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         ま じ め な 小 説 マ ガ ジ ン

       月 刊 ノ ベ ル 新 年 1 月 号

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http://plaza5.mbn.or.jp/~joshjosh/ 


   インターネット上にきら星のごとく散らばる創作サイトの
   中から、私(編集人)ジョッシュこと宮崎靖好が独断と偏
   見(?)に基づき選抜した小説を、作者の了解を得てから
   順次掲載してゆくメールマガジンが「月刊ノベル」です。

   コミカル、ミステリ、叙情、ラブロマンス、ファンタジー
   SF、などなどジャンルは多彩ですが、アダルトはありま
   せん。

   なお、本編終了後に簡単なアンケートがあります。今後の
   編集に役立てたいと思いますので、なにとぞご協力くださ
   い。

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      月刊ノベルは当幅フォントでお読みください。
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  今月の推薦:安全な食べ物 &
        馬鹿が風邪を引かない理由 作者:RIBOS

   ジャンル:ショートショート     長さ:文庫本3ページ  

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   偶然に、ショートショートの美味しいサイトをいくつか見
   つけました。今月のショートショート作者、RIBOS
   (ライボス)さんのサイトもそのひとつ。文庫本換算で、
   約2頁未満にまとめられた作品がなんと52本も。
   毎日1本ずつ読んでも、2ヶ月近く楽しめます。
   しかも、それぞれに一定のレベルに到達していて、気分転
   換に最適。

   ここで紹介します2編は、その作品群の中で、初期のもの
   作品番号が1と2番となります。どうぞ、お楽しみくださ
   い。

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 安全な食べ物   RIBOS

 僕がボランティアでアフリカに行った時の事を話そう。
 そもそもの始まりは、大地震だった。震度7クラスの地震がアフリカ
の奥地で起き、住民に多くのケガ人が発生したという報告が入ったのだ。
 そういう時、僕が在籍するボランティア団体では、他のどこよりも早
く、食料の援助と応急手当のできる人間を派遣することになっている。
今回も開業医である僕をはじめ、学生その他の有志10人が、地震発生
の翌日には現地に赴いた。

 飛行機を降りて、さらにセスナ機で4時間を費やして到着したその村
は、さすがにひどいありさまであったが、もともと大した建造物はなか
ったらしく、住居の復旧はあらかた終わっていた。
 酋長らしき男は、僕たちが持っていった食料に対して、やたら生産国
はどこかとか有機栽培かとかしつこいぐらいに訊いてきた。もともとカ
ラダに抵抗力がないため文明国から来た食品には気を使っているらしい。
 一緒に来た、メンバーが1人づつ少なくなっているのに気づいたのは
3日目の朝のことだった。同じメンバーとはいえ、ほとんどが初対面な
ため、飛行機で隣同士になって話友達になった学生がいなくなって、初
めて異変に気がついたのだ。
「仲間が2人ほど見当たらないんだが?」おれは酋長に尋ねた。
「おお、気がついたね。2人食べたある」酋長は平然と答えた。
 人食い人種の村に来てしまったのかと後悔するのと、大勢の現地人に
縛りあげられるのは、ほとんど同時だった。
「今日ちょうど村のおまつりある。2人試食して安全そうだったあるの
で、他の8人今夜たべるのこと」酋長が僕に言った。
 1人、2人と服を剥がされ、食材となっていった。そして、とうとう
僕の番になった。
 ナイフでじょきじょきと上着を切られたところで「まった」と酋長が
言った。
「その胸の傷はなにあるか?」酋長が訊いた。
 俺は昔、肺を手術したことがあるのだ。それで、分かるかどうか知ら
ないが、病名と、その病気を手術で治したことを告げた。
「うそ?その病気は治らないはずある」病名は知っているらしい。
「遺伝子治療というのがあるんです」僕は答えた。
「おお」酋長は絶句して座り込んでしまった。そして、他の現地人が何
事かつぶやきながら、僕を縛った木のツルをほどき始めた。
「どうしたんです?」僕は、突然のなりゆきに驚いて尋ねた。
 酋長が悲しそうに答えた。
「俺たち、遺伝子組換え食品、食べれないある」

(了)


 馬鹿が風邪をひかない理由   RIBOS

「あ、キミ、キミ、この前頼んでおいた調査の結果は出たのか?」
 博士が助手に訊いた。
「あ、はい。電話アンケートの件ですよね。先ほどようやくデータの整
理が終わりました」
「で、どうだ?」
「ええ、やはり昔から言われているように、馬鹿は風邪をひきにくいよ
うです」
「やはりそうか。これを学会で発表したら世界中が驚くぞ。実は最近、
DHAが風邪を悪化させるという研究結果が発表されたんだ。ところで
キミ、DHAは知っておるよな?」
「簡易型携帯電話のことですよね?僕も持ってます!」
「それはPHSじゃな。DHAというのはドコサヘキサ塩酸といって、
青身の魚とかに多く含まれていう物質じゃよ。頭が良くなるということ
で最近では粉ミルクとかにも配合されておろうが?」
「あ、そうでしたそうでした。で、そのエッサホイサと馬鹿が風邪をひ
かないのとどういう関係があるんです?」
「つまりこういうことじゃ。DHAを多く摂ると頭がよくなる。しかし
DHAは風邪を悪化させる。つまり頭のいい人間は風邪をひきやすいと
いうことになるじゃろ?」
「ああ、ええ、そういう理屈になりますね」
「これはまた逆も真なりじゃ。DHAを摂らないと頭が悪くなるが、風
邪は悪化しない。くしゃみや鼻水が出る前の段階で治ってしまうから、
本人も風邪をひいたとは思わない」
「なるほど!博士、これは凄い理論ですよ。早速インターネットで発表
しましょう!」
「まてまて、科学者たるもの、確実な裏付けをとらんでどうする。調査
に使った被験者から、特に頭の悪そうな者を3人ばかり連れてくるんじ
ゃ。彼らの血液を調べてDHAが通常より低い濃度であれば、この理論
は完璧ということになる」
「わかりました。早速集めてきます」

「キミたちは、風邪をひいたことがないそうじゃが、本当かね」博士が
訊いた。
「うん、ひいたことないよ。へっくしょん」
「ぼくもだよ。へっぶーー」
「わたしもよ!くちゅん」

「おい、どういうことじゃ。みんなクシャミをしとるじゃないか。真中
のやつなんか鼻水までたらしておるぞ」博士が助手に小声で言った。
「おかしいですね?でも本人達はひいたことないって」助手も小声で答
えた。

 そのとき、鼻水をたらしたひとりが口を開いた。
「ところでおじちゃん。カゼってなーに?」

(了)


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    RIBOS氏のホームページ「ショートショートの楽園」

       
http://www.mirai.ne.jp/~mi-osawa/ 

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