Via Vino No. 34 "Wine and Art"<ワインとアート>

<日時・場所>
2010年10月16日(土)12:00〜15:00 「エスカール・アビタ」 
参加者:12名
<今日のワイン>
発泡性(クレマン)「ルー・デュモン・クレマン・ブラン・ド・ブラン・ノン・ヴィンテージ」
赤・辛口「ニーポート・ドウロ・エト・カルタ2007年」
赤・辛口「コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ルージュ・ガランス2007年」
赤・辛口「コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ガランス2007年」
赤・辛口「アンドレア・パオレッティ・ランコーレ 2004年」
赤・辛口「シャトー・ムートン・ロートシルト 1981年」
<今日のランチ>
前菜の盛り合わせ
スズキのグリル ソース・ブールブラン
ジゴ・ダニョー(仔羊モモ肉)のサラダ
フランス産 鴨 (バルバリー種) のローストとフォアグラ ソース・マデイラ

   


1.はじめに〜「巨匠達の業が、ラベルに魂を吹き込む…」

芸術の発展と無縁ではなかった、近代ワインの歩み。
ラベルやボトルに反映されてきた、アーティスト達の足跡。
ポンペイのシレノスから、ピカソのバッカスまで。

 ワインを楽しむにふさわしい「収穫の秋」は、一方で心落ち着けて作品に向かうことのできる「芸術の秋」でもあります。実際のところ、イタリアのフィレンツェで花開いたルネッサンスにしろ、フランスのパリを活動の拠点とした印象派にしろ、スペインのカタルーニャに生まれたガウディやダリの個性的な作品群にしろ、ヨーロッパのワインを育み広めた土地は、同時に芸術家が生まれ集う所でもありました。  
 上質なワインが王室の独占物から一般に広まった頃と時を同じくして、芸術家達も王宮から世俗世界へと活躍の舞台を広げていきました。嗜好品としてのワインのボトルやラベルを、アーティスト達がデザインすることで、名品を味わうひとときの充実感はさらに深まります。シャンパーニュ、ペリエ・ジュエのアネモネの花をあしらったボトルは、1902年にアール・ヌーヴォーの芸術家エミール・ガレに依頼された物で、大戦中封印されたものが1964年にあらためて採用され、文字通り「ベル・エポック(美しき時代)」と名付けられました。  
 毎年ラベルを異なる芸術家がデザインする「シャトー・ムートン・ロートシルト」は、ワインとアートの融合を体現した代表格と言えるでしょう。1924年に初めて企画され、その後中断を経て大戦後に復活したアートラベルは、俗に言われるマーケティングの勝利という側面だけではなく、苦難に満ちた歴史を持つこのシャトーならではの人間賛歌であるということに注目したいと思います。

2.シャトー・ムートンのアート・ラベル

←「シャトー・ムートン・ダミーボトル」左から1997年「ニキ・ド・サンファル」、1983年「スタインバーグ」、1971年「カンデンスキー」
【ムートンの歴史】
 シャトー・ムートン・ロートシルトは、ボルドー・メドックの五大シャトーの一つで、世界中から賞賛される銘醸ワインとして知られています。「シャトー・ムートン」の名は、もともとは小高い丘「モートン」に由来していますが、やがて「雄牛(ムートン)」がこのシャトーのシンボルとなりました。「ロートシルト」は、仏語読みでは「ロッシルド」、英語読みでは「ロスチャイルド」。ユダヤの国際的な財閥ロスチャイルド家の所有となるもので、ボルドーワインのグローバルな世界を代表するブランドともなっています。
 ロスチャイルドのイギリス分家であるナタニエル男爵が、ムートンの地を購入したのは1853年、ボルドー格付けが制定された1855年よりも若干前のこと。取引価格によって第2級として格付けされましたが、1922年に相続した曾孫のフィリップ男爵は、それをよしとせず、第1級への昇格へ執念を燃やし続けます。1924年には当時としては画期的なシャトー元詰めを導入、1930年代にはセカンドワインのはしりである「ムートン・カデ」(「カデ」は末っ子の意。フィリップは末っ子だった)を展開、1962年にはワイン美術館を立ち上げ、貴重なコレクションを一般公開しています。1973年には晴れて第1級に昇格、ある意味その実力と功績に見合う地位を獲得するに至りました。
 第二次大戦下では、他のワイン生産地と同様、ムートンも苦難の道を進むことになります。ユダヤの財閥であったロスチャイルド家への圧力は厳しいもので、フィリップの妻エリザベートは、ユダヤ人ではなかったにも関わらず、解放のわずか2、3日前に収容所のガス室で殺されてしまいます。終戦の年である1945年ビンテージは「勝利のV」のラベルで飾られましたが、シャトーを占拠していたドイツ兵達に自ら修復させた葡萄畑を繋ぐ小道は、男爵によって「復讐の道」として記憶されることとなったのです。

