Via Vino No. 57 "Loire / Alsace"

<ロワール/アルザス>

<日時・場所>
2014年8月9日(土)12:00〜15:00 広尾「マノワ」 
参加者:17名
<今日のワイン>
白・辛口・発泡「ピエール・フリック・クレマン・ダルザス・ゼロ・スルフィト・アジュテ2011年」
白・中辛口「マルク・クライデンヴァイス・クリット・ピノ・ブラン 2012年 」
白・辛口「ベルトラン・ジャノ・プイィ・フィメ 2012年」
白・辛口「リーフェル・リースリング・ヴィエイユ・ヴィーニュ 2012年」
赤・辛口「テュエリー・ピュズラ・トゥーレ−ヌ・ルージュ “ラ・ビュット”クロ・デュ・テュエ・ブッフ 2013年」
白・甘口・発泡「ルネ・ミューレ・クレマン・ダルザス・キュヴェ・プレステージNV」
<今日のランチ>
冷たいフォアグラのたいやき くぬぎマスの卵添え  
北海道北貝のレフォールのムース
鮎の2時間コンフィ 鮎の肝ソースと
伊豆天城山 夏鹿のロースト その鹿のジュとねずの実のソース
山梨県一宮町の桃の瞬間コンポート ヴェルヴェーヌの香り
カフェ

    


1.ロワール/アルザス 様々なワインを生み出す歴史地区

夏に味わうなら、ロワールとアルザスの清涼感あふれる白ワインを。
いずれも魚介類を中心とした日本料理とは抜群の相性。
冷涼な気候と単一品種が生み出すアロマティックなワインの数々。


 過去において何度もドイツ占領下に置かれたアルザスは、ドイツ的な単一品種のワインをフランス風に作ることで知られています。地理的にかなり北に位置しながら、西にそびえるヴォージュ山脈の影響で、東向きの斜面は比較的日当たりが良くなっています。  

 一方、フランス最長となるロワール河の流域にも多くのワイン産地が連なっているのですが、その多くはフルーティですっきりとした、早飲みタイプの白ワインで、甘口ワインやロゼワインが多いことで知られています。  

 ドイツとの国境にあり、歴史的に複雑な経過を辿ったアルザスと、多くの華麗な古城が立ち並ぶフランス宮廷文化の中心地ロワールは、まさに対照的な歴史地区ですが、いずれも冷涼な気候と多様な土壌で育った葡萄をもとに、品種独自のアロマを備えたワインを生み出しています。

2.ロワール、アルザスの生産者について

 今回ご紹介するワインの生産者以外にも、ロワール、アルザスそれぞれに著名な生産者が知られていますので、押さえておきたいと思います。

【ロワール・ワインの生産者】  
 ソーヴィニヨン・ブランから造られるサンセールやプイィ・フュメ、シュナン・ブランから造られるヴーヴレやサヴニエールは、いずれも歴史がはぐくむ品の良さ、爽やかな酸味を備えています。優れた生産者の多くがビオデナミを実践していることでも知られています。

ニコラ・ジョリィ Nicolas Joly  

 ビオデナミの伝道師と言われ、国内外の生産者の指導にあたっています。1987年にジョリイを訪ねたマダム・ルロワが、この農法を自社畑に取り入れて話題となりました。サヴニエールで「フランスの5大白ワイン」の1つとされる「クロ・ド・ラ・クーレ・ド・セラン」を単独所有しています。今世紀に入り、収穫を遅らせ、貴腐ブドウを多く含むようになってさらにその風味は向上したとされています。

ディディエ・ダグノー Didier Dagueneau  

 ビオデナミを実践しつつ、ボルドー大学のデュブルデュー教授の助言を仰いで最新技術を投入、プイィ・フュメでソーヴィニヨン・ブランから肉厚で引き締まったスタイルの「シレックス」を造り出しましたが、当主のディディエ・ダグノーは、2008年9月にフランス南西部ドルドーニュ地方で小型飛行機の操縦を誤り52歳の若さで亡くなりました。

アルフォンス・メロ Alphonse Mellot

 サンセール最大の元詰め栽培農家で、1513年の文献で既に上質なワインと記されていたとされます。現当主アルフォンスは18代目で、ビオデナミを実践し、樽発酵とシュール・リーを行うことでなめらかで厚みのあるワインを造ります。

