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       詩とエッセイの電子メールマガジン
       テキスト版・月刊ポエム新年1月号
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           今月の素材 [家・House]

           【表紙のひとこと】

           □1999年の雪うさぎ□

 寒い日が続きます。雪も降り続いてここらはいちめん雪野原です。こんな
日に外に出かけたら、身も心も凍ってしまいますよ。小心な気象予報士は、
繰り返し警告しているようです。たしかに雪うさぎですから、ぼうっとして
いると白い雪に溶けてしまうかもしれません。だから、せめて赤い両目を
しっかりと開いていようと思います。1999年になりました。今年もよろ
しくお願いいたします。
                        1999年1月9日
                   月刊ポエム編集人 ジョッシュ

         □インターネットホームページ□

 インターネット上の「月刊ポエム」も1月3日に新年1月号に全面リニュ
ーアルいたしました。イラスト・動画や写真などあります。こちらにもどう
ぞ、お立ち寄りください。
    URLは-> http://www2c.biglobe.ne.jp/~joshjosh/poem/

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      【テキスト版・月刊ポエム・新年1月号目次】

         家           by 叙朱
         光る海         by boys1972
         戻るところ       by 河野夏月
         僕の帰るところ     by 空(SORA)  
         地球に乗って      by なお
         私の家の断面図     by 月那
         HOME        by 七海(投稿)

         ・ショートエッセイ風の作者あとがき
           叙朱、boys1972、河野夏月
           空(SORA)、なお、月那 

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     「 家 」       叙 朱

    遠くから見つめてみないと
    気づくこともなく
    行き過ぎてしまうかもしれない
    色あせた写真の中にしか
    存在できないような温度
    触れることさえできるなら
    こわばった頬にも
    緩やかな曲線が生まれるはず

    楽しさやら悲しみやら
    思い出のかけらが混じり合った空間に
    足を踏み入れる
    ゆっくりと秘やかに
    柔らかい気持ちが溶けだして
    懐かしさより先に
    団らんは
    軽い戸惑いから始まる

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     「 光る海 」       boys1972

    銀色にキラキラはねる光
    水面でとんで
    私の目に飛び込んでくる
    光る海に
    私は心を投げ入れた
    哲人の槍、あたかも

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     「 戻るところ 」       河野夏月

    自信がなくて
    何度も 外へ飛び出した
    帰らなくても良い場所を
    探したくて
    いつも ここから逃げ出していた
    どこかへ
    どこか 私を呼ぶところへ

    せっかく見つけた
    落ち着けるところは
    どこも旅先でしかなく
    最後には 戻らなくてはいけなかった
    私を必要としていない 家に

    翼がほしいと願っても
    誰にも分かってもらえなかった
    さまよい続ける私を
    皆は 諦めの目で見るだけだった

    最初から 帰る場所が分かっていれば
    翼など望まない
    探したりしない
    帰らなければいけなくても
    帰りたい場所が無いから

    誰かを求めて
    どこかへ 逃げ出す

    たった それだけのこと

    □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

     「 僕の帰るところ 」     空(SORA)

    僕の帰るところは
    きっとここなんだろうなって
    そんな気がしていた
    僕にはちゃんと家があったのに
    でも
    ここに帰るんだろうなって
    そんな気がしていた
    どうしてなんだろう
    どこでも同じはずなのに
    僕にはここしか見えなかった
    ちょっと古ぼけたここだけが
    僕を受け入れてくれるような気がした
    ずっと昔に僕はここで生きていた
    ここで守られここで育った
    そんな気がした
    ここにいると僕は無になれた
    どこにいてもこんな気持ちになったことはない
    懐かしく暖かく
    そして包み込む優しさを持っていた
    そう 僕はここに帰るんだ
    何度生まれ変わっても
    僕はきっとここに帰るだろう
    頭の片隅に残った古の記憶
    今までもこれからも
    僕はここに帰るだろう

                    from 空   

    □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

     「 地球に乗って 」        なお

    哀しみだいてる人がいて
    幸せばらまく人がいて
    痛みをいやす人がいて
    優しさそだてる人がいて
    地球という星まわってる
    いろんな人と いろんなものと
    みんないっしょにまわってる
    みんないっしょに朝日をあびて
    みんないっしょに星をみる
    みんないっしょの地球にのって
    みんないっしょに生きている
    みんなおんなじ命だね。
    みんなだいじな命だよ。

    □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

     「 私の家の断面図 」         月那

    父は仕事が一番大事
    家族のために家のローンのために
    がんばっているんだ・・・が口癖

    姉は家を半年前に飛び出して
    無職の彼氏と同棲中
    彼との生活のためにと
    スナックでバイトをしてる

    兄はパソコンおたく
    機械で埋もれたの部屋の中
    鍵をかけたまま出てこない

    母はそれでも家族のために
    毎日食事を作って 洗濯してる
    家事は私の生きがいなんだってさ

    私はというと・・・
    いつも家族を見ている
    目に見えるものがすべてではないと
    信じながら・・・

    5歳の時、この家を建てた
    家をバックに家族5人で写真を撮った
    写真立ての中の笑顔

    記憶のネジを巻き返す・・・

    □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

     「 HOME 」        七海 (投稿)

    いつ私達はもう恋の仕方を忘れてしまったのかな

    そんな疑問を持ちながら
    毎日をすごしていても
    時間はようしゃなく過ぎるのね
    これが誰もが言う幸せの結末

    一緒にいれば
    何もかもがうまくいくと思っていたけど

    手をつないだり
    理由もなくキスが出来たり
    当たり前だったあの頃が色あせていくのを
    あなたは気が付いているのかな

    ちょっとした優しさでさえ
    気を付けていないと見過ごしてしまう位
    あなたは遠くなったの?
    近くなったの?

