Via Vino No. 88 "Gibier & French Wine VIII"
ジビエ&フランスワイン[


<日時・場所>
2019年12月7日(土)18:30〜21:00 広尾「マノワ」
参加者:22名
<ワイン>
辛口・白・発泡性「ガティノワ・グランクリュ・アイ・マグナム 」
辛口・白「サン・ロマン・ブラン・セレクション・マノワ 2014年」
辛口・赤「ドメーヌ・ラペ・ペルナン・ヴェルジュレス・レ・ベル・フィーユ 2013年」
辛口・赤「シャトー・バデット・ラ・カバンヌ 2012年」
辛口・赤「ボンスリーヌ・コート・ロティ・ラ・サラジンヌ 2011」
<ディナー>
【アミューズ】  
マノワの3種のジビエのアミューズ
【4種の国産ジビエ】  
岐阜県天然鴨のドディーヌ、山梨県・芦安のリュバーブと共に
北海道・岩見沢の高麗キジのコンソメ仕立て
和歌山県・紀の川市のイノシシのパイ包み焼き
北海道・ヒグマのシヴェ、ジュニパーベリーの香り
【デザート】  
いちごとマノワのシャンパーニュのムース

     


1.「ジビエについて」

土地の恵みを食べて育ったジビエは、凝縮された野生の旨味。  

【真鴨(マガモ)】
 北半球に広く分布し、日本には主として冬鳥として飛来します。水草などの植物を食用としており、血の色が濃く、野趣に満ちた味を持っています。雄の頭部は光沢のある緑色で、首にはっきりとした白い輪が見られ、雌は褐色で、黒褐色の模様があります。雌の方が脂肪層も厚く、風味も強いとされています。ちなみにコルヴェールとは「緑の首」という意味であり、日本語での真鴨の異称である「青首鴨」と同義語です。

【高麗雉(コウライキジ)】
 中国から朝鮮半島に分布するキジの亜種で、江戸時代後期に日本に移入されました。1919年に北海道から長崎までの20地域で狩猟目的で放鳥されたといわれています。ニホンキジと異なり、雄は胸と腹が褐色で首に白い輪があります。肉は白身で、締まりが良く弾力があります。骨からは旨味のある出汁が取れます。フランスで養殖されているのは殆どがコウライキジです。

【猪(イノシシ)】
 世界に30以上の種がありますが、ニホンにはニホンイノシシと小型のリュウキュウイノシシの二種がいます。春から秋にかけて年1回、4〜5頭の子を産みます。日本でも古くから食用にされ、11月15日から翌年の1月15日までが狩猟期間です。秋に木の実や茸などを豊富に食べて蓄えた脂肪が旨味となります。フランスでは生後3〜6ヶ月の仔イノシシをマルカッサンと呼んで珍重します。

【羆(ヒグマ)】
 ユーラシアと北米に分布するヒグマと、東アジアに分布するヒマラヤグマ(アジアクロクマ)がいます。ヒグマは体重400kgにも達する大型のクマで、体毛は黒褐色、赤褐色、灰褐色など様々です。肉食傾向の強い雑食性で、各種の動物や、木の芽、果実などを食べます。肉の味にクセがなく、うっすらと甘さを感じる上品な風味と言われます。鮭が遡上する時期は肉に鮭の風味が移って味は落ちるとされ、むしろ果実を多く食べる時期が美味とされます。

2.テイスティング
 
  

「ガティノワ・グランクリュ・アイ・マグナム」
(タイプ:白・辛口・発泡性、品種:ピノ・ノワール90%+シャルドネ10%、産地:フランス/シャンパーニュ/ヴァレ・ド・ラ・マルヌ/アイ)

 シャンパーニュ随一のピノ・ノワールを誇るグラン・クリュ、アイ村。アイ村の畑は殆どが南向きで、最高峰のピノ・ノワールを産み出しますが、その中でも最高の畑はアイの街のすぐ背後、冷たい北風が遮断される、マルヌ川沿いに落ちこむ急斜面と言われています。ガティノワは、これらの最高の区画を含む27区画をアイ村だけに所有しており、卓越したピノ・ノワールを用いて、あえてエレガントさとフィネスを優先させたワイン造りを行っています。

