西岡恭蔵 Live Report
西岡恭蔵 Live Report
西岡恭蔵 Live Report

 


97年10月 7日
「トリム企画社長室」

    あがったさん が、ニフティ・サーブ FBEAT7番会議室にアップされたものを転載させていただきました。ありがとうございます。

 

 

僕の、ろっかばいまいべいびい−西岡恭蔵

 

 

お人柄が、唄になる。そんな恭蔵さんライブに、行って来たんだ。

そもそも「トリム企画社長室」でのライブって、何だ?
僕は、ビレッジプレスの村元さんからお誘いを受けた時、思ったさ。
「今までやっていたすき焼きパーティのノリだそうです」
「ふ〜ん?」といまいち納得できなかったが、一も二もなく予約をしたのだった。

「早く行かなきゃ一杯になります」という村元さんの言葉で、急ぎ足で向かう。
夕御飯も我慢して、6時過ぎに着くと、まだだぁれもいなかったさ。
「村元さんは来れないんだって」社長さんはそう言って、席を勧めてくれる。
会場に入ると、とりどりの椅子が所狭しに並べられている。

   そこで始めてスキンヘッドの恭蔵さんにお逢いした。

実は、本を読んでおられた恭蔵さんをしばらくは気づかなかった。
ど〜んと大きな体格に、斜め後ろから見るとスキンヘッドだけが見える。
そうだろうか?と戸惑いながら声をかけられないでいると、
人の気配で、こちらを向かれた恭蔵さんが、にっこりと微笑まれる。

「あがったさん!」と、スキンヘッドに似合わぬ笑顔で握手をすると、
なんだか、もうずっと前から知っているかのように、話し始められる。
そりゃぁ、僕ならずっと恭蔵さんの唄なら、聞いてきたさ。
でも、お逢いしてお話するのはこれで三度目なんだが、そんな気がしない。

「胡散無産」の原稿のお礼を言い、新しいアルバムの話をし、話題は尽きない。

クリスマスライブの話をし、友部さんの話をし、幸介さんのアルバムを話す。
「KUROさん」のことをお話し、ツアーのことを話す。
恭蔵さんの目はとても柔らかだ。「春一番」の話題となり、風太さんを語り、
森林公園を話し、とても柔らかな時間が流れていく。

ぼちぼちと会場も埋まっていき、お名残を惜しみつつ衣裳変えに行かれると、
その間にも所狭しと並ぶ椅子に、所狭しに人が座っていく。
最前列を除く椅子が満席となる頃、部屋の照明が落とされ、
恭蔵さんの巨躯が、手拍子ひとつで、「月の祭り」の唄声をあげる。

7時10分に始まったライブは、アンコールが続き、9時半になってお開きとなる。

   12月10日に出る「FAREWELL SONG」からの唄で始まって、
「START」からの唄へと続き、「サーカスにはピエロが」から、名曲が続く。
「ろっかばいまいべいびい」へと続き、「プカプカ」は言うまでもなく。
「君住む街に」も「PARADISE CAFE」も唄われ、僕はもうまったくご満悦。 

口ずさみながら僕は、足踏みを踏みならして、恭蔵さんの唄に応えるんだ。
それはまるで、秋の夕暮れの一瞬前のえも言われぬ心地よさに、似て。
もう、暮れていくよ。そう、暮れていくのね。というあうんの呼吸にも、似て。
現実離れした柔らかな時間は、唄にのって、ふわりふわりと続いていくんだ。
「珈琲ルンバ」のリクエストの後、僕が「アフリカの月」をリクエストし、
すると興に乗った恭蔵さんは、クリスマス・ソングを唄い、
遅れてきた人のために、もう一度、「プカプカ」のリクエストに応えられ、
「それじゃぁもう一曲」とラストソング「GOOD NIGHT」でダメを押し、
そうして、深々と頭をさげてのごあいさつの後、ステージからその巨躯が去る。

お別れのご挨拶ができなくて残念な僕だったが、
ようやっと静かになりつつある街角を歩きながら、
あんまりたらふくの満足感のやり場に困ったものだから、
口笛をひとつ吹くことで、震わせた空気を、僕のこころに共鳴させてみた。

こころは、と〜んと震えて、悦びの合図に代えた、そんな夜。

 97/10/10(金) 22:40 あがった(VYT00134)


 


Thanks to KYOZO NISHIOKA.
1998(C) MAKOTO GOTOU
掲載の記事・写真・音声の無断転載を禁じます。