Via Vino No. 91 "Gibier & French Wine X"
ジビエ&フランスワイン10


<日時・場所>
2020年12月13日(土)18:30〜21:00 広尾「マノワ」 
参加者:19名
<今日のワイン>
白・辛口・発泡性「ユベール・ポレ・リリー・ラ・モンターニュ・トラディション・ブリュット・マグナム」
白・辛口「ジャン・フルニエ・マルサネ・ブラン・クロ・デ・ロワ 2015年」
赤・辛口「セレクション・マノワ・モレ・サン・ドニ・プルミエ・クリュ・クロ・ソルベ 2015年」
赤・辛口「クロ・ド・マルキ・サン・ジュリアン 2013年」
赤・辛口「ドメーヌ・ピシャ・コート・ロティ・シャンポン 2018年」
<今日のディナー>
【アミューズ】
3種のマノワのアミューズ
(北海道・白糠町の蝦夷鹿のアメリカンドッグ、埼玉県・真鴨のレバームースのマカロン、北海道・上川町のヒグマの煮込みを詰めたシュー)
【魚料理】
長崎県7、7キロのクエのポッシェ、 北海道・岩見沢の高麗きじのコンソメジュレ、カブのムースと徳島県・木頭のゆずの香り
【ジビエ】
スコットランド産・山鳩とフォアグラの冷製 キンカンとルーアネーズソースで
スコットランド産・山うずらとちりめんキャベツの温製 うずらのジュとトリュフのソースで
北海道・森町 蝦夷鹿のロース肉のパイ包み焼き ポワヴラードソースで
【デザート】
フランスヴァローナ白チョコレートとフランボワーズのガトー フランボワーズのソルベと共に

     


1.ジビエについて

【高麗雉(コウライキジ/faisan)】 
 中国から朝鮮半島に分布するキジの亜種で、江戸時代後期に日本に移入されました。1919年に北海道から長崎までの20地域において狩猟目的で放鳥されたといわれています。ニホンキジと異なり、雄は胸と腹が褐色で首に白い輪があります。肉は白身で、締まりが良く弾力があります。骨からは旨味のある出汁が取れます。フランスで養殖されているのは殆どがコウライキジです。

【山鳩(ヤマバト/pigeon ramier)】
 山鳩(ピジョンラミエ)は、ヨーロッパ全域に生息し、飼育の鳩(ピジョノー)と比べて重さが約500〜700gと大きく、肉質もしっかりとしています。ジビエの中でも比較的食べやすい食材とされています。鉄分の味が強く、新鮮なレバーのようなコクが特徴です。

【山鶉(ヤマウズラ/perdrix)】
 ヨーロッパヤマウズラは、体長約30cmと日本のウズラより大きく、黄褐色で、首から腹部にかけて灰色、腹部に黒褐色の部分があり、オスはそれが大きくメスは小さいとされています。一回に産む卵の数は鳥類の中で最も多いとされ、最高28個という記録もあります。農耕地や林に棲息し、地上で草の種子などを食べます。肉は白身で、あっさりとしており、特に生後一か月までの幼鳥はペルドローグリと呼ばれ、成鳥よりもさらに肉が柔らかく美味しいとされています。

【蝦夷鹿(エゾジカ/chevreuil)】
 日本に住む鹿には、北海道の蝦夷鹿と、本土の本州鹿(日本鹿)がいます。蝦夷鹿は本州鹿より大きく、雄は体重約140kg、雌は体重約80kgにもなります。肉は赤く脂肪は少なめで、2、3歳までの若い物が柔らかく味が良いとされます。本州に住む本州鹿は、体重約40kgから80kg、肉は赤身できめが細かく、蝦夷鹿よりもさらに柔らかで脂肪が少ないとされます。主として木の葉を食べるため、新緑の季節が良いという説もあります。ちなみにフランスで食べられている鹿の多くは、体重20kg前後の小型の野呂鹿ですが、体重300kg以上にもなる大型の赤鹿なども一部家畜化されています。

2.ワインテイスティング
 
      

