海綿のように相手の”心の風景”と言葉を吸い取れる人
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 海綿をご存じですか。化粧のときに女性が自然のスポンジとして化粧水や乳液を含ま
せて用いるものです。この海綿は、天然のものであり、ほんとうに細やかに水分を吸っ
ては、みごとに柔らかくなってみせてくれます。

 講演の時の聞き方なのですが、1枚の紙(たいていA4の白い用紙)に鳥瞰メモのつ
もりでメモをとろうとしてきました。あくまで自分が海綿になったかのように、自己暗
示をかけるのです。つまり、これまでやってきたメモのとり方は、自分が解釈した言葉
でまとめつつ書き留めていきますが、この方法では、相手の心の風景のままに対してじ
っと耳を傾けることがおろそかになってしまうのです。よく、メモをとると聞く方がお
ろそかになるので、書かないで聞いた方がいいということを言う人がいますが、自分の
解釈をまじえながらきくのでは、たしかに心で聞くことはできないと思います。そこで
、海綿のように相手の心の風景をそのままの吸い取っていくようなメモを考え、実行し
てきました。

 この方法は、「この先生の生き方はどういうものなのだろうかか。先生が大切と思っ
ていることはどこに根ざしているのだろうか。そして、その結果、大切と思う事柄をど
のように言葉で表現しているのだろうか。」と、ノ−トへ海綿のようなメモのとり方を
心掛けていたのです。これが、海綿のようなメモのとり方が始まりでした。
 このメモは、大学、そして社会人になってからのインタビュ−におおいに威力を発揮
しています。

 講演のスタ−トから一枚の紙の上に、講演者の言いたいことの起承転結に渡ってのす
べての話の流れと、その中で中心となる“光る言葉”を海綿のような自由さで聞いて描
いていくのです。こうしていくうちに、その人の言いたいことがパッと霧が晴れるよう
にわかってきます。どんなに多くの事柄をその人が語ったように見えても、その人が本
当に語りたいことは、そう多くはないのです。それを大切に受け止めようということな
のです。

 こうしてメモをちっているうちに、その人のものの見方「視点」がクッキリと浮き上
がってくるようです。その人の心の風景を鳥瞰する方法のようです。

 コツは、あくまでも海綿になりきってしまうように、素直に心で聞く姿勢をもつこと
とです。あるがままを捕まえるコツです。

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