自分も他人も、その時点で、その場所で演じている役割を認識しそれに合ったメリハ
 リのきく行動がとれる人

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私たちが人間社会の中で生きていく際に、心得ておいた方が人の言動をよく理解でき
、なるほどそうだったのかと気持ちが楽になることがあります。その一つに、私たちは
知らず知らずに様々な役割を演じているということです。

 立場によって、相手と自分との接する態度や表現が変わってくるのです。日本人とし
ての,・・県人としての,・・の会としての,家族の家長としての,夫婦の夫としての
,それぞれの役割を演じようとしているのかもしれません。

 でもその役割とは、人間社会の中での役割をさす場合がほとんどなのではないでしょ
うか。どうでしょう、自然の中で生きるいきものとしての自らの役割を捉え、その役割
から考えた判断をする時に来たと言えませんか。それと同時に、人間社会の中で果たす
べき役割も、できれば、いきものとして共生できる社会システムのデザインや実現に関
係する生き方にしたいと考えるようになってきています。

 たしか、以前読んだ禅の本に「スッと自然に、考えなくとも動いてしまうといったこ
とが、禅の境地である」といったことが書いてあり、今でも印象に残っています。「女
性が最も美しく見えるときとは、たとえばその職業に成りきっているときである」とい
うのです。そして、その役割を演じきっている瞬間が、まさに「トイレでスッと、何も
考えずズボンを下ろすような感覚」といった禅の境地のであると説明しています。

 わざわざこのようなことを考えながら行動するのは、まだ動き始めだからかもしれま
せん。本当にその生き方ができているのは、スッとその自然な役割に成りきっているた
めに一見おだやかに、目立たない生き方のように思えるもののように思います。回りに
そのことを実践する人が確かにいます。その人を思うとき、それを確信するのです。
その生き姿は、やはりとてもやさしく、とても強く、とても美しいと思うのです。