ドメーヌ・ユエ Domaine Huet

 歴史的にも品質的にもロワールを代表する生産者で、ヴーヴレを本拠地に35haの畑を所有、その中でも17世紀以降最高の畑と評される「ル・モン」では最もミネラリーなワインが生み出されます。ビオデナミの実践者でもあります。良作年のモワルー(中甘口)はロワール最高の貴腐であるカール・ド・ショームやボンヌゾーと並ぶ評価を受けています。

マーク・アンジェリ Mark Angeli  

 ニコラ・ジョリィの元で学んだ、ビオデナミの代表的な生産者で、自分のやりたいことは農業なのだとして、ワインのラベルにも「ラ・フェルム(農場)・ド・ラ・サンソニエール」と記してあります。15hl/haの低収量を実現することにより、無補糖甘口の先駆的存在となりました。「ヴィーニュ・フランセーズ・アン・フール」は、フィロキセラ以前の畑を再現して、台木を使用しない自根の樹から造られたワインです。

【アルザス・ワインの生産者】

 リースリングやゲヴルツトラミネールなど、フランスの他の地域ではあまり扱われないドイツ系の品種が多く栽培されています。ロワールとはまた異なる意味で白ワインの代表的な生産地となっています。ヴォージュ山脈に由来する恵まれた気候と土壌から質の高いワインを造っており、近年では多くの生産者が、格付制度の枠を越えて、よりテロワールを重視する方向へと向かっています。

ヒューゲル・エ・フィス Hugel et Fils

 15世紀まで遡る長い歴史を持ち、独特の黄色いラベルが印象的なアルザスを代表する生産者です。ギネスブックにも掲載された最古の樽サント・カトリーヌを持っています。特級制度には異議を唱えており、ジュビリーは特級を名乗っていません。

トリンバック Trimbach

 1636年創業の名門で、1898年にブリュッセルで開催された国際品評会で最高位を獲得、当時の当主の名である「フレデリック・エミール」は、優良年にだけ造られるプレミアムアイテムとなっています。最高の畑と讃えられる「クロ・サン・チューン」を単独所有するものの、現行の特級制度に反対して特級の表記を入れていません。

マルセル・ダイス Marcel Deisse  

 従来の品種名表示に異議を唱え、ラベルに地名表示のみを行う、テロワールを重視する先鋭的な生産者です。2004年以降特級制度改革を実現させ、一部のワインでは地名表示のみや品種混合も可能となりました。

ヴァインバック Weinbach  

 19世紀末に設立された元詰め栽培農家で、アルザスを代表する品質で知られます。特級初認定のシュロスベルクの最大所有者であり、その区画のキュヴェ・サント・カトリーヌが有名です。単独所有するクロ・デ・キャプサンも高品質で知られています。

ズィント・ウンブレヒト Zind Humbrecht

 低収量と遅摘みにより、最も濃密で力強いスタイルを誇る生産者。最南の特級畑タンの中に、旗艦銘柄となるクロ・サン・テュルバンの区画があり、非常に高い評価を受けています。

ジョスメイヤー Josmeyer  

 1854年創業の元詰め栽培農家で、アルザスを代表するビオデナミの実践者。現4代目当主のジャンは、アルザスワイン生産者協会長を務める。発酵の際にもあえて温度管理は行わず、栽培だけでなく醸造においても自然であることを重視していて、厚みのあるワインを造っています。

3.ロワールとアルザスの品種

@ピノ・ブラン Pinot Blanc

 シャルドネに近い品種と言われますが、シャルドネの本拠地がブルゴーニュであるのに対し、ピノ・ブランの本拠地はアルザスで、クレヴナーKlevnerとも呼ばれています。高めの酸がありながら、多収量でも成熟した蒲萄に十分に糖分を貯える点で評価されています。イタリアではピノ・ビアンコPinot Biancoとして人気が高く、オーストリアではヴァイス・ブルグンダーWeissburgunderとして知られ、アーモンドのような香りと高めのアルコールがあり、確実に最高の成熟度に達します。

