Via Vino No. 97 "Pinot Noir Fest" 
<ピノ・ノワールの饗宴>


<日時・場所>
2024年10月12日(土)18:00〜21:00 銀座「Furutoshi」 
参加者:18名
<今日のワイン>
辛口・ロゼ・発「ピノ・ピノ・ロゼ・フリッツァンテ」
辛口・白「レ・モンデ・ピノ・グリージョ・フリウリ 2022年」
辛口・白「田崎ヴィンヤード ピノ・ノワール/ブラン・ド・ノワール 2021年」
辛口・白「サン・ミケーレ・アッピアーノ・シュルトハウザー・ピノ・ビアンコ 2022年」
辛口・赤「ドリームリー・ピノ・ノワール 2022年」
辛口・白「ドメーヌ・ギィ・シモン・エ・フィス・ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ・フュ・ド・シェーヌ 2020年」 
<今日のディナー>  

【Inizio(イニッツィオ:始まり)】
ネッチ(栗粉のクレープ) モルタデッラとリコッタチーズ カボチャとゴルゴンゾーラのバーチ・ディ・ダーマ
【Antipasto(アンティパスト/前菜)】
太刀魚のロートロ キノコのトリフォラーティ/マッシュルームのプレア
【Primopiatto(プリモ・ピアット/メイン・ディッシュ)】
タリアテッレ 秋鮭のコンフィ マコモタケ セロリの葉のジェノベーゼ
【Primopiatto(プリモ・ピアット/メイン・ディッシュ)】
カッペレッティ 鴨のサルシッチャ ポルチーニ
【Secondopiatto(セコンド・ピアット/メイン・ディッシュ)】
仔羊の肩ロース ブドウのソース 赤玉ねぎのアグロドルチェ
【Dolce(デザート)】
リンゴのロースト 焼きナスのクレーマ パスティッチェーラ キャラメルのジェラート

     


1.ピノ・ノワールについて

冷涼な気候と石灰質土壌を好み、
デリケートな味わいでまさに栽培家泣かせの
繊細なぶどう品種「ピノ・ノワール」!
赤ワインだけでなく発泡性ワインや白ワインなども造られています。
その魅力をあらためて、探っていきたいと思います! !
 
【ピノ・ノワールについて】

「ピノ」は「松(pin)」、「ノワール」は「黒(noir)」を意味します。
小粒の果実が密になっている様子が松ぼっくりのようであることから名付けられました。
イタリアでは「ピノ・ネロ」、ドイツでは「シュペートブルグンダー」、オーストリアでは「ブラウアー・ブルグンダー」という別名で呼ばれています。

【ピノ・ノワールをめぐる品種関係図】


<クローン・突然変異>
「ピノ・グリ」や「ピノ・ブラン」はピノ・ノワールが突然変異した品種です。DNAはピノ・ノワールと同じという事になります。もう一つ有名な品種として「ピノ・ムニエ」がありますが、これについては反論もあり、現在は「ムニエ」として分ける傾向にあります。
「ピノ・グリ/ピノ・グリージョ/グラウ・ブルグンダー」
この品種は黒と白の中間色であるグレーはフランス語で「グリ」、イタリア語で「グリージョ」で、黒ブドウのピノ・ノワールが突然変異で白ブドウとの中間色に変わったもの、という名前です。ピノ・グリの発祥地はブルゴーニュとされていますが、フランスでの主な産地はアルザス地方となっています。イタリアでは北イタリアを中心に栽培されており、この品種を使用したイタリアワインは世界的に非常に人気が高く、白ワインの定番になりつつあります。
「ピノ・ブラン/ピノ・ビアンコ/ヴァイス・ブルグンダー」
ピノ・ブランの原産地はフランス北東部のアルザス地方とされています。イタリアではピノ・ビアンコ、ドイツやオーストリアではヴァイスブルグンダーと呼ばれています。ブドウの実は小粒で果皮が薄く、外見がシャルドネと類似していることから、様々な産地でシャルドネとピノ・ブランが混同されていた時期がありました。

<派生品種>
グエ・ブランはあまり聞き馴染みがない、とても古い品種で、中世にはヨーロッパの広い範囲で栽培されていたとされています。病気に強く、多産性ですが、現在では種の保存用にごくわずかに栽培されているだけです。しかし、いわゆるブルゴーニュ品種として現在知られているぶどう品種の殆どがこのグエ・ブランとピノ・ノワールとの自然交配によって誕生しました。シャルドネ、ガメイ、アリゴテ、ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)、さらにオーセロワやロモランタン、サシーなどの品種もここから派生したとされています。


2.ワインテイスティング
        

    

「ピノ・ピノ・ロゼ・フリッツァンテ」  (タイプ:微発泡性・辛口、品種:ピノ・ネロ、産地:イタリア/ロンバルディア)
 1991年創業のワイン生産、販売会社MGM モンド・デル・ヴィーノが提供する、炭酸が1〜2.5気圧のフリッツァンテ(微発泡ワイン)です。原料となるブドウは北イタリア、ロンバルディア州の南にある銘醸地オルトレポ・パヴェーゼのピノ・ネロ(ピノ・ノワール)を使用しています。ラベルの原画はイラストレーターのシモーナ・アミサーノによって描かれ、新鮮さや遊び心、自由を表現しています。程良いクリーミーな発泡感と仄かなピンク色が特徴で、爽やかでドライな味わいは食前酒としても最適で、またお料理と幅広く楽しむこともできるスタイルとなっています。

