Via Vino No. 71 "Gibier & French Wine V"
ジビエ&フランスワインX

<日時・場所>
2017年2月4日(土)18:00〜21:00 広尾「マノワ」 
参加者:18名
<今日のワイン>
辛口・白・発泡性「ベルナール・ペルトワ・キュヴェ・レゼルヴ・マグナム・ブリュット」
辛口・白「シャトー・ド・ボールガール・サン・ヴェラン 2014年」
辛口・赤「アントナン・ロデ・サヴィニー・レ・ボーヌ 1999年」
辛口・赤「ドメーヌ・ジュリエット・アヴリル・ シャトーヌフ・デュ・パプ・ルージュ 2012年」
辛口・赤「マキシム・グライヨ・クローズ・エルミタージュ・エキノックス 2015年」
<今日のディナー>
【アミューズ】
マノワの3種のアミューズ
【4種の国産ジビエ】
長野県木祖村、月の輪熊のコンソメジュレと魚介のタルタル
1ヶ月熟成させた千葉県の青首鴨鴨のロースト その内臓のソースで
1ヶ月熟成させた伊豆・河津の日本鹿のロースト そのジュとビーツのソースで
鹿児島県のアナグマのロースト 赤ワイン、エピスソースで
【デザート】
愛媛県のみかんとヴァローナチョコレートの球体

    


1.ジビエとワインについて

土地の恵みを食べて育ったジビエは、凝縮された野生の旨味。

 ジビエを訳せば、「狩猟鳥獣」となります。日本で狩猟可能な鳥類には鴨、鳩、鴫(シギ)、雉(キジ)など、獣類では鹿、猪、熊、野兎などがあります。飼育された動物に比べ、運動量が多く、自然の餌を食べて育つジビエには、肉本来の旨味が段違いに含まれています。

 よいジビエには3つの条件があるとされています。ひとつは、ジビエの質が良いこと。鹿や猪は3歳以下の雌を選びます。日本では鳥類が北海道で10月、本州以南で11月、哺乳類は12月に入ってやっと解禁となります。ふたつめは、猟師の技術が高いこと。ストレスを感じないよう一発で仕留めた後、すみやかに内蔵を抜いて肉の温度を下げなければなりません。そして最後は、言うまでもなく料理人の技術が高いことです。3つのうちいずれが欠けても完璧なジビエ料理にはならないのです。

 昔はジビエといえば肉の熟成具合が重要とされ、キジなどは腐敗直前まで寝かせるとも言われていましたが、今では味を強くする熟成より、ある程度鮮度を重視するようにもなっています。毛や羽は殺菌作用があるので、保存の際には剥かずに冷蔵庫に入れます。

 古代ローマにおいて、一般人の食生活は、パンとチーズ、野菜と乾燥果実が中心の質素な物でしたが、権力者は野獣をアフリカなどから取り寄せて食べていました。絶対王制下のヨーロッパでは、王侯貴族が領土に犬を放ち、狩猟に興じていました。農民がポタージュとパンで飢えをしのいでいた頃、貴族達はジビエの大饗宴を行っていました。現在は誰もが食べられるようになったジビエですが、こういった歴史的背景は知っておく必要があります。特に日本では、野生鳥獣による農作物の被害額は年間に200億円を超えており、食肉として有効活用を図ることが非常に重要視されています。

2.ジビエ紹介

【熊(ツキノワグマ)】  
 体長120〜180cm、体重はオス50〜120kg、メス40〜 70kgで、最大体重173kgに達します。全身の毛衣は黒いが、赤褐色の個体もあり、胸部に三日月形やアルファベットの「V」字状の白い斑紋が入っていて、和名の由来にもなっています。日本では古来より狩猟対象となっていて、特に胆嚢は生薬として珍重されています。

【青首鴨(アオクビガモ)】  
 北半球に広く分布し、日本には主として冬鳥として飛来します。水草などの植物を食用としており、血の色が濃く、野趣に満ちた味を持っています。雄の頭部は光沢のある緑色で、首にはっきりとした白い輪が見られます。雌は褐色で、黒褐色の模様があります。雌の方が脂肪層も厚く、風味も強いとされています。ちなみにコルヴェールとは「緑の首」という意味であり、日本語での鴨の異称である「青頸」と同義語です。

【日本鹿(ニホンジカ)】  
 日本に住む鹿には、北海道の蝦夷鹿と、本土の本州鹿(日本鹿)がいます。蝦夷鹿は本州鹿より大きく、雄は体重約140kg、雌は体重約80kgにもなります。肉は赤く脂肪は少なめで、2、3歳までの若い物が柔らかく味が良いとされます。本州に住む本州鹿は、体重約40kgから80kg、肉は赤身できめが細かく、蝦夷鹿よりもさらに柔らかで脂肪が少ないとされます。主として木の葉を食べるため、新緑の季節が良いという説もあります。ちなみにフランスで食べられている鹿の多くは、体重20kg前後の小型の野呂鹿ですが、体重300kg以上にもなる大型の赤鹿なども一部家畜化されています。