「ユベール・ポレ・リリー・ラ・モンターニュ・トラディション・ブリュット・マグナム」(タイプ:白・辛口・発泡性、品種:ムニエ 50%+ピノ・ノワール 25%+シャルドネ 25%、産地:シャンパーニュ/モンターニュ・ド・ランス)
 名門が軒を並べるリリー・ラ・モンターニュ村で、1930年代から丹念なシャンパーニュ造りを続けるポレ家のスタンダート・キュヴェです。ムニエ中心に3品種をバランス良くブレンド。澱と共に36ヶ月もの間熟成されています。ドサージにはMCR(濃縮ブドウ果汁)を使用しています。熟した果実や白い花のアロマにアーモンドの風味が加わり、クリーミーなテクスチャーで広がるリンゴや梨のフルーツフレーバーとクリアな酸が美しく調和し、長い余韻にはたおやかなミネラリティを感じます。ソフトでふくよかな味わいのシャンパーニュでした。

「ジャン・フルニエ・マルサネ・ブラン・クロ・デ・ロワ 2015年」(タイプ:白・辛口、品種:シャルドネ、産地:フランス/ブルゴーニュ)
 ジャン・フルニエは、マルサネにおいて最古の造り手と言われている老舗で、2008年にビオロジックへ完全転換しています。樹齢40年以上の古樹を多く所有しています。クロ・デュ・ロワの畑は、浅い表土に小石を多く含む粘土石灰質土壌で、ブルゴーニュでは非常に珍しい下層土に砂が多く含まれる土壌となっています。600L、350Lの木樽(一部新樽)でバトナージュせずに12ヶ月熟成させ、その後スレンレスタンクで6ヶ月熟成してから出荷されています。グラスに注ぐと、グアバ、ヘーゼルナッツや黄色い花を思わせる華やかな香りが広がります。コクがありながらも爽やかで軽やかな味わいが魅力的なワインです。

「セレクション・マノワ・モレ・サン・ドニ・プルミエ・クリュ・クロ・ソルベ 2015年」(タイプ:赤・辛口、品種:ピノ・ノワール100%、産地:フランス/ブルゴーニュ)
 モレ・サン・ドニの畑といえば、ジヴレイ・シャンベルタン村とシャンボール・ミュイジニー村の間にあり、前者の力強さと後者のエレガンスを合わせ持った魅力があり、かなり堅固で豊満な味わいとなっています。このプルミエ・クリュの「クロ ソルベ」は、小石が多く水はけのよい土壌から、グラン・クリュに近い味わいのワインが生まれると言われております。口に含むと、ボディの強さと果実味とのバランスが良く、まろやかなタンニンで、こくの深いワインに仕上がっています。まだ若いものの、まさにブルゴーニュ当たり年ならではの正統派のワインでした。

    

「クロ・ド・マルキ・サン・ジュリアン 2013年」(タイプ:赤・辛口、品種:カベルネ・ソーヴィニヨン 73%+メルロー 18%+カベルネ・フラン 9%、産地:フランス/ボルドー)
 1902年に創設されたクロ・デュ・マルキは、かつてのラス・カーズ侯爵の邸宅であったシャトー・ド・レオヴィルに隣接する石垣で囲まれた「プティ・クロ(Petit Clos)」に由来しています。レオヴィル・ポワフェレ、レオヴィル・バルトンやポイヤックのピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランドなどに囲まれた好立地にあります。現在ではサン・ジュリアン格付け2級であるシャトー・レオヴィル・ラス・カーズのセカンドワインとしてではなく、「クロ・デュ・マルキ」として独立したアイデンティティを確立しています。まさに典型的なボルドーの味わいが楽しめます。

「ドメーヌ・ピシャ・コート・ロティ・シャンポン 2018年」(タイプ:赤・辛口、品種:シラー100%、産地:フランス/ローヌ)
 代々続く栽培農家の家系ですが、現当主のステファンの代までブドウは元詰めせず他へ売っていました。 2000年ヴィンテージからワインをリリースし、2haだった所有畑は現在5haまで広がり、コート・ロティ、コンドリュー、ヴァン・ド・フランスのシラーとヴィオニエを手掛けています。洗練されているが明確すぎず、若々しく中期的にも楽しめる、フィネスとエレガンスを両立させたワインを目指しています。花や香水を思わせる華やかな香りと、シラーからもたらせるライムや黒オリーブ、ドライハーブのすばらしい香りがあり、特上の凝縮感と適度なタンニンを備えた、フルボディの赤ワインとなっています。

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