Via Vino No. 64 "Japanese Food with Sherry III"
和食とシェリー3


<日時・場所>
2015年11月7日(土)12:00〜15:00 日比谷「なだ万讃アプローズ」 
参加者:10名
<今日のワイン>
辛口・マンサニージャ「ホワイト・ゲリラ マンサニージャ」
辛口・フィノ「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・フィノ」
辛口・アモンティリャード「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・アモンティリャード12年」
辛口・オロロソ「ロマテ・ドン・ホセ・オロロソ 」
甘口・クリーム「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・クリーム」
<今日のディナー>
【旬菜】青菜煮浸し、胡麻豆腐、サーモン南蛮漬けの3種盛り
【お造り】2種盛り合わせ
【温菜】チーズのスープ蒸し
【メイン】海老、アスパラガス、ヤングコーン 椎茸、豚肉のフリット
【食事】 御飯 香の物
【デザート】 グラマラッカ

    


1.インターナショナル・シェリー・ウィークについて

辛口から極甘口まで、多彩な味わいを持つシェリー。
現地では食前酒というよりもむしろ食中酒。
魚介類を中心とした日本料理とは抜群の相性を見せます。

 日本ではシェリー、特にドライ・フィノ・シェリーは、代表的な食前酒として扱われています。しかし、現地スペインでは、バルなどでタパスなどと共に気軽に食中酒として楽しまれています。  ヘレスやマンサニージャは海に近く、シェリーはそこで魚介類と一緒に飲まれています。アルコールが高く酸が低いところなども日本酒に通じるものがあり、日本でももっと親しまれて良いお酒だと言えるでしょう。

 昨年は6月だった「インターナショナル・シェリー・ウィーク」、本年は11月2日から8日までとなりました。ここ日本でシェリー・ウィークを祝うのなら、やはり日本料理がふさわしいでしょう。

 これまで、2013年「シェリー・デイ」、2014年「シェリー・ウィーク」と世界中を巻き込んだシェリーイベントを開催してきましたが、22カ国で2,000を超えるイベントが開催され、世界中でおよそ10万名がイベントに参加。今年もすでに、オーストラリア、ベルギー、ドイツ、オランダ、メキシコ、ニュージーランド、スペイン、スイス、イギリス、アメリカなど10カ国で、100を超えるイベントが登録されています。。

2.ワインテイスティング
 
     

「ホワイト・ゲリラ マンサニージャ」(タイプ:辛口/マンサニージャ 品種:パロミノ100%  産地:スペイン/ヘレス アルコール度15%)
 スパニッシュ・ホワイト・ゲリラシリーズは、造られるほとんどのワインが赤ワインというリオハにおいて、「リバリス」シリーズを造る「カスティーリョ・デ・マエティエラ」から、白葡萄の単一品種で造るワインシリーズです。4年熟成したマンサニージャも、このゲリラシリーズに登場! 軽やかな味わいで、それでいて後に複雑味が残ります。ボイルした魚介料理に良く合います。

「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・フィノ」(タイプ:辛口/フィノ 品種:パロミノ100%  産地:スペイン/ヘレス アルコール度15%)
 1877年、イギリス人のアレクサンダー・ウィリアムズが義父のアーサー・ハンバートと共に興した、スペイン最大のボデガを持つウィリアムズ&ハンバート社。同社が世界的名声を築き上げてきたルイス・パエス社の「ドン・ソイロ」ブランドを引き継ぎ、より優れた品質と長い熟成を重ねたシェリーとしてリリースしたのが「ウィリアムズ&ハンバート・コレクション」です。厳選したパロミノ種のファーストプレスの果汁のみを使い、ホワイトオーク樽でのソレラ・システムによる熟成を経て生まれる辛口のフィノで、かすかに緑色を帯び、輝く透明感のある黄色の色調があります。その香りはストレートで華やかで、すっきりとした酸味を持ちながらも丸みがあり、口中には熟成による繊細な複雑さが広がります。

「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・アモンティリャード12年」(タイプ:辛口/アモンティリャード 品種:パロミノ100%  産地:スペイン/ヘレス アルコール度18%)
 「ウィリアムズ&ハンバート・コレクション」の1つですが、全面にフロールを生じさせてできるフィノに対し、アモンティリャードは樽の上面の70-80%しかフロールが生じないものを更に時間をかけて熟成させています。「12年」の表示はソレラ・システムによる平均熟成年数を示しています。トパーズのような魅力的な色合いと、ほのかな甘さを感じさせる豪直な香りが特徴 です。香ばしくローストしたニュアンスが 酸味と引き立てあい、その味わいを一層甘美に、かつ複雑にしています。中国料理やエスニックのスパイシーさや、熟成の進んだチーズ、ハム、ソーセージとの相性は最高です。