【穴熊(アナグマ)】  
 ニホンアナグマは、食肉目イタチ科アナグマ属に分類される食肉類。日本の本州、四国、九州地域の里山に棲息しています。11月下旬から4月中旬まで冬眠しますが、地域によっては冬眠しないことも。 体長は40-50 cm。尾長6-12 cm(地域や個体差により、かなり異なる)。体重4-12 kg。指は前肢、後肢ともに5本あり、親指はほかの4本の指から離れていて、爪は鋭く、食性はタヌキとほとんど同じで、特にミミズやコガネムシの幼虫を好み、土を掘り出して食べます。人為的に移入されたアライグマとの競合などにより生息数は減少しています。

3.ワインテイスティング

   
「ベルナール・ペルトワ・キュヴェ・レゼルヴ・ マグナム・ブリュット」
(タイプ:白・辛口・発泡性  品種:シャルドネ100%  産地:フランス/シャンパーニュ/コート・デ・ブラン)

 ル・メニル・シュル・オジェに10世代以上続く名門RMです。年間生産量20,000本というRMの中でもとりわけ小さな規模で、生産量のほとんどはヨーロッパの愛好家1500人に毎年予約で完売してしまうと言われています。厳格なリュット・レゾネを実践し、化学肥料、除草剤、殺虫剤は一切使用していません。天然酵母のみで発酵させ、テット・ド・キュヴェ(一番絞り果汁)のみを使用します。熟成したシャルドネ特有の香ばしいうまみに満ち溢れた銘醸です。

「シャトー・ド・ボールガール・サン・ヴェラン 2014年」
(タイプ:白・辛口   品種:シャルドネ  産地:フランス/ブルゴーニュ/マコネ)

 ブーリエ家は 5 世代に渡りブルゴーニュ南部(マコネ・ボジョレ地区)において、ぶどう畑を所有し、ワイン造りを営んできた歴史ある家系です。15 世紀よりこの地方にその名を残し、レ・ブーリエと呼ばれるフュイッセ村から 7km離れたレ・ブーリエという村に位置しています。マコネ・ボジョレ地区において広大かつ良の畑を所有することで知られ、「テロワールの個性」を引き出すことを目指し、妥協のないぶどう栽培を徹底してきました。 

   

「シアントナン・ロデ・サヴィニー・レ・ボーヌ 1999年」
(タイプ:赤・辛口、品種:ピノ・ノワール、産地:フランス/ブルゴーニュ/コート・ド・ニュイ)
 ベルトラン・ドヴィヤールが経営手腕を発揮しているアントナン・ロデ。現代ブルゴーニュの典型的なスタイルで、 赤は色がかなり濃く、新鮮な赤果実の濃厚なアロマがあります。こうしたスタイルを築き上げるのに大いに貢献したのが、醸造責任者ナディーヌ・ギュブランです。ベリー系の赤い果実の香りと熟成香を感じるまろやかな赤ワインです。ほのかな酸味とタンニンのバランスが心地よく、長い余韻が造りの良さを実感させてくれます。

「ドメーヌ・ジュリエット・アヴリル・ シャトーヌフ・デュ・パプ 2012年」
(タイプ:赤・辛口   品種:グルナッシュ・ノワール70%+シラー20% +ムールヴェードル10%  産地:フランス/ローヌ南部)
 18世紀にシャトーヌフ・デュ・パプの領主であったアヴリル家を祖先に持つドメーヌで、シャトーヌフ・デュ・パプがAOCに認定される以前の1928年頃に、ジュリエット・アヴリルの父であるジャン・アヴリルが他の著名な生産者達と共にシャトーヌフ・デュ・パプのワイン生産の基礎を築き、その後のAOC昇格(1936年)へ導いたとされています。所有する合計30haの畑のうち22haがシャトーヌフ・デュ・パプのワインに充てられます。一部除梗、ステンレスタンクで2週間の醸造後、10%は600リットル入りの大樽、90%はステンレスタンクで8ヶ月間熟成。ガリーグ(南仏特有の低灌木)の香りやフレッシュな赤いベリーの華やかな香りが特徴です。

「ドメーヌ・デ・リセ・マキシム・グライヨ ・クローズ・エルミタージュ・エキノックス 2015年」
(タイプ:赤・辛口  品種:シラー100%  産地:フランス/ローヌ北部)
 ドメーヌ・デ・リセの当主であり、クローズ・エルミタージュを代表する造り手アラン・グライヨの愛息子であるマキシム・グライヨ氏は、ブルゴーニュで醸造学を学んだ後、カリフォルニアのターリーなどで修行し、2003年に畑を購入。初ヴィンテージの2004年で早くも話題を呼び、パリの有名なワイン・ショップ『カーブ・オジェ』の店頭にそのワインが並ぶなど、注目の存在になりました。チェリーの香りが感じられ、果実味とエレガントな酸があり、タンニンもつきすぎず非常に良いバランスとなっています。新樽も5〜10%に抑えており、父親譲りの伝統と現代的な醸造技術が共存した造りのワインだと言えます。

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