Via Vino No. 70 "Gibier & French Wine IV"
ジビエ&フランスワインW


<日時・場所>
2016年12月3日(土)18:00〜21:00 広尾「マノワ」 
参加者:18名
<今日のワイン>
辛口・白・発泡性「グロンニェ マグナム ブリュット 」
辛口・白「ドメーヌ・ジュリエット・アヴリル ・シャトーヌフ・デュ・パプ ・ブラン2015年」
辛口・赤「ドメーヌ・カミュ・シャルム・シャンベルタン 2002年」
辛口・赤「ドメーヌ・ド・ラ・シャルボニエール ・シャトーヌフ・デュ・パプ・ルージュ 2012年」
辛口・赤「ポール・ジャブレ・エネ ・クローズ・エルミタージュ・ドメーヌ・ドゥ・タラベール2005年」
<今日のディナー>
【アミューズ】
マノワの3種のアミューズ 岩見沢のキジのクロケット 日本鹿のムース いのししのリエット
【4種の国産ジビエ】
伊豆河津の熟成日本鹿のテリーヌ スコットランド、
山ウズラのロースト キャラメルオニオンのソース
岐阜県、熟成ウリ坊のロースト そのジュ
長野県、木祖村の月の輪熊のもも肉のロースト ねずの実の香り
【デザート】
マノワの球体モンブラン 2016年

     


1.ジビエとワインについて

土地の恵みを食べて育ったジビエは、凝縮された野生の旨味。

 秋から冬にかけて、フランスの食卓を彩る旬の食材であるジビエ。アルザスやロワールでは鹿、北部のピカデリー地方では真鴨などの水禽類、南部地中海に浮かぶコルシカ島ではイノシシなどが知られています。  

 ちなみに鹿肉は牛肉と比べて脂肪が1/10以下と少なく、タンパク質はほぼ2倍と多いことが知られています。また脳の働きを活発にし、善玉コレステロールを増やす働きのあるDHA(ドコサヘキサエン酸)をはじめとする不飽和脂肪酸が多く含まれています。さらに鉄分を多く含んでおり、その量は牛肉の約7倍、豚肉の約10倍にも達しています。  

 そしてイノシシも、同じく低脂肪・高タンパク質で知られていますが、特に必須アミノ酸であるスレオニンを多く含むことで知られています。その量は牛肉の2倍以上、豚肉の3倍以上です。スレオニンは植物には植物性食品からは摂取しにくいとされますが、成長促進作用があり、脂肪肝を防ぐ効果もあり、コラーゲンの材料ともなる重要な栄養素です。疲労回復に効果のあるアスパラギン酸や、免疫系に重要なアラニンの含有量も、牛肉や豚肉を上回ると言われています。  

 この時期にワインとジビエを楽しむことは、いかにも自然に恵まれたフランスならではの習慣と言えるでしょうが、食生活を考える上で非常に大切な意味が込められているように思われます。ぶどうをそのまま発酵させ、その土地の恵みを味わうために、より自然な果実から極力手を加えすぎずに造りだされる上質なワインと、大地に生きる動物や鳥類から直接重要な栄養素を受け取ることのできる上質なジビエとには、やはり通じ合うものがあると言えるのではないでしょうか。

2.ジビエ紹介

【日本鹿(ニホンジカ)】  
 日本に住む鹿には、北海道の蝦夷鹿と、本土の本州鹿(日本鹿)がいます。蝦夷鹿は本州鹿より大きく、雄は体重約140kg、雌は体重約80kgにもなります。肉は赤く脂肪は少なめで、2、3歳までの若い物が柔らかく味が良いとされます。本州に住む本州鹿は、体重約40kgから80kg、肉は赤身できめが細かく、蝦夷鹿よりもさらに柔らかで脂肪が少ないとされます。主として木の葉を食べるため、新緑の季節が良いという説もあります。ちなみにフランスで食べられている鹿の多くは、体重20kg前後の小型の野呂鹿ですが、体重300kg以上にもなる大型の赤鹿なども一部家畜化されています。

【山鶉(ヤマウズラ)】  
 ヨーロッパヤマウズラは、体長約30cmと日本のウズラより大きく、黄褐色で、首から腹部にかけて灰色、腹部に黒褐色の部分があり、オスはそれが大きくメスは小さいとされています。一回に産む卵の数は鳥類の中で最も多いとされ、最高28個という記録もあります。農耕地や林に棲息し、地上で草の種子などを食べます。肉は白身で、あっさりとしており、特に生後一か月までの幼鳥はペルドローグリと呼ばれ、成鳥よりもさらに肉が柔らかく美味しいとされています。

【猪(イノシシ)】  
 日本でも古くから食用にされ、肉の色から「ぼたん」とも呼ばれています。秋に木の実やキノコなどを豊富に食べて蓄えた脂肪が旨味になるとされています。11月下旬から約1ヶ月間が最も美味とされています。12月後半から発情期を迎え、蓄えた栄養を消費してしまうので、雄、雌ともに味が落ちてしまいます。日本では成獣を狩りますが、フランスでは肉が硬くなるのを嫌って、生後3〜6ヶ月の幼獣を珍重します。味、料理法等は豚肉に準じますが、加熱しても豚肉より柔らかさが保たれます。

