Via Vino No. 89 "Gibier & French Wine IX"
ジビエ&フランスワイン\


<日時・場所>
2020年2月22日(土)18:30〜21:00 広尾「マノワ」
参加者:19名
<ワイン>
辛口・白・発泡性「ガディノワ・ブリュット・トラディショナル・グラン・クリュ 2019年デゴルジュ 」
辛口・白「セネショー・シャトーヌフ・デュ・パプ・ブラン 2015年」
辛口・赤「ピエール・アンリ・ルージョ・ブルゴーニュ・コート・ドール・ルージュ 2017年」
辛口・赤「ドメーヌ・シャルトン・メルキュレィ・プルミエ・クリュ・ノーグ 2014年」
辛口・赤「シャトー・グランジュ・ヌーヴ 2014年」
<ディナー>
【アミューズ】  
マノワの3種のジビエのアミューズ(ヒグマのコンソメのムース、シカのアメリカンドッグ、イノシシのリエット)
【4種の国産ジビエ】  
ホワイトアスパラガスと北海道・岩見沢の高麗キジのコンソメジュレ
柑橘の香り 岐阜県ひどり鴨のロースト その内臓のソースで
鹿児島県・メスいのししのロースト そのいのししのジュのエピスソースで
北海道・ヒグマのパイ包み焼き ジュニパーベリーの香り
【デザート】  
いちごとピスタチオとヴァローナチョコレートのマノワの球体

     


1.「ジビエについて」

土地の恵みを食べて育ったジビエは、凝縮された野生の旨味。  

【高麗雉(コウライキジ)】
 中国から朝鮮半島に分布するキジの亜種で、江戸時代後期に日本に移入されました。1919年に北海道から長崎までの20地域で狩猟目的で放鳥されたといわれています。ニホンキジと異なり、雄は胸と腹が褐色で首に白い輪があります。肉は白身で、締まりが良く弾力があります。骨からは旨味のある出汁が取れます。フランスで養殖されているのは殆どがコウライキジです。

【緋鳥鴨(ヒドリガモ)】
 ヒドリガモは、カモ目カモ科マガモ属に分類される鳥類の一種で、オナガガモ、マガモ、コガモなどと並んで、日本で最も普通に見られるカモ類です。和名は頭部の羽色を緋色にたとえたことに由来しており、緋鳥(ひどり)と呼ばれ、その後ヒドリガモとなりました。植物食が中心ですが、水生昆虫や軟体動物を食べることもあります。潜水して捕食はせず、水面に浮かぶ植物の葉、茎、根、種子等を採食、岸や中洲に上がって陸上の植物も食べます。海草、海藻も好んで食べるので、他の淡水型カモ類と比べると、海岸付近で観察されることが多いとされます。

【猪(イノシシ)】
 世界に30以上の種がありますが、ニホンにはニホンイノシシと小型のリュウキュウイノシシの二種がいます。春から秋にかけて年1回、4〜5頭の子を産みます。日本でも古くから食用にされ、11月15日から翌年の1月15日までが狩猟期間です。秋に木の実や茸などを豊富に食べて蓄えた脂肪が旨味となります。フランスでは生後3〜6ヶ月の仔イノシシをマルカッサンと呼んで珍重します。

【羆(ヒグマ)】
 ユーラシアと北米に分布するヒグマと、東アジアに分布するヒマラヤグマ(アジアクロクマ)がいます。ヒグマは体重400kgにも達する大型のクマで、体毛は黒褐色、赤褐色、灰褐色など様々です。肉食傾向の強い雑食性で、各種の動物や、木の芽、果実などを食べます。肉の味にクセがなく、うっすらと甘さを感じる上品な風味と言われます。鮭が遡上する時期は肉に鮭の風味が移って味は落ちるとされ、むしろ果実を多く食べる時期が美味とされます。

2.テイスティング
 
  

「ガディノワ・ブリュット・トラディショナル・グラン・クリュ 2019年デゴルジュ」
(タイプ:白・辛口・発泡性、品種:ピノ・ノワール90%+シャルドネ10%、産地:フランス/シャンパーニュ/ヴァレ・ド・ラ・マルヌ/アイ)

