Via Vino
No. 95 " Wine & Grape Varieties"
<ワインと品種>
<日時・場所>
2024年4月20日(土)18:00〜21:00 銀座「Furutoshi」
参加者:17名
<今日のワイン>
辛口・発・白「クラス・エストリッヒャー・レンヒェン・アルテ・マイスター・リースリング・ゼクト・エクストラ・ブリュット 2018年 」
辛口・白「カーヴ・ド・リュニー・マコン・ヴィラージュ 2022年 」
辛口・白「インヴィーヴォ・マールボロ・ソーヴィニヨン・ブラン 2023年 」
辛口・赤「ドメーヌ・デュ・ビシュロン・ブルゴーニュ・ピノ・ノワール 2022年」
辛口・赤「シャトー・ポンテ・バライユ・クリュ・ブルジョワ 2019年 」
辛口・赤「ナーダ・フィオレンツォ・ランゲ・ネッビオーロ 2020年」
<今日のディナー>
【Inizio(イニッツィオ:始まり)】
新玉ねぎのクレーマ トマトのジェラート
【Antipasto(アンティパスト/前菜)】
本日のクルード・ディ・ペッシェ グレープフルーツと松の実のサルサ
【Antipasto Caldo(アンティパスト・カルド/温かい前菜)】
ランプレドット
【Primopiatto(プリモ・ピアット/第一の皿)】
初鰹のコンフィと小松菜のスパゲッティーニ・ポマローラソース
【Primopiatto(プリモ・ピアット/第一の皿)】
松阪牛・テール肉の煮込み・ローマ風ニョッキ
【Secondopiatto(セコンド・ピアット/メイン・ディッシュ)】
鹿肉のタリアータ・ビーツのプレア
【Dolce(デザート)】
マスカルポーネのムース・苺とサヴォイアルディー
1.ワインと品種について
「ワインは『品種』で理解する?」
大学時代の友人達と持ち寄りパーティをやることになった主人公は、買い物に行ったお店で、ワイン原料となるぶどう達が 人の姿で生きている世界、「ワイン界」へと飛ばされます。
「今、ワイン界は衰退の一途をたどっています。 それをあなたに救って欲しいのです……」
世界一かんたんなワインの教科書こと「図解・ワイン一年生」は、 こんな風になかなか壮大なテーマから始まりますが……
産地でも成分でもなく、品種からワインを覚えようという、 ある意味シンプルなアプローチを提案しているのです!
<リースリング>
分かりやすいツンデレ娘。キリッとした辛口や、酸味とのバランスが良い甘口 となる。
「リースリングはシャルドネと並ぶ白の人気者」「アルザスでは大半が辛口となり、ミネラル感があってきりっとする一方、ボトリティス・シネリア(貴腐菌)というカビとくっつくことで、ピュアでとろりとした甘口に!」
<シャルドネ>
人なつっこいみんなのアイドル。産地や造り手によって味が大きく変わる。
「性格がとっても素直。どんな環境にもなじみます」 「場所を選ばず活躍できるシャルドネ。冷涼なブルゴーニュではシャブリを筆頭にすごくきりっとした白になります」 「使用する樽や発酵の仕方によって、洋梨やりんご、バターやバニラなどの甘い香りがすることも!」
<ソーヴィニヨン・ブラン>
素直で、クールな天然美少女。ハーブやグレープフルーツの爽やかフレーバー。
「ソーヴィニヨン・ブランはシャルドネよりもすっきり辛口」 「青っぽさ、ネギっぽさといったハーブ感が特徴!」「夏の暑さを忘れさせてくれるさわやかな味です!」
<ピノ・ノワール>
人を寄せつけない気品と美しさ。薔薇の香りに、紅いフルーツの味わい。
「赤のピノ・ノワールはまさに孤高。畑や気候をより好みするので、育てるのが非常に難しい品種です」 「状況によって駄目なピノ・ノワールにも、高貴なピノ・ノワールにもなるので、本当に高貴なピノ・ノワールは稀少価値が高いのです!」
<カベルネ・ソーヴィニヨン>
