Via Vino No. 81 "Tempura with Sherry"
天ぷらとシェリー


<日時・場所>
2018年10月13日(土)12:00〜15:00 浅草「中清」
参加者:10名
<今日のワイン>
辛口・白「アヴェレーダ・カザル・ガルシア」
やや辛口・ロゼ「アヴェレーダ・カザル・ガルシア・ロゼ 」
辛口・フィノ「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・フィノ」
辛口・アモンティリャード「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・アモンティリャード12年」
辛口・パロ・コルタード「ウィリアムズ&ハンバート・ドス・コルタドス・パロ・コルタード20年」
甘口・クリーム「ウィリアムズ&ハンバート・クリーム」
<今日のランチ>
【前菜】
鞘巻海老の天ぷらと鮭、茸の和え物
【おすまし】
鱧の葛叩きと松茸
  【お刺身】
鯛の松笠造りと昆布締め
【酢の物】
丁字茄子と大根卸し、海老
【天麩羅盛合せ】
車海老、鱚、穴子、目鯒(メゴチ)、御飯と香の物、味噌椀
【水菓子】
ピオーネと梨

     


1.インターナショナル・シェリー・ウィークを天ぷらで祝う!

辛口から極甘口まで、多彩な味わいを持つシェリー。
現地では食前酒というよりもむしろ食中酒。
スペイン、ポルトガルに由来する天ぷらとは最高の相性。

 5年目を迎えるインターナショナル・シェリー・ウィーク、世界30カ国以上の大勢のシェリー愛好家に向けて多数のイベントが開催されます。バー、レストラン、ホテル、ボデガ、大学、そしてワインクラブなどで行われるイベントが、2018年10月8日から14日まで世界で同時に開催されるのです。  

  当初6月だった「インターナショナル・シェリー・ウィーク」、昨年までは11月、本年は10月となりました。ここ日本でシェリー・ウィークを祝うのなら、やはり日本料理がふさわしいでしょう。今回は天ぷらで楽しむことにしました。

2.ウイリアム・ハンバートについて

 ウイリアム・ハンバートの歴史は1877年、シェリー愛好家で目利きでもあったサー・アレクサンダー・ウイリアムズと、国際情勢のエキスパートであるアーサー・ハンバートが共同でワイナリーを設立したことから始まりました。現在では欧州最大の熟成庫と最新の醸造設備を備え、創業当初から変わらぬワイン作りの伝統と市場における専門知識を受け継いでいます。

 ちなみに、自社シェリーブランドの歴史は1888年の辛口タイプ「パンド」に始まります。その後、1906年には「ドライ・サック」により世界にその名を知らしめ、今日、シェリーマーケットにおける最大のブランドとして、世界100カ国以上に自社生産の優れたシェリーを輸出しています。同社は世界的名声を築き上げてきたルイス・パエス社の「ドン・ソイロ」ブランドを引き継ぎ、より優れた品質と長い熟成を重ねたシェリーとしてリリースしています。

3.天ぷらについて

 日本に天ぷらの調理法が伝わったのは室町時代。鉄砲の伝来とともに「南蛮料理」としてポルトガルから伝わったとされ、ポルトガル語の「テンポーラtemporas」(四季に行う斎日)」が語源という説があります。カトリックでは、四季に行う斎日で祈祷と断食を行い、その間は肉食を禁じ、代わりに野菜や魚に小麦粉で衣をつけて揚げた料理を食べていたそうです。一方、日本の天ぷらの起源とされる「長崎天ぷら」は、それより少し後の安土・桃山時代にポルトガル人が長崎に伝えたといわれています。  

 天ぷらの語源にはいくつかの説があります。前述の「temporas」のほか、同じくポルトガル語で料理という意味の「tempero」あるいは「調味する」という動詞 「temprar」 に由来するという説もあります。これらは「時」を意味する「tempo」という言葉と関係が深いとされています。漢字にすると、天に麩羅をくっつけた天麩羅が一般的。麩は小麦粉、羅は薄い膜の意で、小麦粉を薄い衣にして揚げたものらしいことが分ります。

4.ワインテイスティング
 
      

「アヴェレーダ・カザル・ガルシア」
( タイプ:辛口 品種:アリント、ローレイロ、トラジャドゥラ  産地:ポルトガル/ヴィーニョ・ヴェルデ アルコール度9%)

