベントが予定されています。
2.ウイリアム・ハンバートについて
ウイリアム・ハンバートの歴史は1877年、シェリー愛好家で目利きでもあったサー・アレクサンダー・ウイリアムズと、国際情勢のエキスパートであるアーサー・ハンバートが共同でワイナリーを設立したことから始まりました。現在では欧州最大の熟成庫と最新の醸造設備を備え、創業当初から変わらぬワイン作りの伝統と市場における専門知識を受け継いでいます。 ちなみに、自社シェリーブランドの歴史は1888年の辛口タイプ「パンド」に始まります。その後、1906年には「ドライ・サック」により世界にその名を知らしめ、今日、シェリーマーケットにおける最大のブランドとして、世界100カ国以上に自社生産の優れたシェリーを輸出しています。
【ドライ・サック】
現在のシェリーにあたるヘレス産のワインは、その語源は不明とされていますが、16世紀には「サック」という名で呼ばれるようになり、シェイクスピアの作品にもたびたび登場しています。 一方でヘレス地方は、イスラム圏だった時代には「シェリッシュ」と呼ばれていましたが、ここから派生して、「シェリー」という呼び名も生まれます。 16世紀初頭に書かれた「愉快なシェリーの詩」には、「シェリー」「サック」「ドライ・サック」の三通りの呼称が使用されています。17世紀末以後は、「シェリー」の名が定着しました。 ウイリアム・ハンバート社の「ドライ・サック」は、オロロソやアモンティリャードなどをベースにペドロ・ヒメネスをブレンドしたミディアム・シェリーの代表格として、1960年代に英米で人気を博し、世界的に有名になりました。1959年にホワイト・ハウスで行われた晩餐会では、前菜にアモンティリャードではなくドライ・サックが合わせられ、歴史的なマリアージュとして記録に残されています。
3.ワインテイスティング
「ガウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・フィノ」
(タイプ:辛口/フィノ 品種:パロミノ100% 産地:スペイン/ヘレス アルコール度15%)
1877年、イギリス人のアレクサンダー・ウィリアムズが義父のアーサー・ハンバートと共に興した、スペイン最大のボデガを持つウィリアムズ&ハンバート社。同社が世界的名声を築き上げてきたルイス・パエス社の「ドン・ソイロ」ブランドを引き継ぎ、より優れた品質と長い熟成を重ねたシェリーとしてリリースしたのが「ウィリアムズ&ハンバート・コレクション」です。厳選したパロミノ種のファーストプレスの果汁のみを使い、ホワイトオーク樽でのソレラ・システムによる熟成を経て生まれる辛口のフィノで、かすかに緑色を帯び、輝く透明感のある黄色の色調があります。その香りはストレートで華やかで、すっきりとした酸味を持ちながらも丸みがあり、口中には熟成による繊細な複雑さが広がります。
「ウィリアムズ&ハンバート・ドライ・サック・フィノ」
(タイプ:辛口/フィノ 品種:パロミノ100% 産地:スペイン/ヘレス アルコール度15%)
ウイリアム・ハンバート社が1906年から展開している「ドライ・サック」のフィノ・タイプです。 ライトですっきりとした飲み口に加え、果実味の生きたフレッシュな酸が特徴的な逸品です。
「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・アモンティリャード12年」
(タイプ:辛口/アモンティリャード 品種:パロミノ100% 産地:スペイン/ヘレス アルコール度19%)
全面にフロールを生じさせてできるフィノに対し、アモンティリャードは樽の上面の70-80%しかフロールが生じないものを更に時間をかけて熟成させています。「12年」の表示はソレラ・システムによる平均熟成年数を示しています。トパーズのような魅力的な色合いと、ほのかな甘さを感じさせる豪直な香りが特徴 です。香ばしくローストしたニュアンスが 酸味と引き立てあい、その味わいを一層甘美に、かつ複雑にしています。中国料理やエスニックのスパイシーさや、熟成の進んだチーズ、ハム、ソーセージとの相性は最高です。
「ウィリアムズ&ハンバート・ドス・コルタドス・パロ・コルタド20年熟成」
(タイプ:辛口/オロロソ 品種:パロミノ100% 産地:スペイン/ヘレス アルコール度19.5%)
「パロ・コルタド」は、フィノにさらに酒精強化して熟成させたもので、「アモンティリャード」と「オロロソ」の中間的な性格を備えています。中でもこの「ドス・コルタドス」は、20年熟成されている古いソレラワインから造られます。わずかにドライフルーツ、ヘーゼルナッツのニュアンスを持つ複雑な香りを持っています。優れた酸味を持ちエレガントで力強い辛口。優れた食前酒。食後酒としても楽しめます。
「ウィリアムズ&ハンバート・ハリファ・アモンティリャード30年」
(タイプ:辛口/アモンティリャード 品種:パロミノ100% 産地:スペイン/ヘレス アルコール度19.5%)
30年以上熟成した証である「VORS」を取得しています。同社の展開するペドロ・ヒメネス「ドン・グイド」や、パロ・コルタド「ドス・コルタドス」と共に、プレミアム・シェリー「ソレラ・エスペシャル」として位置付けられています。色はマホガニー、アーモンド、ランシオ、そしてほのかなメープルの香りがあり、味は柔らかくスムーズで、フィニッシュにアーモンドの余韻が長く続きます。なめらかな舌触りが特徴で、非常に複雑で繊細な味わいを持っています。
「ウィリアムズ&ハンバート・ドライ・サック・ミディアム」
(タイプ:中甘口 品種:パロミノ、モスカテル、ペドロ・ヒメネス 産地:スペイン/ヘレス アルコール度19.5%)
ウイリアム・ハンバート社が1906年から展開している「ドライ・サック」のミディアム・タイプで、3つのタイプのシェリー、アモンティリャード、オロロソ、パロ・コルタードをブレンドしています。豊かなコクと香りを持つバランスの良いミディアムシェリーです。軽く冷やして食前酒としてなど、あらゆる料理との相性の良さが特徴です。
<今回の一冊>
【中瀬航也「Sherry」志學社】
PHPエル新書「シェリー酒」の著者、中瀬航也氏による14年ぶりの新著。表紙だけ見るとまさしく洋書なのですが、中味はれっきとした日本語の本です。「しぇりークラブ」「バル・デ・オジャリア」と、ギネス世界一のシェリー数を誇る店を経て、現在五反田で「シェリー・ミュージアム」を仕切られています。概要、製造、種類、カタログと4章に整理されていた前著に比べ、全25章に分かれた本書はやや内容が細分化されているきらいはありますが、この二冊を揃えておけばシェリーに関しては怖い物なしですね。