どんな役目もきっちりこなす優等生。渋味が豊富な赤ワインの王道。
「個人競技(単一)でも、団体競技(ブレンド)でも、いつでもどこでも存在感抜群!」 「完璧でハードルが高そうな彼ですが、実は口当たりはなじみやすくてフレンドリー!」「赤ワインの味をイメージしたら、最初に浮かぶのは彼でしょう!」
<ネッビオーロ>
「バローロ」で知られる世間知らずの王子様。長期熟成に耐えられる、重厚でふくよかな味わい。
「葉巻やチョコ、タールなどのずっしりフレーバーと、ずっしりタンニンが魅力のイタリア最高品種なのですが……」 「扱いづらいため、なかなか栽培が難しいのです!」 「またとても硬く、なかなか味を開いてくれませんが、ひとたび開けば、格調高い王子様の姿を見せてくれます!」
「クラス・エストリッヒャー・レンヒェン・アルテ・マイスター・リースリング・ゼクト・エクストラ・ブリュット 2018年」 (タイプ:白・発泡性・辛口
品種:リースリング 産地:ドイツ)
現オーナー、マティアス・クラスの曾祖父の時代にワイン造りを始めたワイナリーです。「アルテ・マイスター」(「巨匠」の意)に使われる葡萄は、オーナーの義理の父が過去50年に渡って世話をしてきた畑から収穫されます。ベースワインの発酵はステンレスタンクで約6週間、熟成は600Lの樽で澱と共に5ヶ月、その後瓶内二次発酵を行います。ボトルでの熟成期間は18ヶ月、きめ細かな泡立ち、非常にエレガントで繊細な口当たりで、きりっとした酸が心地良く感じられます。「新玉ネギのクレーマ」のどこかほろ苦い甘さと、リースリングの風味が非常にマッチして、好評でした!
「カーヴ・ド・リュニー・マコン・ヴィラージュ 2022年」 (タイプ:白・辛口 品種:シャルドネ 産地:フランス/ブルゴーニュ)
カーヴ・ド・リュニーは、1926年に創設された現在最も大きな協同組合で、北はシャブリから南はマコンまで広範囲にわたりワインを生産しており、240のブドウ栽培家、1,372ヘクタールの畑をほぼ独占的に契約しています。透き通るような黄金色をしており、ふくよかな果実味が感じられます。熟したメロンや洋ナシのニュアンスがあり、ハーブやシトラスの風味が心地よく広がっていきます。酸味も穏やかで果実の厚みをしっかりと感じることが出来ます。「クルード・ディ・ペッシェ(刺身)」に合わせましたが、牛の内臓を使った三皿目の「ランプレドット」にも合うと言うことで、ワインの二杯目と三杯目は、お料理の二品目、三品目と同時に提供されました。
「インヴィーヴォ・マールボロ・ソーヴィニヨン・ブラン 2023年」 (タイプ:白・辛口 品種:ソーヴィニヨン・ブラン 産地:ニュージーランド/マールボロ)
インヴィーヴォはラテン語で「In the life」を意味します。2007年に設立、2008年に最初のワインをリリース、2016年にはニュージーランド政府が1902年に建設したテカウファタワイナリーの設備を引き継ぐ形で、念願のワイナリー施設を保有することになりました。48時間の低温で浸漬後、3週間発酵、ステンレスタンクに移した後、亜硫酸無添加で10〜12週間バートナージュを繰り返します。フレッシュなハーブや青草、フローラルなライムの香りが立ち昇る、活気に満ちた新鮮でみずみずしい味わいの辛口ワインです。パワフルでそれでいて青いハーブの味わいがあり、グレープフルーツソースのクルード・ディ・ペッシェにも、またランプレドットにも抜群の相性を見せてくれました。
「ドメーヌ・デュ・ビシュロン・ブルゴーニュ・ピノ・ノワール 2022年」 (タイプ:赤・辛口
品種:ピノ・ノワール
産地:フランス/ブルゴーニュ)