「ロマテ・ドン・ホセ・オロロソ18年熟成」(タイプ:辛口/オロロソ 品種:パロミノ100%  産地:スペイン/ヘレス アルコール度15%)
 サンチェス・ロマテ・エルマノス社は、1781年に慈善家で当時有名だったホワン・サンチェス・デ・ラ・トーレ氏が創業した最も古いスペインのボデガスの一つです。ヘレス・ド・ラ・フロンテラ市の中心に位置し、1887年には最初のブランデーのソレラを組みました。強いブーケ、ボディを持ち、口の中でわずかな甘さが感じられます。一般的な色は黄金色と褐色の中間。アメリカンオークの中で熟成させており、年とともに色がさらに暗くなり、木のフレーバーも感じられます。

「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・クリーム」(タイプ:甘口/クリーム 品種:パロミノ+ペドロ・ヒメネス  産地:スペイン/ヘレス アルコール度18%)
 「ウィリアムズ&ハンバート・コレクション」の1つですが、パロミノ種とペドロ・ヒメネス種から造られます。ペドロ・ヒメネス種を天日乾燥させてから搾汁。糖度の高い果汁を発酵させ、夏にソレラ・システムで熟成させます。香りとコクの強い、オロロソベースの甘口シェリーです。干したプルーンやレーズン、イチジクなどを思わせる香りは、リッチで滑らかな味わいと共に至福の時に誘います。決して甘すぎることのない絶妙な調和が心地よく余韻として残ります。

3.シェリーの食相性

【シェリーと料理の相性】
 シェリーは、辛口から極甘口まで、多様な味わいを持つワイン。いろいろなタイプがあるので、どんなお料理とも相性が良いのです。

 よく冷やしたフィノやマンサニーリャは、オードブルやタパス各種、エビ、蟹、貝類、白身魚などを塩味系で調理したもの、マイルドなチーズなどに合います。天ぷらの起源のような魚介のフライは、シェリーの産地の得意料理。アモンティリャ―ドは、各種スープやコンソメ、白身肉、青身魚を各種ソースで調理したもの、熟成タイプのチーズと好相性。中華系ソースともマッチします。

 オロロソは、ジビエや赤身肉、しっかりした味の煮込み、熟成タイプのチーズに。また、アジア系スパイスが効いたエスニック料理にも。ペイル・クリームはフォアグラやフレッシュ・フルーツ、そして中華の辛口およびスパイシーな料理や甘辛ソース味のものとどうぞ。ミディアムも軽く冷やしたものはパテやキッシュに最適。アジアン・テイストの甘辛酸っぱい味付けにも。クリームはボディと甘さがあるためデザート類に合うシェリーです。ペドロ・ヒメネスもどんなデザートにも合いますが、アイスクリームのソースになるし、チョコレート系スイーツやブルーチーズにも合います。

【シェリーと日本料理 】
 日本料理は魚介が中心となり、ワインと合わせようとすると、特に生ものや干物、塩辛などは生臭さが強調されてしまう場合があります。ワインに含まれる鉄イオンや二酸化イオウが、魚介のDHA成分と結びつくことで、生臭さの原因となるアルデヒドなどの物質が発生するとされています。その点シェリーは、酸が低くアルコール度が高い点で日本酒や紹興酒に近い味わいをもっており、あらゆる魚介類と抜群の相性を見せてくれるのです。

 マンサニージャは海に近いサンルーカル・デ・バラメーダで作られており、磯の香りとさっぱりした味わいが魚介の刺身に合うとされています。フィノはより味わいが強いので、すこし炙りを入れたサーモンや、塩味を利かせた焼き魚などが合います。

 アモンティリャードは、コンソメとの相性が良いとされていますが、出汁を利かせた煮魚などの味も引き立ててくれます。オロロソは肉料理やチーズと合いますが、その意味では和風の上品な味付けの肉料理とも赤ワイン以上の相性を見せてくれます。  甘口シェリーであるクリームは、あんみつや和菓子など、砂糖の味を利かせた甘い物と合わせます。さらに濃厚な甘さを持つペドロ・ヒメネスは、黒蜜の代わりにもなるので、かなり幅広く応用できます。

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