「レ・モンデ・ピノ・グリージョ・フリウリ 2022年」  (タイプ:白・辛口、品種:ピノ・グリージョ、産地:イタリア/フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア)
 レ・モンデ社は、ミクロクリマが表現された「自然が語る」ワインを目指して高品質なワイン造りを行っています。畑は2つの川に挟まれた、石灰・泥土・粘土質の堆積土壌で、他と比べると粘土質の割合が高く、また夜はアルプスから冷たい風が吹くことで温度が下がり、酸味と果実味を備えた豊かなブドウが育ちます。ステンレスタンクでの発酵前に1〜2日ほどクリオマセラシオンを行い、発酵後は澱とともに熟成させることで、かすかに琥珀を帯びた黄色、様々な花の香りを備えたワインに仕上がっています。味わいはとてもフレッシュで、かつ繊細な余韻が感じられます。

「田崎ヴィンヤード ピノ・ノワール/ブラン・ド・ノワール 2021年」  (タイプ:白・辛口、品種:ピノ・ノワール、産地:日本/北海道)
 北海道・余市町の田崎農園で収穫されたピノ・ノワールで造る「黒葡萄から醸造した白ワイン」です。今回参考アイテムとして急遽追加で供することにしました。ピノ・ノワールから白ワインが造られていることを知ってもらいたかったからです。田崎正伸氏は、ワイン専用葡萄品種を昭和60年から植栽、葡萄作りにかける手間と愛情を惜しまず、果樹一筋に農業を行っています。簡易選果コンベアを使用して選果を行い、ホールバンチプレス(全房圧搾)でやさしく搾汁、ャンパーニュで言うところのキュヴェ(一番搾り)果汁のみで醸造を行っています。13〜18.5℃で15日間発酵を行い、1か月かけマロラクティック発酵を完全に終了後オリ引きを行い、ステンレスタンクで約4か月熟成後、冷却処理、清澄・ろ過を行い瓶詰。クリーンでピュアな口あたりで、品種がもつ華やかなアロマと芳醇な味わいを引き出しています。

  

     

「サン・ミケーレ・アッピアーノ・シュルトハウザー・ピノ・ビアンコ 2022」  (タイプ:白・辛口 品種:ピノ・ビアンコ、産地:イタリア/トレンティーノ・アルト・アディジェ)
 サン・ミケーレ・アッピアーノ社は、イタリア屈指の醸造家ハンス・テルツァー氏が腕をふるう、350軒のブドウ栽培農家によって構成されているカンティーナ・ソチャーレ(醸造協同組合)で、イタリアのワインガイドブック「ヴィーニ・ディ・イタリア2000年版」で、「最優秀ワイナリー」に選ばれたほどの実力を持つワイナリーです。75%をステンレスタンクで、25%を大樽でアルコール発酵とマロラクティック発酵を行い、収穫翌年の2月までそのまま熟成した後、ブレンドして仕上げています。ピノ・ビアンコ特有のリンゴやアプリコット、洋ナシを感じさせる繊細なアロマがあり、ほどよい酸味と芳醇でなめらかな味わいが特徴です。

「ドリームリー・ピノ・ノワール 2022年」  (タイプ:赤・辛口、品種:ピノ・ノワール、産地:アメリカ/カリフォルニア) 
 ドリームリーは、カリフォルニアのナパ・ヴァレーに位置する、隠れた宝石のようなワイナリーです。陽光の降り注ぐセントラル・コーストの斜面、霧におおわれたノース・コーストの渓谷、日較差の大きいセントラル・ヴァレーで栽培されたブドウを使用することで、各畑の独自の個性と特性を表した品質のワインを生み出します。ピノ・ノワール100%で造られるこのワインは、レッドチェリーやカシスなどのフレッシュな果実の香りがあり、きれいな酸味と滑らかなタンニンがバランスよく口の中で広がり、しっかり味付けした肉料理にも良く合います。

「ドメーヌ・ギィ・シモン・エ・フィス・ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ・フュ・ド・シェーヌ 2020」  (タイプ:赤・辛口、品種:ピノ・ノワール、産地:フランス/ブルゴーニュ)
 ドメーヌ・ギィ・シモンはオート・コート・ド・ニュイの南側にあるマレ・レ・フュセ村の生産者です。現在は10代目のディディエ氏と妹ミュリエル氏がドメーヌを取り仕切っています。畑はニュイ・サン・ジョルジュ村の端に面した、一段と標高の高い丘陵地オート・コート・ドニュイにあります。葡萄の平均樹齢は40年で、手摘み収穫後、90%は除梗、10%は枝を残した状態で2日ほど低温に静置した後にステンレスタンクにて主発酵、オーク樽で15か月間熟成(新樽比率25%)させています。 トーストを思わせる樽の香りがあり、肉厚感あふれるミネラルとさりげない酸味が心地良いワインとなっています。

 今回はデザートに合わせて、「フランジェリコ」と「デュワーズ」から造られたカクテルを用意して頂くことができました。爽やかな味わいで、まさにディナーを締めくくるのにふさわしい食後酒でした。

  

<今回の1冊>
   
【季刊誌「Winart No.25 ピノ・ノワールの世界」(美術出版社 )】(2005年刊行)
  「季刊誌Winart」は、1999年に「デザインの現場」の別冊として発刊されたワイン専門誌で、創刊号からいまだに定期購読している雑誌であります。季刊誌としてその後20年以上にわたりしっかり年4冊刊行されていて、最新号の2024年No.118では「山梨」が特集されています。今回ご紹介する25号「ピノ・ノワールの世界」は、ブルゴーニュだけでなくロワールやアルザスなどそれ以外のフランス産地、そしてヨーロッパのドイツやイタリア、新世界のオレゴンやニュージーランドに至るまで、世界各国のピノ・ノワールのワインを紹介していくというなかなか異例の特集でした。それまでブルゴーニュの代表品種として認識していたピノ・ノワールが、栽培が難しいといいながら世界各国で育成されている、ということをあらためて実感させてくれた本でもあります。

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