“素朴な疑問”を大切にする人(自分あるいはその人の)
───────────────────────────────────────
 “素朴な疑問”という言い方、大変気に入っています。特に“素朴”とは、なかなか
良い言い回しですね。なんか暖かくて、土の香りがするような良い響きです。

 そうかもしれません。常に理づめで判断することの多い毎日のなかで、自然にこころ
の奥底から沸き上がってくるような思いに出合うことがあります。かってに自分の心が
反応する状態です。

 なるべく本物の近くに自分の身を置くことが良いように思っています。なるべく現地
にでかけ、なるべく現物そのものに接し、現体験をしてみるに限ります。ラジオやテレ
ビやインターネットといったメディアを通して出会った光景ではなく、直接に本物に出
会うことです。
 そのとき、あなたの体や心が反応し始めることでしょう。きっと、感じたままを、自
分の心の動きのままを、五感をフルに活用してかつ、六感以降の感覚も総動員して感じ
るに違いありません。

 このように、自分自身の心の反応を信じてみることによって、接した物事の本質とい
うものに近付き、実態をあるがままに捉えることが出来るのではないでしょうか。

 その時、ふわっとした捕らえ方で、いわば海綿のように水をスッと吸い取ってしまう
ような心持ちで、メモをとる心構えが大切だと思っています。いわば、心の感じたまま
を文字を使った絵として表す要領なのです。

 ビジネス文書の議事録のように、骨組みだけをまとめるような書き方ではなく、その
言葉のままをニュアンスまで活かすように、まるで絵のデッサンをするように、心の有
り様をそのときに感じた気持ちに近づけて空間配置するような記述の仕方が、望ましい
のです。そして、空間に論理の流れ・強調点・を意識しつつ空間配置していくのです。
あくまで素朴な疑問を大切に、素朴な表現方法で・・・・。

 また、メモはその時のこころの状態に戻るためのキッカケであればいいのだから、点
メモのように“光る言葉”としての表現を大切にしたい。ちょっと見ただけで、その時
の様子が浮かんでくるような表現を心掛けたいのです。

 自分の抱いた素朴な疑問を大切にする事と同様に、相手の反応、つまり相手の抱いた
素朴な疑問にも同様に感心を示し、それを大切にしてみることです。

 素朴な疑問にこだわるということは、水面の上に顔を出した部分を五感で感じ、水面
の下にある背景や根本的考えを六感以降で捕らえ、全体像を正しく把握するといったこ
とに通じているのかもしれません。