友人と落合い、松江へ向かう。2時間半でようやく松江市内に入る。
入口横では屋台が並んでいる。水餃子やらスープ、ベトナム料理などなど。
ようやく腹を落ち着かせてから、中に入る。
ステージはデパート1階の催し物広場のような所である。
ステージのバックには黒い布で覆われ、無機質なコンクリートの壁は隠されている。
CD販売の横には和山さんの作品や、その他の人の作品が販売してあった。
しばらくすると二人揃って登場。
「サーカスにはピエロが」、「デュエット」と2曲続く。その後、恭蔵さんは退場し、まさじさん一人のステージとなる。
お馴染みの曲、「風の学校」「ワルツ」と続き、最近できたばかりという唄が2曲つづく。
客は中学生風から白髪の60代までと幅が広い。小さなライブハウスなどではちょっと見られない光景である。
再び恭蔵さんが登場し、まさじさんは恭蔵さんプロデュースの「KUROちゃんをうたう」のPRを丹念にされ、二
人で、「アフリカの月」。
まさじさんが退場し、今度は恭蔵さんワールドである。
「グローリー・ハレルヤ」
「コンケーンのおじさん」
「さらばジャマイカ」
「バナナスピリッツ」
「自転車にのって」が終わると、まさじさんの再登場。
ステージが終わっても会場の客はなかなか帰らず、CDや まさじさんの「月の散歩」を買い求めるため、行列であ
る。
和山氏のところに行き、いろいろと話す。
客が少なくなってから、恭蔵さん まさじさんと一緒に写真を撮る。ミーハーなわたくしたちである。
このまま夜の松江になだれこみ、大酒かっくらって、などというわけにはいくはずもなく、翌日の仕事のために深夜
の国道を走りながら、ライブの話を延々とする私らであった。
旧一畑百貨店をようやく見つける。
時間はもうすでに開演時間の19:30を過ぎている。入口にたどり着くと、ギターの音が漏れて来た。おっとこれは始まってしまったのか、と中を入口ガラスごしに見るとどうやら地元シンガーの前座のようだった。
外に置かれたイスに腰掛け、アジアの方と思しき人達が食事をしていた。
空腹も絶頂に来ていた私らは即座に注文するが、食物はあらかた売り切れていて残っているのは水餃子とスープのみである。
まあなんでもいいや、と水餃子を一人が数人前注文し、ガシガシと食
い、ビールをぐびりと飲む。
後でパンフを見てみると、水餃子などは中国からの留学生が作っていたそうである。
中にはCD販売や、コーヒー販売、その他もろもろのスタッフの人達がたくさんいた。
主催者の和山氏の所在を聞くと、記者の人に囲まれて取材を受けていた。テレビ局まで来ていて、カメラをまわしていた。
会場は満員だった。隅の方にようやく空いている席を見つけてから、再度和山氏のところへ行く。
「すごいですねえ、満員じゃないですか」
「ああ、おかげさまで。写真の件は承諾を得てますんで」
事前に電話で、恭蔵さんと まさじさんの写真を撮ってもよいかどうか確認してもらったのである。
商品の陳列されていないデパートなんて、廃虚のような感じであろう予想していたが、意に反して見事に美しく創られた空間となっていた。
和山氏の作と思しき染色された布がステージにも、会場の天井にも配されて、とてもいい雰囲気になっている。
会場の横では恭蔵さんや まさじさんのアルバムが売ってあり、とりあえずチェックを入れる。まさじさんのアルバム
はすべて持っているが、恭蔵さんのアルバムの中に、「KYOZO & BUN トラベリンバンド」というアルバムを
発見。
すでに残り2枚となっている。あわてて購入。
非常に得した気分である。
松江市という土地柄、そういう工芸的なものの作家が多いのかもしれなかった。そしてそれらの人々同士のつながり
が、今回のライブへと結びついたのではないか、と想像する。
スタッフが多く、和気藹々のムードが伝わってくる。
「裸の王様」「一輪の花」
そして今度は懐かしい曲が続く。
「ガムをかんで」「男らしいってわかるかい」とつづく。
私はいつものように小さな声で一緒に唄うが、「男らしいってわかるかい」に来ると、会場のあっちこっちで唄う声がする。
そーかそーか君達もそーなのか、と嬉しくなる。
60
代とおぼしき男性も最後のアンコールまできっちりと聴いているのには、感心した。
このライブが、チケットの義理
買い、というありがちなパターンではないのが分かる。
1曲目は「ワンダフルワールド」で英語バージョンでスタートし、後半は「KUROちゃんをうたう」バージョンで
ある。
この簡潔な訳詞の唄を聴いた時、かなり参った。
CDの中の「サニーサイド・オブ・ザ・ストリート」の訳詞でもそ
うだが、こんなに原曲を崩さずに、こんなシンプルな言葉で世界が構成されることが驚きである。
歌詞カードを見れ
ば、ほんとに少ない言葉数である。
「KUROちゃん」のオリジナルの詩には勿論以前からハマッていたが、訳詞で
もこんなにスゴイんだということを再認識した。
会場全体が熱を帯びている。久しぶりに聴いた恭蔵さんの声は相変わらず豊かで、温かく、迫力があった。
「グローリー・ハレルヤ」の次にこの曲を持ってきたか、なぁるほどなあ、と深く感心する。
予想通り「グロー
リー」で熱くノッた客は、今度は耳を澄ませて恭蔵さんの言葉に聞き入っている。
これも大好きな曲である。やっぱり小さな声で一緒に唄う私。
途中、コーヒーを買いに行くと、蝶ネクタイ姿のヒゲのおじさん(そういう私もおじさんであるが)がリズムに合わ
せて踊りながらコーヒーを入れる。
関係者一同、楽しんでやっているというのは、客の一人として非常に嬉しいこと
であるな、と主催者でもないのに、ウムウムとうなずく私。
会場が「バナーナァー」の大唱和である。ロックのタテノリとは違って、なにか陽気にうねるようなノリである。
しかし、それにしても、恭蔵さんのギター、ギブソンJ-50、これがまたすごくいい音である。70年代の最初の頃
のギターという噂であるから、しっかり枯れていい音になっているのであろうが、PAの手腕もさることながら、
ホールの前からねらったマイクと、ギターのホールのちょい上くらいに取り付けられた小さなコンデンサマイクの威
力もかなりあるようである。ネックとホールの間にとりつけてあるピックアップは使用しておられないみたいだっ
た。
私からすると生ギターの理想音である。ピエゾなどでは出ない音である。
恭蔵さんのカッティングも小気味いい。ああ、ごっつうええわぁ、と隣の友人と話す。
二人で、「プカプカ」「街唄」アンコールの「月のまつり」と、とっても「お得感たっぷり」で贅沢なステージが終
わった。
そして机に向かったお二人の前にはサインを順番を待つ客がこれまた列をなしていた。
「よかったですねえ。最高でした」
と言うと、
「ほんとです。今日のお二人は最高でした。やっぱり二人でやられる『プカプカ』は最高ですね」
と目を細められる。
「また、やられる時は知らせて下さい」
「いやあ、ちょっと当分ねえ・・・」
と、さすがに疲れ顔の和山氏であった。
その後、すごい松江美人が恭蔵さんと並んで写真を撮っていた。それを眺めながら、思わず恭蔵さんの反対側に回り
込んで、松江美人の肩を抱いて一緒に写真におさまろうか、と発作的に考えた私である。困ったことである。
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