【アートラベルの変遷】
 アートラベルの歴史は、1924年のシャトー元詰めから始まります。当時樽で取引されていたワインを、シャトー元詰めとすることによって、中間業者による不正を防止すると共に、シャトーが製品の全責任を負うというシステム。これにより、ボトルのラベルは、単なる名称の表示だけではなく、品質を保証する重要な署名としての役割を担うことになったのです。フィリップ男爵は、この改革を記念して、当時著名なデザイナーでもあったジャン・カルリュに、オリジナルラベルの製作を依頼します。一度限りに終わったこの試みは、戦後復活し、1945年に「勝利のV」をデザインしたフィリップ・ジュリアン以後、毎年現代絵画の巨匠によるオリジナル作品がラベルを飾ることになります。
 ちなみに、この毎年アーティストが自由にラベルをデザインするという伝統に従わなかった年もあります。1953年のムートン購入百周年、1977年の英国王太后来訪記念、2000年の記念ボトル、2003年のムートン・ロートシルト150周年についてはそれぞれ全く違うスタイルのデザインとなっています。  
 当初は男爵自身の人脈から、ジャン・コクトーやレオノール・フィニなどの画家がラベルを描きましたが、ジョルジュ・ブラックが自ら1955年ラベル制作を志願してからは、さらに多くの著名な画家が後に続くようになります。ラベルの依頼に応じて制作したわけではない作品としては、1944年に他界していたものの未亡人の好意により1971年のラベルを飾ることとなったカンデンスキーと、1973年の第1級昇格記念の年に、ムートン美術館所蔵の1959年制作の作品が採用されたピカソが挙げられます。  
 1974年以後は、さらに選ばれる画家は国際化していきました。アメリカのアンディ・ウォーホールやキース・ヘリング、ベルギーのデルヴォー、日本の堂本尚郎やセツコ・バルテュス、イギリスのフランシス・ベーコンなどが有名です。芸術家は自由に題材と手法を選べるものの、オーナーには作品を拒否する権利があり、しかも報酬は自身の作品提供ビンテージを含む2種類のビンテージ・ムートン数ケース。この報酬を妥当と見るかどうかは、まさにムートンというワインの存在感とその芸術家の力量をそのまま世界に問いかける試金石となっているのです。

3.発泡性ワイン

  

「ルー・デュモン・クレマン・ブラン・ド・ブラン・ノン・ヴィンテージ」
(タイプ:辛口スパークリングワイン 品種:シャルドネ100%  産地:フランス/コート・ド・ボーヌ、オート・コート・ド・ボーヌ  ラベル:ジェラール・ピュヴィス)
   
 日本人醸造家、仲田晃司氏らによって設立され、「天・地・人」と言うインパクトのあるラベルと、その繊細なる味わいが評価され一躍脚光を浴びた生産者「ルー・デュモン」。このワイナリーが造るスパークリングは、複雑でミネラル分たっぷりな仕上がりで、柑橘系のフレーバーにクリーミーな泡立ちが特徴となっています。かのブルゴーニュの偉大な造り手、故アンリ・ジャイエが何よりもまずこのクレマンを絶賛したという逸話が残されています。
 ラベルを描いたジェラール・ピュヴィスは、1950年にリヨンで生まれ、パリやマドリッドで絵画を学んだ、フランスを代表するアーティストです。彼の作品はブドウへの愛情があふれ、その作品はまさに見ているだけで、我々を楽しく酔わせてくれます。


