□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

        詩 と エ ッ セ イ の 月 刊 ポ エ ム

          2006年9月号 「 老 」

      http://www2c.biglobe.ne.jp/~joshjosh/poem/

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

            9月だというのに

暑い日が続いていますが、お変わりありませんか。私は先日、スイスへ
仕事で出かけてきましたが、気温は日中17度前後と快適。仕事ではあっ
たのですが、なんとなく、避暑休暇のような気分にもなりました。

さて、月刊ポエム9月号「老」をお届けします。老、むつかしいテーマ
ですが、この頃はこの話題がメデイアで語られない日はないですね。
少子高齢化。言葉はシンプル。しかしその実体は‥‥。

                 月刊ポエム編集人 ジョッシュ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
         今月のテーマ素材:  [老]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          [今月の巻頭詩]

         終日
         hinazuki

         きょうも一日が終わる
         重ねていく日々は赤い夕日に焼かれ
         じりじり じりじりと
         ひとひの命 燃え尽きるように

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        【月刊ポエム9月号目次】

      [4行詩の展覧会]   推薦四行詩、22編
        [編集室から]   編集人のひとこと
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

   ▽△▽△  4 行 詩 の 展 覧 会  △▽△▽ 

         テーマ素材 「 老 」

  歩みいくこと ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 紫苑(シオン)
  老いる ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ タイム
  或る平和な日に ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 杜若萌
  いつも一緒 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 隅田夕立
  寝たきり ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 河野夏月

  バスタイム ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 榎山 洸滋
  コウノトリのゴキゲン ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ じょんじょん
  回想 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ そら
  輝いて ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ まゆみ@
  屍に立つ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 虹色からす

  屋台にて ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ポンポコ
  終日 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ hinazuki
  祖父、89、衰え知らず ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ けーた
  予定変更 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ケメ吉
  遠い電話 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 極

  速度 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ うさぎ
  最後のプレゼント ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ひざし
  無題 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 諦花
  あの手、この指。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ばら
  老母 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 実希

  二度童子(わらし) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 朧月夜
  キラキラ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ こえて

 ●作品表示の凡例 (作品は投稿順に並べてあります)
----------------------------------------------------------------
 タイトル
 ペンネーム
 4行詩本文
 あとがき
(投稿順番と投稿日時)記入者:ペンネーム
 [ホームページURL]
----------------------------------------------------------------
歩みいくこと
紫苑(シオン)

階段で早まる 鼓動に 
重みを感じる アルバムに
四季を楽しむ 今日の日に
コツコツ 足跡 つけていく

あとがき
自分を振り返ることが多くなるのが老いかな?
老い も楽しみたいですね       

(No.182 07月30日(日)00時40分)記入者:紫苑(シオン)
----------------------------------------------------------------
老いる
タイム

バックミラーが気になる
やけに 後悔の標識が目に付く
今は 無に向かう恐怖を
心に慣れさせている

(No.183 07月30日(日)22時14分)記入者:タイム
----------------------------------------------------------------
或る平和な日に
杜若萌

木漏れ陽の降り注ぐ 閑静な森の中
ひっそりと佇む 苔むした石のお稲荷様
物も言わず立ち並ぶ 鳥居の紅も鮮やかに
手を合わせる小さき媼の 祈る背中に蝉時雨

-----
終戦の日に思うのは。
罪無く殺されてしまった姿も声も知らぬ遠い叔父のこと。

(No.187 08月07日(月)23時48分)記入者:杜若萌
[ http://kmoe.k1.xrea.com/ ]
----------------------------------------------------------------
いつも一緒
隅田夕立

このポケットの中に
小さくて 小さくて
こわれそうだけど
老が住んでいるんだ

--------------------------------
ジョッシュさん、
メールありがとうございます。

さっそく、投稿させていただきます。

(No.189 08月09日(水)14時54分)記入者:隅田夕立
[ http://hamaji.jp/ ]
----------------------------------------------------------------
寝たきり
河野夏月

泣くんだね
あなたは恥ずかしいと
背中を丸め
泣きながら手をとり重ね

(No.191 08月09日(水)20時40分)記入者:河野夏月
----------------------------------------------------------------
バスタイム
榎山 洸滋

ふやけて皺の出来たてのひらを見て
君と笑い合った記憶
皺の刻まれた掌を見て鮮明に思い出すのは
あの頃の甘い胸の痛み

+++++++++++++++++++++++
小さい頃、お風呂に長く浸かっていると、
なぜ手がしわしわになるのか不思議でたまりませんでした。

(No.192 08月10日(木)00時52分)記入者:榎山 洸滋
[ http://jinx.in/yama2828/ ]
----------------------------------------------------------------
コウノトリのゴキゲン
じょんじょん

晩婚・高齢出産の末に
4つ違いだとラクかなぁ なんて言いつつ
2人目の時期に悩むハハたちのホンネ
「参観日に拒否られたくない」乙女心

***********************************
「ウチのカアチャン年とってるからヤダ」
なんて・・・絶対言わせないぞ(笑

(No.193 08月11日(金)10時48分)記入者:じょんじょん
----------------------------------------------------------------
回想
そら