 1939年誕生の「カザル・ガルシア」は、ヴィーニョ・ヴェルデのリーディングブランドとして、世界70ヶ国以上で親しまれています。ライムジュースのような淡いグリーンを帯びたクリアな色調。青リンゴを想わせる繊細でフルーティーな香りで、口に含むと爽やかな微発泡が感じられ、新鮮な果実味を引き立てています。軽やかでフレッシュな余韻も印象的です。ボルトガルの軽快な白ワインとして、同じくポルトガルを起源とする天ぷらとは非常に相性が良いとされています。

「アヴェレーダ・カザル・ガルシア・ロゼ」
(タイプ:やや辛口 品種:ヴィニャン、アザル、ボラサル  産地:ポルトガル/ヴィーニョ・ヴェルデ アルコール度9%)

 口当たりの爽やかな微発泡に仕上げられています。新鮮な透明感のあるピンク色を呈しており、ラズベリーとイチゴの香りが華やかな、非常にフルーティーなワインです。実際に口に含むと、赤い果実の風味が鮮やかで、バランスのとれた酸味があり、このワインの素晴らしい新鮮さが感じられます。後味は調和しており、柔らかな余韻が長く続きます。

「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・フィノ」
(タイプ:辛口/フィノ 品種:パロミノ100%  産地:スペイン/ヘレス アルコール度15%)
 1877年、イギリス人のアレクサンダー・ウィリアムズが義父のアーサー・ハンバートと共に興した、スペイン最大のボデガを持つウィリアムズ&ハンバート社。同社は世界的名声を築き上げてきたルイス・パエス社の「ドン・ソイロ」ブランドを引き継ぎ、より優れた品質と長い熟成を重ねたシェリーとしてリリースしています。厳選したパロミノ種のファーストプレスの果汁のみを使い、ホワイトオーク樽でのソレラ・システムによる熟成を経て生まれる辛口のフィノで、かすかに緑色を帯び、輝く透明感のある黄色の色調があります。その香りはストレートで華やかで、すっきりとした酸味を持ちながらも丸みがあり、口中には熟成による繊細な複雑さが広がります。

「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・アモンティリャード12年」
(タイプ:辛口/アモンティリャード 品種:パロミノ100%  産地:スペイン/ヘレス アルコール度19%)
 全面にフロールを生じさせてできるフィノに対し、アモンティリャードは樽の上面の70-80%しかフロールが生じないものを更に時間をかけて熟成させています。「12年」の表示はソレラ・システムによる平均熟成年数を示しています。トパーズのような魅力的な色合いと、ほのかな甘さを感じさせる豪直な香りが特徴 です。香ばしくローストしたニュアンスが 酸味と引き立てあい、その味わいを一層甘美に、かつ複雑にしています。中国料理やエスニックのスパイシーさや、熟成の進んだチーズ、ハム、ソーセージとの相性は最高です。

「ウィリアムズ&ハンバート・ドス・コルタドス・パロ・コルタド20年熟成」
(タイプ:辛口/オロロソ 品種:パロミノ100%  産地:スペイン/ヘレス アルコール度19.5%)

 「パロ・コルタド」は、フィノにさらに酒精強化して熟成させたもので、「アモンティリャード」と「オロロソ」の中間的な性格を備えています。中でもこの「ドス・コルタドス」は、20年熟成されている古いソレラワインから造られます。わずかにドライフルーツ、ヘーゼルナッツのニュアンスを持つ複雑な香りを持っています。優れた酸味を持ちエレガントで力強い辛口。優れた食前酒。食後酒としても楽しめます。

「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ・クリーム」
(タイプ:中甘口 品種:パロミノ、ペドロ・ヒメネス  産地:スペイン/ヘレス アルコール度19%)
 「ウィリアムズ&ハンバート・ドン・ソイロ」シリーズの1つですが、パロミノ種とペドロ・ヒメネス種から造られます。ペドロ・ヒメネス種を天日乾燥させてから搾汁。糖度の高い果汁を発酵させ、ソレラ・システムで熟成させます。香りとコクの強い、オロロソベースの甘口シェリーです。干したプルーンやレーズン、イチジクなどを思わせる香りは、リッチで滑らかな味わいと共に至福の時に誘います。決して甘すぎることのない絶妙な調和が心地よく余韻として残ります。

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