Aソーヴィニヨン・ブラン Sauvignon Blanc

 非常に特徴的な、メトキシピラジンに由来する青草やグーズベリーを思わせるハーブ香と爽やかな酸を持ち、ロワールのサンセールやプイィ・フィメの品種として知られています。フランスではロワールとボルドーが主要産地ですが、近年では新世界のニュージーランドが、より凝縮された鋭い香りと豊かな果実味で注目されるようになりました。

Bリースリング Riesling

 樹の堅さが耐寒性をもたらし、霜に対する抵抗力も強く、ドイツやアルザスなど冷涼な気候に適した品種で、酸が高く、蜂蜜のようなアロマは熟成と共に石油っぽさを帯びることで知られています。アイスワインや貴腐ワインなど、全てのレベルの甘口ワインがこの品種から造られています。

Cピノ・ノワール Pinot Noir

 タンニンと色素が低い品種ながら、官能的で透明感のあるワインを造ることができることで知られています。非常に古い品種で、2000年前から人間によって選抜された品種と考えられています。遺伝的には不安定で、それ故にクローンの多様性がこの品種の栽培を難しいものにしています。石灰質土壌と冷涼な気候を好み、ブルゴーニュの銘品の主要品種ですが、アルザスでも16世紀からこの品種は重要なものとして扱われていました。

Dガメィ Gamay

 この品種はボジョレの品種として有名ですが、早期に発芽、開花、成熟するため、春先の霜害を受けやすいが、ロワールのように涼しい地域でも繁茂します。色は淡く、青みがかっており、比較的酸が高く、活き活きとしたもぎたての赤い果実のアロマを持っています。  

 他にアルザスでは、独特のライチの香りが特徴的なゲヴルツトラミネールGewurztraminer、高いアルコールのピノ・グリPinot Grisが、またロワールでは、酸と甘さを兼ね備えたシュナン・ブランChenin Blac、独特のピーマン香が特徴的なカベルネ・フランCabernet Francが、それぞれ知られています。

4. テイスティング
 
      

「ピエール・フリック・クレマン・ダルザス・ゼロ・ スルフィト・アジュテNV」(タイプ:白・辛口・発泡性 品種:ピノ・ノワール100%  産地:フランス/アルザス)
 ピエール・フリックはアルザスのビオワインの先駆者です。アルザス地方のコルマールの南、ファッフェンハイム村にあり、1970年にビオロジック、1981年からビオデナミを始め、純粋に品種の個性を楽しむことができます。綺麗な黄金色で、酵母の香りがほんのり漂い、煮詰めたリンゴの様な密度のある味わいが楽しめます。

「マルク・クライデンヴァイス・クリット・ピノ・ブラン 2012年」(タイプ:白・中辛口 品種:ピノ・ブラン100%  産地:フランス/アルザス)
 クライデンヴァイス氏は、地元の誰もが手をつけない急斜面を耕し、ドメーヌをアルザス屈指の評価に高めた人物です。畑は12haで、うち3haはグラン・クリュ。ビオデナミを採用している造り手です。名前に付いている「クリット」とは地名のこと。なだらかな東斜面で、豊富な鉄分と小石の多い土壌は、ワインに多くの複雑さを与えています。樹齢50〜60年の、正真正銘の古木から作られるワインです。すっきりした柑橘系の香りに、ほんの少し甘みを感じる香りが混じります。

「ベルトラン・ジャノ・プイィ・フュメ 2012年」(タイプ:白・辛口   品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%  産地:フランス/ロワール)
 ジャノ家は200年以上続くドメーヌで、ボーヌで醸造学を学んだベルトランとその息子アレクシスがワインを造っています。14haのソーヴィニヨン・ブランの畑は、その多くが50年以上の樹齢のもので、蒲萄の実は手摘みされ、24時間のスキン・コンタクトの後17℃で発酵されます。草やライムの香りがあり、味わいはリッチでバランスの良い酸を持ち、伝統的なプイィ・フュメのスタイルを保っています。

      