今目の前にあるキラキラ爪の自分の手
それを握る力強い彼の手
ふと想う 苦労が滲み出ている細くあたたかい母の手
そして忘れられない 亡前日の祖父の手の冷たさと力なさ

◆◇あとがき◇◆
人は必ず老いてゆくものですが、
祖父が亡くなる前日に、急に私を呼び手を握ってきた瞬間、
老いや死に対する恐怖を感じました。
だからこそ、私を支えてくれている人を大切にしたいです。

(No.195 08月13日(日)10時28分)記入者:そら
----------------------------------------------------------------
輝いて
まゆみ@

『綺麗 いつも綺麗ね』
いくつになっても言われたいから
自分の原石を磨いて光らして
オーラをいっぱい広げるの

★☆★
アンチエイジというよりも、それぞれの年で輝ける自分でありたいですね♪
すっごく自分を愛したいと思う今日この頃。

(No.196 08月13日(日)10時42分)記入者:まゆみ@
----------------------------------------------------------------
屍に立つ
虹色からす

銃を握っていた手はもうない
かわいらしいつぼみに触れる手が今ある
硝煙の匂いはまだ消えない
涙はとうに干からびたというのに

(No.202 08月14日(月)17時34分)記入者:虹色からす
----------------------------------------------------------------
屋台にて
ポンポコ

イヤホン耳にスポーツ紙ながめ
焼酎と串カツ
去りゆく脳細胞と格闘する自分に
ふと老いを感じる

…………………………………………………………………
何でもない事が、思い出せなくなる
自分に、歳を感じてます。

(No.205 08月16日(水)14時12分)記入者:ポンポコ
[ http://cosmos.world.coocan.jp/ ]
----------------------------------------------------------------
終日
hinazuki

きょうも一日が終わる
重ねていく日々は赤い夕日に焼かれ
じりじり じりじりと
ひとひの命 燃え尽きるように

----------------------------------------------------
沈みゆく夕日を眺めていると、ふと、
歳を重ねていくとは、こういうものなのかな
なんて思っちゃいました。

(No.207 08月17日(木)18時53分)記入者:hinazuki
[ http://www.geocities.jp/lovepieces_moon/ ]
----------------------------------------------------------------
祖父、89、衰え知らず
けーた

体老いてなお強い気持ちに支えられ
体若かれど気持ち老いれば朽ちてゆく
今の世の煩わしさを忘れさせてくれる
祖父の笑み

−コメント−
祖父は強いです。ガンに侵されながらも、この歳では助からないだろうと
言われてたのに、見事に回復しました。医者も驚いたそうです。色々な死
地をくぐり抜けたあの顔が笑顔になると本当に温かさを感じます。

(No.213 08月21日(月)03時20分)記入者:けーた
----------------------------------------------------------------
予定変更
ケメ吉

九十
今だ野望は達成せず
しかたがない
百まで生きる事にする

(No.214 08月21日(月)13時17分)記入者:ケメ吉
----------------------------------------------------------------
遠い電話


「聞こえないの」
何度声を高めても 彼女の返事は同じ
お互いの老いが 哀しく揺らぎ
数年ぶりの対話さえ封じ去った

***
以前からの難聴が・・今はもう!??

(No.217 08月21日(月)17時44分)記入者:極
----------------------------------------------------------------
速度
うさぎ

子供の頃 走る事が楽しかった
今となっては のんびりと散歩のように歩きたい
決して 怠けたり疲れている訳でもないけれど
息を詰めて 生き急いだ あの頃を懐かしみながら

あとがき
・・・と言ってあまりにものんびりとした 最近
ちょっと 寂しかったりするのは 贅沢かもね・・・

(No.224 08月23日(水)22時50分)記入者:うさぎ
----------------------------------------------------------------
最後のプレゼント
ひざし

天使のような笑顔はたくさんの悲しみを乗り越えた証
「忘れる」ことは神様の最後のプレゼント
「ありがとう」の心だけ残して
すべての苦しみがダイヤモンドに変わる

(No.227 08月24日(木)20時51分)記入者:ひざし
----------------------------------------------------------------
無題
諦花

終わり に 近づいていく
気持ち は まるで
置いていかれるみたいに 老いていく
何かを諦めて 時の重さを心に享けて

<あとがき>
若いうちはがむしゃらで、燃えたぎっていて、全てが欲しくて、とどま
ることを知らない たとえば、恋心。
だけど時間を重ねれば、色々なことがわかってくる、見えてくる。
重くなって、足がふらついて、杖をついても追いつけなくなって、その
うち。老いた気持ちは何かを諦めることを覚えて、手を離す。

(No.228 08月25日(金)02時35分)記入者:諦花
[ http://www2.everydiary.com/78512/diary.php?count=no ]
----------------------------------------------------------------
あの手、この指。
ばら