 シャンパーニュ随一のピノ・ノワールを誇るグラン・クリュ、アイ村。アイ村の畑は殆どが南向きで、最高峰のピノ・ノワールを産み出しますが、その中でも最高の畑はアイの街のすぐ背後、冷たい北風が遮断される、マルヌ川沿いに落ちこむ急斜面と言われています。ガティノワは、これらの最高の区画を含む27区画をアイ村だけに所有しており、卓越したピノ・ノワールを用いて、あえてエレガントさとフィネスを優先させたワイン造りを行っています。

「セネショー・シャトーヌフ・デュ・パプ・ブラン 2015年」
(タイプ:白・辛口、品種:ルーサンヌ 33%+グルナッシュ・ブラン 30%+クレレット 29%+ブールブラン 8%、産地:フランス/ローヌ南部)

 20世紀初頭にレノー家により設立されたドメーヌ。2007年にはランシュ・バージュを所有するカーズ家が取得し、前所有者の時代から手腕を発揮したベルナール・トランシュコスト氏を筆頭に運営されています。白ブドウは3haの畑から造られ、ルーサンヌは樽で、その他の品種はステンレスタンクで発酵を行います。明るく緑色を帯びた黄金色の色調で、白桃や白い花のアロマ、樽熟成のルーサンヌに由来するスパイスが複雑に溶け込んでいます。エレガントでありながら南国フルーツの風味が余韻として残ります。

「ピエール・アンリ・ルージョ・ブルゴーニュ・コート・ドール・ルージュ 2017年」
(タイプ:赤・辛口、品種:ピノ・ノワール100%、産地:フランス/ブルゴーニュ)
 ピエール・アンリ・ルージョは、日本ではマノワでしか飲めない、ブルゴーニュ・オー・コート・ド・ボーヌのムロワジーに本拠を置く、非常に小規模な生産者です。懇意にしている友人のぶどう栽培家から買い付けた品質の高いぶどうを入念に選果し、人為的な介入を一切行わずに醸造・熟成を行なっています。ピノ・ノワールは、ぶどうが潰れないようカゴを使って手摘みで収穫し選果、除梗は行わず、全房のまま発酵させます。全区画に渡って区画別に醸造を行なっており、発酵は、ぶどう果皮に付着している天然自然酵母のみを使用し、またSO2無添加で慎重に行っています。

 

「ドメーヌ・シャルトン・メルキュレィ・プルミエ・クリュ・ノーグ 2014年」
(タイプ:赤・辛口、品種:ピノ・ノワール100%、産地:フランス/ブルゴーニュ)

 ドメーヌ・シャルトンは、1941年から続く家族経営ドメーヌで、ブドウ畑における土中生物の活性を可能な限り高いレベルで維持するために、除草剤などは一切使用しない栽培を行っています。収穫は手摘みで行い、実が潰れないよう小さなカゴを用いて健全で熟した果実のみを選果しています。「メルキュレ・プルミエ・クリュ・ノーグ」は、100%除梗、破砕後ルモンタージュとピジャージュを行いながら、計23日間のキュヴェゾンの後、木樽で10ヶ月間熟成させています。深みのある濃いルビー色で、フルボディでリッチ感があり、圧倒的な余韻の長さが感じられます。

「シャトー・グランジュ・ヌーヴ 2014年」
(タイプ:赤・辛口、品種:メルロー100%、産地:フランス/ボルドー/ポムロール)
 シャトー・グランジュ・ヌーヴは、19世紀の終わりに現オーナーの祖父によって始められました。畑のベースとなっているのは1956年に開かれた畑ですが、それ以来徐々に拡大し、現在ではポムロールの西側に7haを所有しています。畑の表土の50cmはケイ素質の土壌に覆われていますが、その下には「クラス・ド・フェール」と呼ばれる鉄分を含む粘土質土壌があります。この粘土質土壌は水を含むと膨張する特徴があり、根を圧迫するため、自然と水分を吸いすぎることなく凝縮感のあるワインを生み出します。このワインは基本的に樹齢50年以上のヴィエイユ・ヴィーニュで造られており、リッチでなめらかな味わいに仕上がっています。

 

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