Via Vino No. 77 "Gibier & French Wine VII"
ジビエとフランスワイン7


<日時・場所>
2018年2月10日(土)18:30〜21:00 広尾「マノワ」 
参加者:13名
<今日のワイン>
白・辛口・発泡性「ジャン・ミッシェル・ラ・プティト・ムロット・ブラン・ド・ブラン 2012年」
白・辛口「ロミュアルド・ヴァロ・メルキュレ 2000年」
赤・辛口「ヴァンサン・ジャン・ピエール・シャルトン ・メルキュレ・プルミエ・クリュ・レ・ノーグ 2014年」
赤・辛口「シャーヴ・セレクション・サン・ジョセフ・オフル 2009年」
赤・辛口「サンテミリオン・シャトー・デュ・コーズ1996年」
<今日のディナー>
【アミューズ】
マノワの3種のジビエのアミューズ(ベキャスのコロッケ、ヒグマとイノシシを使ったアミューズ)
【4種の国産ジビエ】
栃木県・熟成日本キジのサラダ仕立て
岐阜県・尾長鴨と金柑と春菊
北海道・北見 蝦夷雷鳥のロースト その内臓のソースで
北海道・北見 雪うさぎのパイ包み焼き
【デザート】
苺のシブースト

     


1.贅沢なジビエをフランスのワインで愉しむ!

国産ジビエは、日本の自然保護と飲食業の活性化につながります。

【日本雉(ニホンキジ)】
 日本の国鳥です。ユーラシア大陸の温帯に分布し、日本には4亜種が知られています。肉は脂肪分が少なく美味で、しかも捕りやすいので古来から食されてきました。鳥肉の中では最高級品として好まれ、現在でも宮中の元旦の御膳には欠かせない食材とされています。ヨーロッパには16世紀に伝えられました。肉を柔らかくする為に、7〜10日ほど冷所に吊るして熟成させるジビエ特有の手法「フェザンタージュ」はこのキジ(フェザン)の名から来ています。
【尾長鴨(オナガガモ)】
 オナガガモは、カモ目カモ科カモ亜科マガモ属に分類される鳥類の一種です。北半球に広く分布する大型のカモで、名前通りオスの尾羽が長いのが特徴です。冬季はユーラシアから熱帯地域やアフリカ北部に渡り越冬し、カモ類の中ではマガモ、コガモ、ハシビロガモに並んで広く分布しています。マガモ同様、肉が食用として賞味される狩猟鳥です。
【蝦夷雷鳥(エゾライチョウ)】  多くの国で天然記念物となっている雷鳥ですが、スコットランドの赤雷鳥や、北海道の蝦夷雷鳥はジビエとして食べることが出来ます。蝦夷雷鳥はヨーロッパから東アジアまでユーラシア大陸に広く分布し、日本では北海道の平地から山地の森林に棲んでいます。スコットランドの赤雷鳥に比べ小形で、本州の高山帯に棲む雷鳥とは異なり、冬に羽が白く変わることはありません。肉は赤身で、果物のソースと相性が良いとされています。
【野兎(ノウサギ)】
 日本に住むノウサギは、ニホンノウサギとエゾユキウサギ、そしてアマミノクロウサギの三種で、ニホンノウサギは本州に棲息、アマミノクロウサギは小型で特別天然記念物に指定されています。ヨーロッパノウサギは一回り大きく、フランスでは「ジビエの女王」とされています。  北海道に住むエゾユキウサギは、日本の野生種のウサギとしては最も体が大きく、本州以南のノウサギと比較すると、耳からの体温の放熱を抑えるため体格に対して耳が小さく、尾はより長くなっています。冬季とそれ以外の季節で毛色が異り、夏毛はほぼ褐色から灰褐色で腹面、脚、耳介は白色から灰白色ですが、冬毛は白一色となります。狩猟獣で、年間数万頭も捕獲できた時期もあったのですが、近年その数は数百頭にまで減少しています。

2.ジビエについて

 ジビエを訳せば、「狩猟鳥獣」となります。日本で狩猟可能な鳥類には鴨、鳩、鴫(シギ)、雉(キジ)など、獣類では鹿、猪、熊、野兎などがあります。飼育された動物に比べ、運動量が多く、自然の餌を食べて育つジビエには、肉本来の旨味が段違いに含まれています。

 フレンチにおける高級食材であるジビエは、従来その多くが空輸で海外から運ばれてきましたが、近年では日本各地で獲れた鳥獣類のジビエも注目を浴びるようになってきています。一方で増えすぎた野生の鹿や猪が、地方の農業において深刻な問題となりつつあります。これを受けて、家畜の精肉とは異なる衛生面でのルール化などが進められており、流通や規格などがしっかりと整備されつつあります。国産ジビエを利用することは、日本の野山の自然保護にもつながり、日本の飲食業の活性化にもつながるのです。  

 日本では、1960年代以後環境破壊が問題となり、昭和38年に「鳥獣法」は「鳥獣保護及狩猟に関する法律」と名称を変え、狩猟は「鳥獣保護」の枠内で行われるようになりました。狩猟の許可、使用できる狩猟方法、狩猟して良い鳥獣、捕獲が許可される頭数、狩猟期間、狩猟禁止地域などがかなり細かく規定されています。  