あの手にどうしてもふれたくて
そっと、指をのばした。
いつのまにかふしくれだったこの指は
いつまでもあの手に、つかまれたまま。

(No.230 08月25日(金)20時58分)記入者:ばら
----------------------------------------------------------------
老母
実希

「あんたの事が心配で安心して死ねないよ」
母が口癖のように言う
親不孝を心の中でわびながら
「じゃ母さんは私が死ぬまで死ねないね」

-------------------
いくつになっても母親は無条件に寄りかかれる存在です。

(No.231 08月25日(金)23時50分)記入者:実希
----------------------------------------------------------------
二度童子(わらし)
朧月夜

遠い日 私に人形を手渡してくれた
おばぁちゃん その手に 今 人形を抱き
終日を 人形に話しかけてすごす
壮絶な老いの戦いを終え やっと 安らぎの中で

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
祖母は認知症で在宅介護を受けています。
病の始まりからここまで、本当に祖母自身も周囲も苦労しました。
徘徊したり暴れたり、施設に入所した事も。
今、ようやく、幼い子供にもどり静かな生活を送っています。

(No.232 08月26日(土)09時53分)記入者:朧月夜
----------------------------------------------------------------
キラキラ
こえて

母から教えてもらったたくさんの思い出は
母が生きてきた証
もう話すことも出来ず横たわる母は
確実に老いて なのにキラキラ

---------------------------
寝たきりになってまもなく1年。
母のそばに居るといろいろ感じます。

(Mail 08月27日(日)03時46分)記入者:こえて
----------------------------------------------------------------
[記録室]
投稿全作品数:41
推薦詩:22
----------------------------------------------------------------

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 編集室から ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

今日も空は晴れ。すっきりと澄み渡った高い空を見あげると、空気はす
っかり秋のようです。これから一日一日がどんどんと短くなってゆくの
ですね。

今月は「老」というテーマ素材でしたが、テーマに決めた後、実は少し
後悔しておりました。というのも、あまりに生ナマしい素材だったから
です。私自身、自分の老いを感じることがよくあり、そのことに少なか
らずショックと焦りのようなものを感じていましたが、しかし、正面か
らそれと向かい合うことはありませんでした。おそらくそういう思いの
方は(年齢の差はありますが)少なからず、いらっしゃったんじゃない
かと、あとで気づいたからです。語弊はありますが、もっと「お気楽な」
テーマ素材でもよかったんじゃないかな、と反省したというわけです。
しかし、お寄せいただいた4行詩を読みながら、そういう思いは消えま
した。自分自身の老い、家族の老い、恋人の、友人の、それらは避けて
通れない人間の老いなのですが、たくさんの「老い」を見つめた4行詩を
投稿いただきました。ありがとうございました。そんな中で巻頭詩は
hinazukiさんの「終日」としました。しかし、そのほかの推薦詩すべて、
心に響きましたことを付け加えておきます。

                 編集人 ジョッシュ

●10月号のテーマ素材 「月・Moon」

 つき 【月】

(1)地球をめぐる衛星。太陽の光を受けて地上の夜を照らす。自転と公転
の周期は等しく、常に同じ面を地球に向けて、二七・三日で地球を一周す
る。太陽・地球との相対的な位置関係によって満ち欠けの現象を生じ、そ
の平均周期を朔望月(さくぼうげつ)といい、二九・五三〇五八九日である。
半径は1738キロメートルで、地球の約四分の一。質量は地球の〇・〇一二
三倍。表面重力は地球の約六分の一。地球からの平均距離38万4400キロメ
ートル。1969年7月、人類初の踏査が行われた。古くから、太陽とともに人
類に親しまれ、神話・伝説・詩歌の素材となっている。特に詩歌では秋の
月をいうことが多い。太陰。[季]秋。

(2)天体の衛星。

(3)暦の上での一か月。時間の単位。太陽暦では一太陽年を一二分し、二月
を除いて一か月の日数は三〇日か三一日である。太陰太陽暦いわゆる旧暦
では大の月を三〇日、小の月を二九日とし、一年は一二か月か一三か月で
あった。

(4)月の光。月影。

(5)一か月。

(6)機の熟する期間。特に、妊娠一〇か月目の産み月のこと。

(7)家紋の一。(1)のさまざまな形を図案化したもの。

(8)月経。月のもの。

      出典:三省堂「大辞林 第二版」より
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
 メールマガジン: 詩とエッセイの月刊ポエム9月号
          四行詩の展覧会「老」
     発行日: 2006年9月10日(通算114号)
   総発行部数: 約500
     発行元: mbooks(ジョッシュ)
          http://www2c.biglobe.ne.jp/~joshjosh/
     連絡先: prn81060_mbooks2アットyahoo.co.jp
          (アットを@マークにして送信ください)
     著作権: 著作権はmbooksおよび各作者にあります。 
          転載や引用は必ず事前にご相談ください。
   登録・解除: 各メルマガの配信元でお願いします。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□