    ねえ私はまだ
    あなたを傷つける事が出来る
    そんな距離にいるのかな


    □□□□□□□□□ [作者あとがき] □□□□□□□□

     ■叙朱:「 家 」

 私の生家は長崎県。今年は中学校の同窓会の案内も来ましたが、残念なが
ら帰省は見送り。代わりに一家で伊豆旅行へ。正月には長崎に電話でお年賀
の挨拶をしましたが、「団らんは懐かしさより戸惑いから」という感じで
「長崎弁」がすらすらと出てこずに困ってしまいました。正月1日には恒例
の分厚い新聞。1999年ということもあって1900年代の重大ニュース
特集記事があったり。今から100年後の世界は一体どうなっているのでし
ょうね。もっとも私はそのころには居ないので、どうでもいいと言えばどう
でもいいんですけど。

     ■boys1972:「 光る海 」(北陸旅日記4より)

 見知らぬ土地では心が柔らかくなるのか、ちょっとした心遣いでも心に刻ま
れ、しっかりと印象に残るようです。普段の生活では聞き過ごしてしまったさ
さやかな言葉でも、旅先で思い起こすとまた違った意味を持ってきたり。旅先
の素直な自分。それは本当の自分なのかどうか。自信はありません。

     ■河野夏月:「 戻るところ 」

 私にとって、家とは帰るところです。でも、一緒に先に進んでくれる人が在
れば、「戻るところ」など本当はいらないのかも知れません。行けるところま
で進むだけで良いんじゃないかと思うのです。「昔」:いまだに昔住んでいた
家の夢を見てしまうのです。「灯の下」:良い匂いが漂ってくると、思わずお
もいっきり息を吸い込んでしまう意地汚い私。
 それでは、今回はこの辺で。
 気が向いたときにでも感想いただけると嬉しいです。

         こたつで伸びている猫と一緒に  河野夏月   

     ■空(SORA):「 僕の帰るところ 」

 輪廻転生って本当にあるんでしょうか
 命は尽きても魂は残る
 魂が生まれ慈しみ育てられたとき
 きっとその記憶が残り
 魂が休まる場所ができるのかもしれない
 それがここであることを確信しつつ

                        by 空(SORA)

     ■なお:「 地球に乗って 」

 最初の詩は、みんなの家という意味では地球が家かな、ということでかき
ました。その次(編集者注:「ひとりっきりの日曜日」、HP月刊ポエム
新年1月号「なおのみたもの」ページに掲載してあります)のはわたしがま
だ小さかった頃(今も背は小さいけど・・・)、家でひとりで過ごすときの
どきどき感をかいてみました。ただ、今もこういうところはあまり変わって
ないような気がします。なんでもないところで、何かをみつけて遊んでしま
うとことか、どきどきしたりするとことかは、大人になっても変わらないの
かもしれません。
                           なおより。

    ■月 那  「 私の家の断面図 」

 なんとなく、切ない詩になってしまいました。
 書きながら、いつかまた笑顔で家族そろって、家をバックに写真が撮れる
ようになるといいね・・・なんて思ってしまいました。
 不思議な気持ちです・・・。


    □□□□□POEM・MONTHLY JANUARY 1999□□□□□□

□編集あとがき:  正月というと、子供の頃は本当にわくわくしたもので
した。大晦日の夜だけは特別に夜更かしを許されて、夜遅くまでこたつに
入ってお菓子を食べたりテレビを見たり。あの胸躍る感じはいったいどこへ
行ったのでしょう。元旦の朝、町へでるといつもと同じようなスーパーのセ
ールの声。「元旦から営業、衣料品20%還元セール」とありました。レン
タルビデオ屋さんの前にはたくさんの車が停まっていて、ジーンズ姿の若い
店員が大声で客を迎えている。それはいつもの休日と同じ風景。これが当た
り前の1999年ということ。これじゃちょっと寂しいな・・・というのは、
単なる私の感傷かな。

 今月は「家」というテーマ素材でした。いろいろな家のイメージがあるか
なあと思いましたが「家は帰るところ」という感じの作品が多かったですね。
特にお正月ということで、家族や親戚、友人と家で集うという機会が多かっ
たということもあるのかもしれません。

 さて新しい年になりました。月刊ポエムも3年目です。今年はいったいど
ういう1年になるのでしょうか。楽しみと不安を抱えて、さて。

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大歓迎です。メール先はこちらです。->  prn81060@muj.biglobe.ne.jp  

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 テキスト版月刊ポエム・新年1月号・発行平成11年1月9日・部数627
   著作権は留保しておりますので、無断転載、転用はご遠慮ください。
 Copyright(C)1997-9 by 宮崎叙朱・ジョッシュ All rights reserved.
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