【熊(ツキノワグマ)】  
 体長120〜180cm、体重はオス50〜120kg、メス40〜 70kgで、最大体重173kgに達します。全身の毛衣は黒いが、赤褐色の個体もあり、胸部に三日月形やアルファベットの「V」字状の白い斑紋が入っていて、和名の由来にもなっています。日本では古来より狩猟対象となっていて、特に胆嚢は生薬として珍重されています。

3.ワインテイスティング

   
「グロンニェ・マグナム・ブリュット」
(タイプ:白・辛口・発泡性、品種:ピノ・ノワール1/3、ピノ・ムニエ1/3、シャルドネ1/3、産地:フランス/シャンパーニュ/コート・ド・セザンヌ)

 グロンニェ家は、コート・デ・ブランの南エトージュで1885年からブドウ栽培を始め、1950年からRMとして本格的に活動を開始しました。家族経営を貫いており、現在5代目セシル グロニェによって運営されています。地元エトージュに合計14haの畑を所有しており、すべての畑は斜面にあります。生産量の半分をモエ・エ・シャンドンにブドウで販売し半分をドメーヌで自社詰めしています。年間生産量は5000ケース足らず。生産量のほとんどが熱狂的な個人客にダイレクトで販売されてしまいます。グロンニェがあるエトージュ村は、コート・デ・ブランの南、地域区分でいうとコート・ド・セザンヌに属します。コート・デ・ブランと同様の白亜土壌ですが、やや粘土質が加わり、豊富なミネラルや酸に加えて力強い果実味とコクをもったシャンパーニュが生まれます。

「ドメーヌ・ジュリエット・アヴリル ・シャトーヌフ・デュ・パプ ・ブラン2015年」
(タイプ:白・辛口、品種:グルナッシュ・ブラン、ルーサンヌ、クレーレット、ブールブーラン 、産地:フランス/ローヌ)

 18世紀にシャトーヌフ・デュ・パプの領主であったアヴリル家を祖先に持つドメーヌで、シャトーヌフ・デュ・パプがAOCに認定される以前の1928年頃に、ジュリエット・アヴリルの父であるジャン・アヴリルが他の著名な生産者達と共にシャトーヌフ・デュ・パプのワイン生産の基礎を築き、その後のAOC昇格(1936年)へ導いたとされています。所有する合計30haの畑のうち22haがシャトーヌフのワインに充てられます。シャトーヌフ・デュ・パプの白品種は、赤ワイン用の品種に先駆けて収穫、除梗しすぐにプレス、温度を18度にコントロールし醸造。果実のフレッシュなアロマと味わいを強調するために、マロラクティック発酵は行いません。白い花のフローラルな香りに加え香るフェンネルやスパイス、フレッシュなアタック、柑橘類やキウイを連想させる果実のふんだんな味わいとのびやかな酸が特徴です。 

     

「ドメーヌ・カミュ・シャルム・シャンベルタン 2002年」
(タイプ:赤・辛口、品種:ピノ・ノワール、産地:フランス/ブルゴーニュ/コート・ド・ニュイ)
 特級シャンベルタン第4の地主、1732年から記録が残る名家ドメーヌ・カミュは、所有する16.8haの畑のうち2/3が特級畑という、ジュヴレ・シャンベルタン村で最大の特級畑所有者です。当主ユベールは1989年から2002年までブル ゴーニュ委員会を率い、ブルゴーニュワインの品質を向上させた最大の貢献者のひとりとして、1990年にはレジョン・ドヌール勲章を国家から授与されています。シャルム・シャンベルタンは、黒い果実、リコリス、スパイスのリッチな香りがあり、驚くほど長い余韻を楽しむことができます。

「ドメーヌ・ド・ラ・シャルボニエール ・シャトーヌフ・デュ・パプ・ルージュ 2012年」
(タイプ:赤・辛口、品種:グルナッシュ70%、シラー15%、ムールヴェードル15%、産地:フランス/ローヌ)
 1912年に現在の当主であるミシェル・マレ氏の祖父、ウージーヌ・マレ氏がドメーヌを購入、ミシェル・マレ氏は、1972年からドメーヌで働き始め、1978年にシャルボニエール(シャルボンは炭の意味で、このエリアに炭焼き場が存在していた)という名前をドメーヌに名付けました。現在、ミシェル・マレ氏は21.5haの畑を所有しています。2004年に木製大樽(46〜50hl)を購入し、これで醗酵・熟成を行っています。2008年からビオロジック農法を始めています。

「ポール・ジャブレ・エネ ・クローズ・エルミタージュ・ドメーヌ・ドゥ・タラベール2005年」
(タイプ:赤・辛口、品種:シラー 、産地:フランス/ローヌ)
 ポール・ジャブレ・エネの歴史は1834年にアントワーヌ・ジャブレによって始まりました。 ワイン造りへの情熱はその次の世代であるポールに受け継がれ、 「ポール・ジャブレ・エネ」として7世代にわたり、卓越した品質のワインを造り出しています。除草剤の使用を禁止し有機肥料を採用し、テロワールを反映したワイン造りを進めています。ぶどうの平均樹齢は40年で、収量は1haあたり25〜35hlにまで抑えられています。ドメーヌ・ドゥ・タラベールは、創立当時から所有するタラベール畑のシラーを粒選りしたもので、凝縮された味わいを、きめ細かいタンニンがワインをエレガントな印象にしています。

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