「サン・ロマン・ブラン・セレクション・マノワ 2014年」
(タイプ:白・辛口、品種:シャルドネ、産地:フランス/ブルゴーニュ/コート・ド・ボーヌ)

 「セレクション・マノワ」は、「マノワ」のオーナーソムリエ中村豪志氏が自らフランスへ赴き、真摯に取り組む優良生産者と交流を深め、畑を視察し、試飲を重ね、セレクトされたワインです。サン・ロマンは、コート・ド・ボーヌ地方、モンテリーの西奥に位置するワイン生産地で、口に含んだ瞬間、誰もが、「美味い!」と感じるような白ワインが造られています。ボリュームのある贅沢な果実感、ミネラル感、綺麗な酸に加えて、エキゾチックなフルーツのブーケも感じられます。

「ドメーヌ・ラペ・ペルナン・ヴェルジュレス・レ・ベル・フィーユ 2013年」
(タイプ:赤・辛口、品種:ピノ・ノワール、産地:フランス/ブルゴーニュ/コート・ド・ボーヌ)
 ドメーヌ・ラペの歴史は古く、1765年からドメーヌの名前を守っています。代々白のトップ・ドメーヌとして有名ですが、コルトンをはじめ赤も素晴しく、特にこのペルナン・ヴェルジュレス「レ・ベル・フィーユ」は別格です。丘陵の斜面から見渡す絶景が女性に人気があったことから、「美しい女性たち」という名が付けられた人気畑で、最良区画からの平均樹齢40年のピノ・ノワールで造られる究極の辛口赤ワインは、カシスやグロセイユなどの果実のアロマがあり、味わいは豊かで力強く、凝縮した果実味と熟した柔らかいタンニンが感じられます。

  

「シャトー・バデット・ラ・カバンヌ 2012年」
(タイプ:赤・辛口、品種:メルロー90%+カベルネ・フラン5%+カベルネ・ソーヴィニヨン5%、産地:フランス/ボルドー/サンテミリオン)

 ベルギーのVandenbogaerde家が所有するシャトーで、新しいワイン製造設備を購入し、品質の向上につとめています。サンテミリオン中心部より北東に位置する石灰岩と粘土質の土壌で育つ平均樹齢30年の葡萄樹から収穫した葡萄を醸造、フレンチオーク樽で12ヶ月熟成させ、フルボディの辛口赤ワインに仕上げています。濃いルビー色で曇りのない色合い、杉やモカ、スモーキーで複雑な香りが印象的で、ナツメグやクローヴの持つバニラやスパイスの味わいと、メルロー由来の果実味が重なり、複雑な味わいに仕上がっています。

「ボンスリーヌ・コート・ロティ・ラ・サラジンヌ 2011」
(タイプ:赤・辛口、品種:シラー、産地:フランス/ローヌ北部)
 「ボンスリーヌ」は、2006年に北部ローヌのスペシャリストであるギガル家が取得したドメーヌです。コート・ロティに所有するブドウ畑の面積10haは、当時、ギガルに次ぐ広さでした。ボンスリーヌの名前はシラーの別名「スリーヌ(serine)」に由来しています。228Lの小樽のほか650Lのドゥミ・ミュイを熟成に用いるなど、醸造上でギガルとの差異が見られ、樽香を抑え、果実のアロマをより強調したスタイルとなっています。コート・ロティは3種類ありますが、もっともスタンダードな「ラ・サラジーヌ」はコート・ブリュンヌを中心とした6つの区画を混醸して造られ、新樽率80%で24ヶ月の樽熟成を行っています。エッジは紫がかった深みのあるルビーで、煮詰めたプラムやダークチェリー、スミレの香り、それに香ばしい焙煎香が重なります。口に含むと肉感的でボリュームがあり、滑らかなテクスチャーで、ブラックペッパーを思わせるスパイシーな後味が感じられます。

 

◆「Via Vino」トップページへ