「リーフェル・リースリング・ヴィエイユ・ヴィーニュ 2012年」(タイプ:白・辛口 品種:リースリング100%  産地:フランス/アルザス)
 1946年に元詰めを開始したリーフェルは、ミッテルベルクハイムを中心に両隣のバールとアンドローに計9.5haの畑を所有しています。2009年よりビオデナミに完全転換。自然酵母での発酵では伝統的なフードルとステンレスタンクを使い分け、熟成においてはワインに複雑味やミネラル感を与えるため、澱とともに長く熟成させることを大切にしています。花崗岩と砂岩土壌の区画の、樹齢35-50年の蒲萄を使用。柔らかなフルーティさに満ちた味わいに、独特のミネラル感とスモーキーさがアクセントを添えています。

「テュエリー・ピュズラ・トゥーレ−ヌ・ルージュ“ラ・ビュット” クロ・デュ・テュエ・ブッフ 2013年」(タイプ:赤・辛口 品種:ガメィ100%  産地:フランス/ロワール)
 ボルドーのクロ・フルテ、南仏のトゥール・デュ・ボンと、ワイン畑を渡り歩いたティエリー・ピュズラは、1994年に父の畑を兄と共に継ぎこの「クロ・デュ・テュエ・ブッフ」を起ち上げました。1999年には、ネゴシアン「ティエリー・ピュズラ」を起ち上げ、ビオワインの寵児として日本でも注目を浴びる造り手となったのです。このワインは、2003年から造られているそうですが、日本にやってきたのは前回2012年物が最初となります。樹齢60年〜65年のガメィを使い、SO2無添加で仕上げた逸品で、ガメィで造られるワインの中ではトップクラスとされています。

「ルネ・ミューレ・クレマン・ダルザス・キュヴェ・プレステージNV」(タイプ:白・甘口・発泡性   品種:ピノ・ブラン(25%)ピノ・オーセロワ(25%)  リースリング(20%)ピノ・グリ(10%)  ピノ・ノワール(20%) 産地:フランス/アルザス)
 ルネ・ミューレと、彼の子供であるヴェロニクとトーマスは、1648年から続くドメーヌの11代目と12代目にあたるアルザス南部、ローファの生産者です。小樽と大樽を使用して、18ヶ月熟成させ、その後「ソレラ」のような方法で貯蔵したワインを加えてボトリング。2次発酵に移り、さらに18ヶ月の熟成を経て出荷されます。5種類のブドウをブレンドする事で、複雑な香りと味わいになり、シャンパーニュとは一味違うスパークリングワインに仕上げています。

5. ロワール/アルザスワインの歴史

B.C.58年 アルザス南部セルネイ近郊で、カエサルがゲルマン族アリオウィストェス王を破る
91年   ドミティアヌス帝によるワイン禁止令、アルザスは対象外となる
2世紀頃  ヴォージュ山脈東麓全域に葡萄栽培広まる
360年  聖マルタン、ポワティエ近郊に最初の修道院建設
826年  ルイ敬虔王の時代、詩人エルモル・ル・ノワールによるアルザスワイン讃歌
1241年 聖王ルイの兄弟の晩餐会にソーミュールワインの記録あり
1429年 ジャンヌ・ダルク、シノン城にてシャルル7世と会見
1431年 ジャンヌ・ダルク、焚殺される
1453年 百年戦争終結、イギリスの撤退
1519年 フランソワ1世、シャンボール城建設に着手。クロ・リュセ館にてレオナルド・ダ・ヴィンチの死
1532年 ラブレー「ガルガンチュアとパンタグリュエル」にブルトン(カベルネ・フラン)の記載あり
1547年 アンリ2世、シュノンソー城を愛妾のディアーヌ・ド・ポワチエに贈る
1598年 アンリ4世によるナント勅令、宗教の自由
1648年 三十年戦争の終わり、アルザスはフランス領となる
1685年 ルイ14世によるナント勅令廃止、シャンボール城の完成
1709年 ナント地方の晩霜、ムロン種の栽培へ
1796年 ナントの虐殺
1870年 普仏戦争勃発
1871年 フランクフルト条約により、アルザス、ロレーヌはドイツ領となる
1911年 ドイツ帝国、アルザスに自治議会を認める
1914年 第一次大戦勃発
1919年 ヴェルサイユ条約により、アルザスはフランス領となる
1925年 ロカルノ条約(独・仏・英・伊間安全保障条約)
1939年 第二次大戦勃発、ドイツ軍のアルザス占領
1945年 第二次大戦終結、アルザスはフランス領となる