 狩猟期間は北海道が10月1日から翌年1月31日まで(放鳥獣猟区では10月1日から翌年2月末日まで)、北海道以外の都府県は11月15日から翌年2月15日まで(放鳥獣猟区では11月15日から翌年3月15日まで)、青森、秋田、山形県内の狩猟鳥に指定されているカモ類については、11月1日から翌年1月31日までと定められています。

3.ワインテイスティング
 
   

「ジャン・ミッシェル・ラ・プティト・ムロット・ブラン・ド・ブラン 2012年」
(タイプ:白・辛口・発泡性  品種:シャルドネ  産地:フランス/シャンパーニュ)

 ジャン・ミッシェルは、ヴァレ・ド・ラ・マルヌのムーシー村にて、1847年以来家族経営を続けています。シャンパーニュは自然酵母によって発酵され、デゴルジュマンの前に澱の上で長期間熟成されます。ジェローム・ヴィアールによって造られたオーク樽での熟成による爽やかな樽香が特徴的です。マロラクティック発酵を行わないため、酒質が柔らかく、クリーンでフレッシュな味わいが楽しめます。シャルドネならではの輝かしい黄金色で、レモンのアロマが感じられ、ミネラルの味わいが長く口の中に残ります。

「ロミュアルド・ヴァロ・メルキュレ・ブラン 2000年」
(タイプ:白・辛口   品種:シャルドネ  産地:フランス/ブルゴーニュ)

 ロミュアルド・ヴァロはコート・ド・ニュイに設立されたワイナリーです。当初はワインをネゴシアンに販売していましたが、1994年にボトラーとして独立。その後ワイナリーは2001年にフランス国内、特にブルゴーニュで高い評価を得ていたアンドレ・ゴアショーに売却されました。メルキュレ・ブランは、美しく輝く淡い黄金色をしており、白い花やヘーゼルナッツ、アーモンドやシナモン、そしてペッパー、スパイスの香りを持つ、火打石のニュアンスを感じる白ワインです。

     

「ヴァンサン・ジャン・ピエール・シャルトン ・メルキュレ・プルミエ・クリュ・レ・ノーグ2014年」
(タイプ:赤・辛口   品種:ピノ・ノワール  産地:フランス/ブルゴーニュ)
 ドメーヌ・シャルトンは、1941年から続く家族経営ドメーヌです。除草剤などは一切使用しない栽培を行っています。収穫は手摘みで行い、実が潰れないよう小さなカゴを用いて健全で熟した果実のみを選果しています。メルキュレ・プルミエ・クリュ・レ・ノーグは、深みのある濃いルビー色で、フルボディでリッチの味わいがあり、圧倒的な余韻の長さを感じられます。逞しい骨格を持つ熟成向きワインで、若いうちはタンニンの力強さを感じ、熟成によってまろやかで厚みのある味、ピノ・ノワールのピュアな味わいが楽しめる、長熟タイプのブルゴーニュ赤ワインです。

「シャーヴ・セレクション・サン・ジョセフ・オフル 2009年」
(タイプ:赤・辛口   品種:シラー  産地:フランス/ローヌ)

 シャーヴは、世界中から圧倒的な評価を得ているローヌ地方のワインで、「ギガル」「シャプティエ」と並び賞賛されている存在です。「J.L.シャーヴ・セレクション」は、ネゴシアン・アイテムとなりますが、ジャン・ルイ・シャーヴ自身の名を冠したワイン ならではの、シャーヴの要求に応えるだけの資質を備えた小規模な優良ドメーヌを選抜しています。有機栽培を実践し、収量を抑制しつつ、土壌の特徴を表現するワインを造ることを目指しています。できたワインを専用のセラーで熟成した後、巧みにブレンドしてリリースしています。濃密な果実味、芳醇な香り、巧みな樽使い、そしてこの洗練されたシルキーな舌触りは、まさに「魔術師」と呼ぶにふさわしい手腕で仕上げられています。  

「サンテミリオン・シャトー・デュ・コーズ1996年」
(タイプ:赤・辛口  品種:メルロー90%+カベルネ・ソーヴィニヨン10%  産地:フランス/ボルドー)
 このシャトーは、1622年から続くワイナリーで、ボルドー・サンテミリオン・グラン・クリュ格付けとなっています。ブリュノ・ラボルトの所有で、醸造は一部樽内でマロラクティック醗酵を行い、新樽33%で18ヶ月の樽熟成を行っています。  近年、「リヨン・コンクール2013 グラン・ゴールド特別金賞受賞」「パリ・コンクール2013 金賞受賞」「マコン・コンクール2013 金賞受賞」と三冠を達成、非常に評価を上げているシャトーです。色は暗いプラム色で、レッドカラントやブラックカラント、木の葉のような森の下生えの趣のある、魅力的な香りのワインです。いくらかのスパイス香も感じられ、十分な果実味とバランスを備えた熟成感あふれる一品です。1996年物とは思えない若々しい色と味わいに驚かされました!

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