マコネーを代表するヴィレ・クレッセの西側にあるペロンヌ村で、4代続く家族経営のドメーヌが造る赤ワインです。所有区画の面積は1.75haで、年間生産量はわずか6,000本。ウミユリ石灰岩が基盤岩で粘土石灰質に覆われた大地からは、豊富なミネラルを持つワインが造られます。マコネーのピノ・ノワールは骨太ながらも、素朴さがあり、飲んでいて落ち着く味わいとなっています。ふっくらとした果実に柔らかな酸味と、口に含んだ後に湧き上がってくる心地の良いミネラルが印象的な、優しい味わいの赤ワインです。ピノ・ノワールとしてはしっかりした色合いの濃いスタイルで、ポマローラソース(トスカーナのトマトを主体に野菜を煮込んだソース)にはもちろん、六皿目の鹿肉にもしっかり合っていました。
「シャトー・ポンテ・バライユ・クリュ・ブルジョワ 2019年」 (タイプ:赤・辛口
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン60%+メルロー30%+プティ・ヴェルド6%+カベルネ・フラン4%
産地:フランス/ボルドー)
シャトーの設立は1932年、サンテステフ村から15キロほど北部にある ベガダン村にあります。土壌は2つのタイプがあり、砂利質の土壌にはカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フラン、石灰質土壌にはメルローとプティ・ヴェルドが植えられています。畑はHVE3 認証(高環境価値認証最高位)を受けていて、自然環境に配慮している生産者です。葡萄の樹齢は38年、ステンレスタンクで発酵、オーク樽で12ヶ月熟成、コクがあり、しなやかでエレガンスな飲み口が印象的で、カベルネ・ソーヴィニヨン種の素晴らしさが感じられる1本です。松阪牛のテール煮込みにはもちろん、鹿肉にも合うので、こちらも五杯目、六杯目のワインと、五品目、六品目のお料理は合わせて提供されました。
「ナーダ・フィオレンツォ・ランゲ・ネッビオーロ 2020年」 (タイプ:赤・辛口
品種:ネッビオーロ
産地:イタリア/ピエモンテ)
バルバレスコの生産者として名高いナーダ・フィオレンツォが所有する2つの単一畑、粘土石灰質土壌の「ロンボーネ」と、より砂質の割合が高い「マンゾーラ」の樹齢が若いネッビオーロを使用して造られたワインです。大樽で12ヶ月熟成し、その後6ヶ月の瓶熟成を経て出荷しています。輝きのあるガーネットの色合いで、甘草やリコリス、ミントなどの繊細な香りが広がります。優美でふくよかな果実味に、落ち着いた酸味とシルキーなタンニンを感じさせ、バランスのとれた味わいに仕上がっています。しっかりしたタンニンがありながら、色だけ見ると前述のカベルネ・ソーヴィニヨンよりも淡く、華やかな風味が特徴的です。
<今回の1冊>
【小久保尊/山田コロ「図解・ワイン一年生」(sanctuary books)】(2015年刊行)
「下町の人気ソムリエが教える、世界一かんたんなワインの教科書」といううたい文句で、刊行されてからもうそろそろ10年になろうかというワイン本ですが、ワイン部門売れ行き1位、2023年には15万部を突破したそうですから、非常に支持されていると言えそうです。産地や生産者、気候や土壌、ワインにはさまざまな側面がありますが、いずれもとっつきやすいとは言い難いわけで、その意味ではワインに使用されている「ブドウ品種」が味の手がかりとしては一番分かりやすいのは確かです。とはいうものの、ブドウそのものの写真やデータを図鑑で眺めていてもなかなかピンと来ません。本書では品種を擬人化することで、より楽しく品種特性を体感できるようになっています。深窓の令嬢ピノ・ノワールに、アイドルのシャルドネという紹介は、老獪なワイン愛好家も案外納得できてしまうのではないでしょうか。第二弾として「図解ワイン一年生2時間目・チーズの授業」も刊行されています。