 「皆さん、私のフランス語の授業はこれが最後です。ドイツ語しか教えてはいけないという命令が、ベルリンから届きました……」 アルザスを舞台にしたドーテの短編「最後の授業」は、普仏戦争終結後に発表された作品ですが、敗戦国の悲哀を描いた名作として知られています。もっとも、アルザスにおけるフランス語がどこまで母国語として親しまれていたかは難しいところです。アルザスの住民の大部分はドイツ人の一部であるアレマン人で、現在130万人の住民がドイツ語の方言であるアルザス語を話しています。  

 戦争の度に、ドイツとフランスとの間で翻弄される……アルザスの歴史はまさに、戦争による荒廃と奇跡的な復活との繰り返しでした。三十年戦争、フィロキセラ禍、そしてドイツによる支配……第二次大戦下では、ヒューゲル家のように、まさに兄弟が敵味方に分かれて戦うような悲劇に見舞われることもありました。

 外的環境に翻弄されつつ、アイデンティティを模索し続けることによって得られた高い品質。様々な苦難の末に形作られたアルザスワインは、単にフランスワインとドイツワインの長所を合わせ持つだけでなく、永遠の生命の象徴ともなるワインそのものを代表する存在と言えるでしょう。

 ドイツとフランスの中間的な存在であるアルザスに対し、ロワールは、まさに百年戦争以後のフランス宮廷文化の中心地でした。そのため、ロワール周辺の言葉が標準フランス語として定着したと言われています。その歴史は、修道院、中世、ルネッサンス以降と、大きく三つの時代に区分できます。

 第一に修道院の時代が訪れ、キリスト教の普及に伴って、修道院か次々と葡萄畑を開墾し整備していきました。4世紀末、トゥール郊外に修道院を設立した聖マルタンに始まり、多くの司教達が修道院の建立と合わせて、葡萄畑を広げたのです。6世紀になると葡萄栽培地の発展の様子がいくつかの歴史書の中で言及されるようになり、アンジューやヴーヴレのワインに関する記録が早くも見られるようになります。

 中世に入ると、12世紀頃から畑の選別が行われるようになり、アンジュー伯とイギリス王を兼ねていたプランタジネット家の治世になると、そのお膝元ロワールのワインは、ボルドーワインに先立って大量にイギリスに輸出されるようになりました。その後ロワールはオランダによって取り仕切られるようになり、優良なワインは河川を利用して外国に運ばれました。15-6世紀にイタリア・ルネッサンスにならって、華麗な城が建造されるようになると、城の王達はワインを求め、結果としてロワールワインの名声は高まります。

 宗教改革の後に全ヨーロッパを襲った長い宗教戦争により、フランス宮廷文化は一時衰退しますが、王位についたアンリ4世は、「ナント勅令」によって宗教対立の融和を図ります。この画期的な条例は1685年にルイ14世によって廃止されますが、その直後、ナントは激しい晩霜に襲われ畑は壊滅状態に陥ります。それ以来より耐寒性の強いムロン種がブルゴーニュから導入され、ミュスカデとしてこの地に定着しました。このナントのミュスカデや、ソミュールの発泡性ワインなどが評判となり、フレッシュで飲みやすいロワールワインの名声が、現代まで繋がっていくことになりました。

<今回の1冊>

 
   
山本博「ローヌとロワールのワイン」(河出書房新社)
 ボルドーやブルゴーニュのワインに関する本は色々ありますが、ロワールやアルザスのワインに関する本はまだまだメジャーとはいえないかも知れません。こちらはローヌとロワールのワインを一冊にまとめたご存知山本博先生の著書。今回のロワールとアルザスも、つながりという点では冷涼系白ワインの名産地くらいのものかも知れませんが、ローヌとロワールも大きな川沿いの生産地という共通点がある程度で、むりやり一冊というのもある意味乱暴な気もしますが、生産者について細かいリストを巻末に載せているのは非常に助かります。ワインはテロワールの産物には違いありませんが、やはり生産者からのアプローチが一番分かりやすいような気がするのです。

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