4.毎年デザインの変わるアートラベル

「カサヌォーヴァ・ディ・ニッタルディ」   
 キャンティ・クラッシコ「カサヌォーヴァ・ディ・ニッタルディ」のラベルは、1981年より毎年限定でリリースされているアートラベルで、今までホルスト・ヤンセン、ロバート・コンバス、ジュリアーノ・ゲッリ、と何れも超一流アーティスト達が手掛けています。特に2005年について、オーナーのフェムフェルトは、就任四半世紀の集大成となる「25周年記念アートラベル」のデザインを、世界で最も有名な女性アーティスト、オノ・ヨーコに依頼。ヨーコがニッタルディのキャンティ・クラッシコとオリーヴ・オイルの愛飲者であることと、彼女の個展をアート・エディターの顔も持つフェムフェルトが手がけてきた縁もあり、ビジネスを越えた交流からこの伝説のImagineラベルが生まれました。

「ルーウィン・エステート」
 ルーウィン・エステートは、1973年にカリフォルニアのロバート・モンダヴィと、創立者ホーガン家のジョイント・ベンチャーとして設立されました。オーナーのデニス・ホーガン氏の「至高の追求」という情熱に支えられ、特に「アートシリーズ」のシャルドネは、「ルーウィンのシャルドネの前ではすべてがかすんでしまう」と表されるほどの秀作として有名。シリーズのラベルを飾るアートは、全てルーンの「オーストラリア現代画家コレクション」の中から選ばれたもので、ワインを芸術としてみるルーウィンの姿勢が良く現れています。1985年から行われている「ルーウィン・コンサート」も有名で、ロンドン・フィルハーモニック交響楽団に始まり、ベルリン・ステート交響楽団、キリテ・カナワ、ディオンヌ・ワーウィック、ダイアナ・ロス、そしてレイ・チャールズと、有名なアーティストたちが招かれています。まさに、「ワインと芸術の融合ここにあり」といったワイナリーです。

5.赤ワイン

       ←ラベルがボトルを一周しているので剥がせません…。

「ニーポート・ドウロ・エト・カルタ2007年」
(タイプ:辛口の赤ワイン  品種:トゥーリガ・ナシオナル、トゥーリガ・フランカ、ティンタ・ロリス、ティンタ・アマレラ、ティンタ・バローサ  産地:ポルトガル/ドウロ ラベル:清水麻紀)
   ポルトガルの著名なワイナリー、ニーポートの五代目当主「デュルク」が造る逸品。使用される葡萄は「ポートワイン」の産地「ドウロ」そのものといったラインアップで、味わいは濃縮感があるのに滑らかです。非常に生真面目に造られた中身ですが、エチケットはコミカルで遊び心満載! ワイン名の「ETO」は子・丑・寅…の「干支」、「KARTA」はポルトガル由来のカードゲーム「歌留多」。
 これをモチーフにした作画は、ベルリン在住のドローイング作家、清水麻紀さん。ワインを抱えたネズミ君が他の十一支をめぐります。清水麻紀さんは、1981年東京都生まれ、ベルリン在住のドローイング作家。2006年に第1作品集「Makis Haustierbuch」(Peperoni Book, 2006年)を出版し、以来ベルリンを拠点にドローイングを主体とした制作を展開、イラストレーション、コミック、版画など様々な分野で活動中です。近澤悠子さんと二人三脚で取り組んできた「悠紀―友人の肖像」シリーズはヨーロッパで大きな反響を得ています。
「MAKI SHIMIZU HP」http://makishimizu.de/

     

「コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ルージュ・ガランス2007年」
(タイプ:辛口の赤ワイン  品種:シラー70%、グルナッシュ20%、ムールヴェードル10% 産地:フランス/コート・デュ・ローヌ  ラベル:エンキ・ビラル)
「コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ガランス2007年」
(タイプ:辛口の赤ワイン  品種:カリニャン70%、グルナッシュ30% 産地:フランス/コート・デュ・ローヌ  ラベル:エンキ・ビラル)    
 フランス映画界の伝説的なスターであるジャン・ルイ・トランティニャンとコルテリーニ夫妻の所有するドメーヌです。トランティニャンは1960年代に「男と女」という映画でカンヌ国際映画祭のグランプリをとり一躍有名になりました。一方、コルテリーニ夫妻は1977年より有名なエステルザルグ協同組合の一員として小さなワイナリーを営んでいましたが、1980年代に出会った3人はワインと芸術についてすっかり意気投合し、1997年にドメーヌ・ルージュ・ガランスを設立しワイン造りをはじめました。 シラー主体の「ルージュ・ガランス」は、非常にしっかりとした味わいで、ローヌの正統派といった印象。一方の「ガランス」は、カリニャン主体の果実味の柔らかいタイプでした。カリニャンとなると、南仏の大量生産ワインのイメージですが、国際品種が広まった現在ではむしろ古樹が残り極めてコストパフォーマンスの高い良質なワインが増えたような印象があります。
 ラベルはどちらも有名なグラフィック・アーティストのエンキ・ビラルによりデザインされました。ビラルはボスニア人の父親とチェコ人の母親の間にユーゴスラビアのベオグラードで生まれた、フランスを代表する「バンド・デジネ」の作家で、カラー・コミック「ニコポル三部作」や、映画「バンカー・パレス・ホテル」「ゴッド・ディーバ」などで日本でも知られています。

「アンドレア・パオレッティ・ランコーレ 2004年」
(タイプ:辛口の赤ワイン  品種:サンジョヴェーゼ80%、メルロー15%、ピノ・ネロ5%  産地:イタリア/トスカーナ  ラベル:エドヴァルト・ムンク「叫び」)
   
 20代でアンティノリの全栽培責任者となり、シャトー・ラフィット・ロートシルトなどで研修を経て、その後イタリア、トルコ、グルジア、モンテネグロ、ハンガリー、欧米等の様々な国をコンサルタントとして飛び回るワインメーカー、世界で最も偉大なサンジョヴェーゼの栽培家と言われるアンドレア・パオレッティが、年間たった5000本のみ瓶詰めを行なうレアワイン。「ランコーレ」とは「怨み」を意味し、ラベルにはムンクの「叫び」があしらわれているということで、一部のイタリアワイン通の間でワインに込められた謎解きが話題になっているワインです。「過剰な抽出や、強い樽香が流行の中、本来の魅力を発揮できなかったサンジョヴェーゼの恨みを、伝えたかったのでは?」とも言われていますが…このワインを飲みながら、生産者の真のメッセージに思いを馳せるのもいいかもしれません。

 ちなみに、ムンクは自らの日記に、インスピレーションを受けた体験を次のように記しています。

 

 私は二人の友人と、歩道を歩いていた。 太陽は沈みかかっていた。
 突然、空が血の赤色に変わった。 私は立ち止まり、酷い疲れを感じて、柵に寄り掛かった。
 それは炎の舌と血とが、青黒いフィヨルドと町並みに被さるようであった。
 友人は歩き続けたが、私はそこに立ち尽くしたまま不安に震え戦いていた。
 そして私は、自然を貫く果てしない叫びを聞いた。

 ちなみにこのワイン、サンジョベーゼの旨味を存分に生かした、数あるイタリアワインの中でもとびきり美味しい逸品で、ラベルのインパクトで購入したものの、その味わいで先に飲み会に持参した時は逆に評判になったワインです。濃い赤紫色で、果実味が強く、それでいて甘すぎず苦すぎず、サンジョベーゼならではのまろやかさと酸のバランスの良さが印象的でした。
 こちらのページでも既に紹介済みです。

