Via Vino No. 76 "Gibier & French Wine VI"
ジビエとフランスワイン6


<日時・場所>
2017年12月16日(土)18:30〜21:00 広尾「マノワ」 
参加者:19名
<今日のワイン>
白・辛口・発泡性「シャンパーニュ・ジェ・ビー・ドゥラランド・ブリュット」
白・辛口「ポール・ブルケール・リースリング グラン・クリュ・ケフェルコプフ」
赤・辛口「ジャン・フルニエ・マルサネ・キュヴェ・サン・トゥルバン 2015年」
赤・辛口「セレクション・マノワ・ジュヴレ・シャンベルタン・プリウール2014年」
赤・辛口「レ・ヴァン・ド・ヴィエンヌ・エリュイカム2014年」
<今日のディナー>
【アミューズ】
マノワの3種のジビエのアミューズ
【4種の国産ジビエ】
蝦夷あわびとヒグマのコンソメジュレ
埼玉県・真鴨のローストとアンディーヴ
北海道・函館の蝦夷鹿のロースト 蝦夷鹿のジュとビーツのソース
スコットランド産 雷鳥のロースト 雷鳥のジュとエピスソース
【デザート】
マノワの球体モンブラン

     


1.贅沢なジビエをフランスのワインで愉しむ!

土地の恵みを食べて育ったジビエは、凝縮された野生の旨味。

【羆(ヒグマ)】
 ユーラシアと北米に分布するヒグマと、東アジアに分布するヒマラヤグマ(アジアクロクマ)がいます。ヒグマは体重400kgにも達する大型のクマで、体毛は黒褐色、赤褐色、灰褐色など様々です。肉食傾向の強い雑食性で、各種の動物や、木の芽、果実などを食べます。肉は固いものの味にクセがなく、うっすらと甘さを感じる上品な風味と言われます。鮭が遡上する時期は肉に鮭の風味が移って味は落ちるとされ、むしろ果実を多く食べる時期が美味とされます。
【真鴨(マガモ)】
 北半球に広く分布し、日本には主として冬鳥として飛来します。水草などの植物を食用としており、血の色が濃く、野趣に満ちた味を持っています。雄の頭部は光沢のある緑色で、首にはっきりとした白い輪が見られ。雌は褐色で、黒褐色の模様があります。雌の方が脂肪層も厚く、風味も強いとされています。ちなみにコルヴェールとは「緑の首」という意味であり、日本語での真鴨の異称である「青首鴨」と同義語です。
【蝦夷鹿(エゾジカ)】
 日本に住む鹿には、北海道の蝦夷鹿と、本土の本州鹿(日本鹿)がいます。蝦夷鹿は本州鹿より大きく、雄は体重約140kg、雌は体重約80kgにもなります。肉は赤く脂肪は少なめで、2、3歳までの若い物が柔らかく味が良いとされます。本州に住む本州鹿は、体重約40kgから80kg、肉は赤身できめが細かく、蝦夷鹿よりもさらに柔らかで脂肪が少ないとされます。主として木の葉を食べるため、新緑の季節が良いという説もあります。ちなみにフランスで食べられている鹿の多くは、体重20kg前後の小型の野呂鹿ですが、体重300kg以上にもなる大型の赤鹿なども一部家畜化されています。
【雷鳥(ライチョウ)】
 多くの国で天然記念物となっている雷鳥ですが、スコットランドの赤雷鳥や、北海道の蝦夷雷鳥はジビエとして食べることが出来ます。赤雷鳥は寒帯や高地に広く分布するカラフトライチョウのスコットランド亜種です。寒冷地の鳥らしく、足の蹴爪近くまで羽毛が生えています。肉は赤身で独特の匂いがあり、かすかな苦味とコクのある微妙な風味を持っています。

2.ジビエについて

 ジビエを訳せば、「狩猟鳥獣」となります。日本で狩猟可能な鳥類には鴨、鳩、鴫(シギ)、雉(キジ)など、獣類では鹿、猪、熊、野兎などがあります。飼育された動物に比べ、運動量が多く、自然の餌を食べて育つジビエには、肉本来の旨味が段違いに含まれています。

 よいジビエには3つの条件があるとされています。ひとつは、ジビエの質が良いこと。鹿や猪は3歳以下の雌を選びます。日本では鳥類が北海道で10月、本州以南で11月、哺乳類は12月に入ってやっと解禁となります。ふたつめは、猟師の技術が高いこと。ストレスを感じないよう一発で仕留めた後、すみやかに内蔵を抜いて肉の温度を下げなければなりません。そして最後は、言うまでもなく料理人の技術が高いことです。3つのうちいずれが欠けても完璧なジビエ料理にはならないのです。

 昔はジビエといえば肉の熟成具合が重要とされ、キジなどは腐敗直前まで寝かせるとも言われていましたが、今では味を強くする熟成より、ある程度鮮度を重視するようにもなっています。毛や羽は殺菌作用があるので、保存の際には剥かずに冷蔵庫に入れます。

