Via Vino No. 99 "Gibier & French Wine "   
<ジビエ&フランスワイン>


<日時・場所>
2024年12月7日(土)18:00〜21:00 広尾「マノワ」 
参加者:15名
<今日のワイン>
 辛口・白・発「ラリエ・ブリュット R.019 」
 辛口・白「フレデリック・マニャン・ムルソー・クール・ド・ロッシェ 2020年」
辛口・赤「フランソワ・ヴィラール・スル・アン・セーヌ 2009年」 
辛口・赤「シャトー・デュ・ドメーヌ・ド・レグリーズ 2009年」 
<今日のディナー>  
 
パン・デピス/ブーダンノワール 
蕪と白子/ハマグリと柚子のソース
鰤/発酵キウイ/ビタミン大根とマイクロコリアンダー
高麗雉/白菜
広島の穴熊・赤ワイン漬け込み/加賀蓮根
柿/生姜/塩ミルク
トンカ豆/コーヒー 

     


1.ジビエについて

 自然の餌を食べて育つジビエ(狩猟鳥獣)には、 肉本来の旨味が段違いに含まれています。 贅沢なジビエを、フランスのワインで愉しみましょう!

【雉(キジ:faisan)】

 ユーラシアの温帯に広く分布し、日本では四亜種が知られています。王朝時代から鳥肉の中で最高のものとして好まれ、現在でも宮中の元旦の御膳には欠かせない食材となっています。 ヨーロッパに雉が伝えられたのは16世紀のことで、脂肪分の少ない肉が好まれています。肉を柔らかくするために、料理の前に7〜10日間ほど冷所に吊して熟成させる「フェザンタージュ」は、雉(faisan)から来ています。

【穴熊(アナグマ:blaireau) 】


 アナグマは、哺乳綱食肉目イタチ科に分類され、夜行性で、昼間は巣穴の中で休んでいます。日本ではアナグマとタヌキはムジナという名称で混同されていました。一頭からとれる肉の量が少なく、幻のジビエと呼ばれています。  秋から冬にかけて越冬のために溜め込む大量の脂肪には、濃厚な甘みがあり、特に柿などの果実を沢山食べている穴熊は、脂もさっぱりとして臭味もない味で絶品とされています。

【ジビエの現状】

 狩猟はヨーロッパやアメリカでは、銃規制の問題も絡み決して簡単ではないものの、文化として定着しています。  アメリカは狩猟大国で、総人口の約6%に相当する1,370万人が狩猟を行っており、その数は今も増加傾向にあります。フランスの狩猟人口は135万人でヨーロッパ第1位であり、猟期・地区・猟手法が決められていて、合法的に狩猟をするには狩猟免許が必要です。イギリスには48万人の狩猟者がおり、土地所有者が狩猟権を持っていて、狩猟免許も狩猟者登録もありません。ドイツでは森林管理と狩猟が密接に関係していて、森林官の殆どは狩猟免許を取得しています。  ちなみに、日本の狩猟人口は高齢化が進み減少傾向にあります。狩猟人口は16万人程度、許可されている銃は約30万丁と、国際的にはかなり低い登録率となっています。一方で鹿、熊、猪による農林業被害は深刻な問題となっています。


2.ワインテイスティング
        

    

「ラリエ・ブリュット R.019」  (タイプ:白・辛口・発泡性、品種:ピノ・ノワール 56%+シャルドネ 44%、産地:フランス/シャンパーニュ)
 ラリエは、グラン・クリュに分類されるアイ村にて1906年に設立され、創立時から現在まで、アイ村の素晴らしい遺産を伝え続けている名門メゾンです。「自然」「信頼性」「クラフトマンシップ」を軸に、テロワールの個性を表現することに深いこだわりを持って、シャンパーニュを造り続けています。「R」はフランス語のレコルト(収穫)の頭文字Rに由来、「R.019」のキュヴェは、その88%が、雨が少なく晴天に恵まれた2019年に収穫された葡萄から造られています。華やかで力強い桃や梨の白系果実の風味を持ち、長い余韻とクリーンなフィニッシュ、そしてほのかに感じられるクリーミーなテクスチャーにより、繊細な印象に仕上がっています。ビンテージシャンパーニュを思わせる香ばしさが感じられました。

「フレデリック・マニャン・ムルソー・クール・ド・ロッシュ 2020年」  (タイプ:白・辛口、品種:シャルドネ、産地:フランス/ブルゴーニュ)
 5代にわたってワイン造りを行う名門、マニャン家。4代目のミッシェル・マニャン氏が1967年に独立、ドメーヌとしてのワイン造りを始めました。1995年には、ミッシェル氏の息子フレデリック氏が5代目当主として、畑の所有者から委託を受け、栽培チームを派遣し畑の管理を全て自分達で行う新しい形のネゴシアンを始めています。AOCの枠に収まらない取組も始め、石の多い畑を合わせたワインに「クール・ド・ロッシュ(石)」と表記しています。「ムルソーの真髄はミネラル」であるとして、斜面上の硬い石灰層の区画を選び、華やかで蜂蜜のようなふっくらとした外郭に、1本芯の通ったミネラル感のある、昔ながらのエレガントさと土壌の匂いを感じさせてくれるワインに仕上げていました。

  

     

「フランソワ・ヴィラール・スル・アン・セーヌ 2009年」  (タイプ:赤・辛口、品種:シラー100%、産地:フランス/コート・デュ・ローヌ)
 フランソワ・ヴィラール、ピエール・ガイヤール、イヴ・キュイユロンの北ローヌを代表する3人のヴィニュロンが、ローヌ河を挟んでコート・ロティの対岸に位置するセイシュエルの丘に、かつて高品質なワインを産みだすブドウ畑が存在したことを知り、1996年にその丘にぶどうの樹を植え、レ・ヴァン・ド・ヴィエンヌを設立し、素晴らしいワインを造り上げました。”Seul en Scene”とは、「独演会(一人舞台)」を意味します。約10日間のマセラシオンの後、オーク樽(新樽30%)にて約18ヶ月間熟成、複雑で豊かな香りがあり、細かいタンニンで熟成にも耐えうるフルボディのワインとなっています。

「シャトー・デュ・ドメーヌ・ド・レグリーズ 2009年」  (タイプ:赤・辛口、品種:メルロー95%+カベルネ・フラン5%、産地:フランス/ボルドー/ポムロール) 
 シャトー・デュ・ドメーヌ・ド・レグリーズは、ポムロールに位置する歴史あるシャトーで、フィリップ・カステジャ氏率いるボリー・マヌー社が1972年以降所有しており、特に1990年代以降は、品質向上が際立っています。ポムロール最古の畑には、メルロ95%、カベルネ・フラン5%が植えられており、それぞれの品種はステンレスタンクで醸造され、その際には区画ごとに選別が行われ、温度管理も毎日細かく調整されます。フランス産のオーク樽を使用し、新樽比率は約60%で16か月熟成されます。出来上がったワインは、心地よい果実味と洗練されたエレガンスを感じさせる仕上がりとなっています。

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