ネットワーク時代の“自分探し” 1997.11 鈴木和夫
1【概 要】
私達は、これまで経験したことのない情報化社会(ネットワーク社会)の入り
口に立っています。そのような中、マルチメディア情報を扱える世界的なオープ
ンネットワークとして、「インターネット」が身近に利用されつつあります。
このインターネットを単なる技術として捉えるのではなく、世界的に価値逆転が
起こる時代の哲学であるととらえると理解が深まるのではないでしょうか。
2【ネットワーク社会における人間】
《価値観の変化“価値逆転が起こる時代”》
『英国のJ・ロバ−トソンは、「成功」のイメ−ジが過去と現在と未来で大きく変
っていることを指摘していた(ジェイムズ・ロバ−トソン著、小池和子訳「未来の仕
事)。過去の成功のシンボルは、名声・知名度、高収入、高学歴、高級住宅 、セカ
ンドハス、住み込みの使用人、役員の地位、毎年の新車、頻繁な世界旅行であった。
これに対して未来のシンボルは、自由時間、創造的人物としての認知、仕事と遊び
の一体化、金銭より尊敬と愛情で報われること、大切な社会コミットメント、よく笑
う人・涙する人、愛情行為、自我とのふれあいとなっている。』
《インタ−ネットの心》
“インタ−ネットは哲学である”
(インタ−ネットを技術としてとらえるのではなく、哲学としてとらえよう)
■インタ−ネットは、全く境目がない(シ−ムレス)な開放型ネットワ−ク
→WWW(ワ-ルドワイド ウエブ 世界中に張りめぐらされたクモの糸)
→どの入れ物で情報提供しても、世界中のネットから平等に見れる
→自分の入りたい、付き合いたいところでお付き合いができる
■インタ−ネットは、インタラクティブな双方向メディア
→これまでのメディア(TV,ラジオ,新聞,雑誌等)にない特徴
→積極的にダイレクトコミュニケ−ションを(当初は質より量を求める方向
■インタ−ネットは、個々が主体者で成り立つもの
→ネットワ−クに魅力があるのではなく、個が持っている宝物に魅力あり
→100が、100通りの灯(貴方なりの灯)を放つことが可能
→人との違いを大切にすることが宝物(貴方が大切と思っていることが宝)
→組織が先にあるのではなく、個を活かす(個が活きる)もの
★「クローズなネットワーク」 → 「オープンなネットワーク」
・携帯電話 ・アマチュア無線
・経営情報システム ・インターネット
・ピラミッド型組織 ・ネットワーク型組織 (ホロンの概念)
個の自律が前提になっている
★「この指止まれ」のネットワーク
リンクの概念「どこでもドア」→新しいコミュニティー
→筑波万博でのアメリカ館でのVTR
雨垂れ→支流→中流→大河
《“人間”をどう捕らえるか》
■地球上にその人が、かけがえのない者として存在を許されていることを再認識
→fulfillment of human potential( 人間性を最大に発揮する)
→人としての最も高次元の欲求「自己実現」に向けて
→パ-ソナル アイデンティティ- の確立
→個としての自律心
→人と競争をしない、自分の宝物( 小さなマッチの灯)
★生産性(効率性→有効性重視)
↑ → ↑
生産性─── = ──── × ──── “有限な人生の時間”
↓ ↓ →
@目標の正しさ
(効率性) (有効性) A新規性
・HOW(いかに) ・WHAT(何を) B付加価値
手段 目的
・戦術 ・戦略
・競争 ・差別化(こだわり)、宝物、存在価値
個(個人、組織、地域)の魅力
・問題を解く ・問題を設定する
《これからは、本物がより目立つ社会》
■マルチメディア社会、仮想社会が出来てもますます本物が大切
→ホ−ムペ−ジは“表札”、表札に違わない実物の魅力が命
→メルチマディアでの情報をドキドキして受け止められるのは、本物を知っ
ている人
■アウトドアライフのすすめ
→本物の感動との出逢い
→遊びの自律心
3【ネットサーフィンを中心にデモ】
さて、私という個人登場します。その私は、現在私的に公的にさまざまな役割を演
じています。その生活をとりまく組織や活動が、個人のホームページとどのようにつ
ながりを持って展開しているのでしょう。
私的な私も、公的な私もオープンなネットワーク社会の中で、互いにリンクしなが
らその活動エリアを広げています。その様子をインターネットのネットサーフィンに
ご招待して実感していただきたいと思います。
どうでしたか? もしも、「マッチ売りの少女」の物語の時代に、インターネット
があったら、明々と灯る小さなマッチの灯りは、この世界中に張り巡らされたオープ
ンなネットワークに公開されることによって、きっと多くの世界中の人々からとらえ
ることができたに違いありません。
4【“自分探し”のヒントをちょっとお伝えします!】
きっと、ここにお集まりの皆様も、様々な役割を演じていらっしゃることでしょう。
そのなかで、オープンなネットワークが、これからのネットワーク社会の基盤にな
っていくことを実感すると同時に、ますますその個(個人、地域、組織)しか持って
いない存在価値が宝物になってくることに気づかれることでしょう。
これまでの経験の中で、自分が自分の目でとらえた自分の大切にしたいと思ってい
ることそのもの、そのものをもう一度しっかり見つめ直し(発見)、その宝物をしっ
かりと育てていく(育成)、そして何とかわかってもらおうと努力する(表現)とい
ったことをグルグル回ししていくことなのかもしれません。
全般で述べたインターネットというオープンなネットワークや、そのものに触れる
ために必要な端末(パソコン等)は、単なる道具にすぎません。しかも、最終段階の
表現のための道具なのです。
どうですか。「自分探し」の時代になったと言えませんか。これからの主体は「人
間」そのものです。自分そのものが主体者となるべき時代だと考えます。
以 上