 豊かな自然資源を持つフランスでは、全国各地で狩猟が行われますが、狩猟人口が多いため、食用品種の多くは市場に出る前に狩猟家仲間同士で肉を分け合ってしまいます。現在では野生動物の保護のため、いったん飼育してから野へ放す半野生も多く、ジビエという言葉は野生鳥獣というより、むしろ狩猟品種自体を指す意味合いが強いようです。 食肉用として敷地内で飼育後、と畜されて市場に出るジビエ・エルヴァージュも少なくありません。また、半野生(ドゥミ・ソヴァージュ)と野生(ソヴァージュ)のジビエは市場やレストランなどでは区別するための表示は特になされていません。

3.ワインテイスティング
 
  

「シャンパーニュ・ジェ・ビー・ドゥラランド・ブリュット」
(タイプ:白・辛口・発泡性  品種:ピノ・ノワール 75%+シャルドネ 25%  産地:フランス/シャンパーニュ)

 「熟成期間が24ヶ月になるまでは販売しない」「最低2年分のワインをアッサンブラージュする」「フレッシュかつ軽やかでエレガントなシャンパーニュを生み出すこと」というシンプルなポリシーに即した醸造を行う、高品質な「マノワ・オリジナル」シャンパーニュです。淡い金色をまとい、細やかな泡立ちで、白いフルーツを思わせるフレッシュな香り。豊かな果実味にフレッシュさ、繊細さも兼ね備えた1本です。

「ポール・ブルケール・リースリング グラン・クリュ・ケフェルコプフ 2013年」
(タイプ:白・辛口   品種:リースリング  産地:フランス/アルザス)

 ポール・ブルケールは、7世代にわたり伝統を守るアルザスの名門です。アルザス・アンマーシュヴィアの農家としてぶどう栽培をスタート。父から子へと脈々と伝統が受け継がれ、現当主で7代目を数ます。環境に配慮したリュット・レゾネを実践。全生産の7割弱がフランス国内で消費されます。美しく輝くライムグリーンがかった若々しいレモンイエロー。魅力的なフレッシュ感と爽やかな花やフルーツのブーケ。白桃、青りんご、レモンバーム、ライムの花、ワイルドホップの花やフレッシュな苔を思わせる、心地よくクラシックなリースリングです。

   

「ジャン・フルニエ・マルサネ・キュヴェ・サン・トゥルバン 2015年」
(タイプ:赤・辛口   品種:ピノ・ノワール  産地:フランス/ブルゴーニュ)
 17世紀ブルボン朝、ルイ13世の時代の文献にマルサネ村の栽培家としして記述されているドメーヌです。2003年父ジャン氏よりドメーヌ運営を引き継いだローラン・フルニエ氏が目指すのは原点回帰、ブルゴーニュ古来の自然な栽培・醸造法。1993年より既にリュット・レゾネを行っていた畑にビオロジーを導入、少しずつ広げ現在は100%ビオロジックへ転換。マルサネ村を中心に16ha所有するうち、10haが樹齢40年以上という恵まれた高樹齢のぶどうを元に、丁寧な畑仕事で収量を抑え、多彩なテロワールと収穫年の特徴を忠実に表現しています。

「セレクション・マノワ・ジュヴレ・シャンベルタン ・プリウール2014年」
(タイプ:赤・辛口   品種:ピノ・ノワール  産地:フランス/ブルゴーニュ)

 セレクション・マノワは、マノワのオリジナルワインです。オーナーソムリエ中村豪志氏が自らフランスへ赴き、真摯に取り組む優良生産者と交流を深め、畑を視察し、試飲を重ね、ワインをセレクトしています。どのアイテムも自信を持ってお薦めできる高品質なブルゴーニュワインです。このワインも非常に有名な生産者に作って頂いているとのことです。  ジュヴレ・シャンベルタンは、パワフルで男性的、非常に長命です。色調は深いルビー色。しっかりとした酸とミネラル、そしてタンニンは長期熟成を可能とし、熟成するとビロードのような口当たりを生みます。

「レ・ヴァン・ド・ヴィエンヌ・エリュイカム2014年」
(タイプ:赤・辛口  品種:シラー  産地:フランス/ローヌ北部)
 1996年に、北ローヌで評価の高いフランソワ・ヴィラール氏、ピエール・ガイヤール氏、イヴ・キュイユロン氏が、古代からの畑「セイシェル」を再興させ話題となったドメーヌ兼、ネゴシアンです。1995年に購入した25haの畑は、古代ローマ時代から存在する歴史の古い畑で、当時はコート・ロティよりはるかに評価の高い場所でした。ピエール・ガイヤール氏は、栽培・醸造を学んでいた学生時代に読んだ書籍によって、セイシュエルの過去の栄光を知り、後に知り合い、意気投合したイヴ・キュイユロン氏、フランソワ・ヴィラール氏とともに文献を調べ、現地調査するうちに、セイシュエルの丘が対岸のコート・ロティとテロワールが酷似しており、素晴らしい可能性を秘めていることを確信しました。特にこの「エリュイカム」は、2000年と2001年に植えたソタナムの若木のものと1997年に植えた城跡の下部のストラクチャーの強いものをアッサンブラージュしています。 「エリュイカム」とは、ギリシャ神話の太陽の神、ヘリオスに由来します。

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