  
「シャトー・ムートン・ロートシルト 1981年」(タイプ:辛口の赤ワイン  品種:カベルネ・ソーヴィニョン80%+カベルネ・フラン10%+メルロ8%+プティ・ヴェルド2%  産地:フランス/ボルドー ラベル:アルマン)
   
 今回はワインアドバイザーやワインエキスパートに合格したメンバーへのお祝いもかねて、飲み頃に熟成した「シャトー・ムートン・ロートシルト1981年物」を特別に持ち込ませて頂きました。「ワインとアート」というテーマを掲げた以上、代表格の「シャトー・ムートン」に触れない訳にはいきませんし、触れた以上はやはり飲まない訳にはいきませんから。
 後述の「ムートン・ロートシルト 芸術とラベル」にセレナ・サトクリフが各ビンテージについてテイスティング・コメントを載せています。それによれば、81年物は「魅力的ではっきりとした杉の香り。豊かなカシス香を芯に持ち、口一杯のサクランボの後味。肉っぽく、リキュールの香りがある。間違いなく1981年物の中ではトップクラスだろう」
 実際に味わってみると、まさに30年近い熟成を経た上質なボルドーらしい、動物的な香りがしっかりと感じられます。タンニンはやわらかく落ち着いていて、香りの複雑さはかなりのものとなっていました。まさに理想的なワインと言えるでしょう。
 ラベルを描いたのは、フランス、ニース生まれのアルマン・フェルナンデーズ。「新現実派」のグループに属し、1970年から80年頃には「割れたバイオリン」をテーマにいくつかの作品を残しています。このラベルにも、そのモチーフが色彩豊かに現れています。

6.ブランデー

 

「コント・デ・オスボルネ」
(タイプ:スペインブランデー 産地:スペイン/へレス  ボトルデザイン:サルバドール・ダリ)
   
 オスボルネは、1772年にイギリスのトーマス・オズボーン・マンが創設した、真っ黒な闘牛のシルエットがトレードマークのシェリーメーカーです。最初オズボーンはカディスで輸出入のビジネスをしていて、このときカディス駐在の英国領事だったダフ・ゴードンと知り合います。ゴードンはその後オーリー(現ドメック)のシェリーの輸出を始め、シェリー・ビジネスを拡大し、拠点をプエルトに移しました。あとからシェリーの売買を始めたオズボーンもプエルトに移り、それぞれの息子、コスモ・ダフ・ゴードンとトーマス・オズボーンの時代に共同経営者となります。その後オズボーンはダフ・ゴードンの株をすべて買い取り、経営はオズボーンの手に移りました。
 トーマスの兄弟ジョン・ニコラスは外交官としても活躍し、1869年オスボルネ伯爵(コンデ)の位を授けられました。「コンデ・デ・オスボルネ」と命名された、このオスボルネ社の最高級ブランデーは、ソレラ・グラン・レゼルバ規格品の銘酒。コンド(世襲伯爵位)にふさわしい気品をもった逸品で、ボトルは1964年に巨匠サルバドール・ダリがデザインしたもの。6年ほど前にスペインのダリ美術館を訪れた際入手したボトルです。40.5%と当然ながらアルコールは高いのですが、フランスのブランデーに比べてソフトな印象。やや褐色を帯びた琥珀色で、桃やナッツ、バタースコッチなどの複雑な香りに、樽やオロロソ・シェリーの風味が加わり、長い後味が楽しめました。

<今回の1冊>
   
「ムートン・ロートシルト 芸術とラベル」Sothebys
 2008年春に六本木ヒルズ・森タワー52階の森アーツセンターギャラリーで開催された 「ムートン・ロートシルト・ワインラベル原画展」で販売されていた、ムートンのラベルとそのアーティストについて各ビンテージを見開き一枚で丁寧に解説したカタログです。前からこういうものがあれば……と思いつつ、恵比寿のワインパーティでポスターを購入して部屋に飾ったり、色々なホームページをブックマークしたりしていたものですが、この一冊だけは手放せないものとなっています。五大シャトーとなれば、何はなくともやはりムートン、ワインも大好きなら絵も大好き、という人間にはまさにうってつけのワインだと思います。


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