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 一般的には小説のコンクールというと選考委員による非公開の審査で
すが、インターネット上での小説コンテストの手法としてよく見受けら
れるのが、読者投票というやり方。これは応募してきた小説をネット上
で公開し、読者に気に入った小説について1票を投じてもらい、最終的
に得票数が多かった小説を優秀作とするというもの。このやり方の長所
は、優劣の判定が主催者側ではなく、参加する読者に委ねられるという
ところでしょうか。ですから、例え結果に不満があっても主催者側が文
句を言われないし、高名な選考委員も用意しなくて済む。読者もコンク
ールに参加しているという実感があり、読者開拓の点からも有効で、さ
らには、多くの読者から支持された小説=優れている、という判定は非
常にわかりやすい。

 そう言うわけで、インターネットでは読者投票形式での小説コンクー
ルが花盛りな訳ですが、絵本や児童書のポプラ社がネット上に開設した
「作品市場」は、これを一歩進めたもののようです。ここでは、作品市
場に展示された作品を読んだ読者に10点から100点までの「評価点」
での投票を求めています。総合得点の高い作品が受賞するのは、他の
ネットコンクールと同じなのですが、ユニークなのはそうした得点を1
週間単位で集計して、まさにリアルタイムの「読まれている作品」ラン
キングを設けてあること。毎回訪問するごとに順位も変わるので、リピ
ートの読者もつきやすい、なかなか良いアイデアだと思いました。

 さて、今回ご紹介する神楽坂 玉菊さんの小説「ますから」は、この
作品市場で見つけたお気に入りの掌編です。投票による得点はさほど高
くないのですが、それはポプラ社という出版社のカラーと作品がちょっ
と合っていないからだろうと思ったりしています。作家プロフィールに
よると神奈川在住の20歳代女性という神楽坂氏ですが、彼女のホーム
ページに行ってみてその強烈さにびっくり。サイト名が「あくまのふん
どし 〜垂れ流し無限大〜」いや、これ以上はもう何も注釈を付けます
まい。

「ますから」、どうぞお楽しみください。

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