混声合唱によるさだまさし作品集「北の国から」

  編曲 松下耕

 

「公演を終えて宿に戻ると、ノ−トパソコンを開いて小説を書き始める。」

 今や、歌の世界のみならず文学や映画など多方面で活躍する、さだまさし

 6曲からなる作品集から、

道化師のソネット/天までとどけ/精霊流し/北の国から の4曲を歌う。

いずれも原曲の形を大きく逸脱しないよう、歌詞の意味がきちんと伝わるよう、

各声部が楽しく歌えるようにと編曲されている。

 

  ♪ 小さな船に 悲しみという荷物を積んで        

     時の流れを下ってゆく船人たち           

  

   ♪ 別々の山を それぞれの高さ目指して 

     息もつかずに登ってゆく山びとたち

 

 船人や山びとたちのような私たち

 その悲しみを救ってくれるのは笑顔(=道化師)

 君のために 僕のために 笑ってよ

    (注)ソネット:14行からなる近世ヨ−ロッパ文学の少詩形

 

 人生を変えるのは ことばでも ものでもない

 偶然の風の中での 一つの出逢い

 今 二人の新しい門出を祝して・・・ようこそ

 

  ♪ 舞いあがれ 風船の憧れのように

     二人の明日 二人の愛 天までとどけ

 

 爆竹が鳴り、花火が上がり、大小の船が引かれる「精霊流し」。

“命のバトン”を受け継ぐ儀式である。

長崎に原爆が落とされた年の夏にも行われたという。

仲の良かった従兄弟が事故で他界したことで歌が生まれ、

小説TVドラマ映画にもなった。

あのバイオリンの物悲しい響きが心に沁みる。

 

  ♪ 去年のあなたの想い出が

     テ−プレコ−ダ−から こぼれています

 

 雄大な北海道の風景とともに、

あの黒板一家、父五郎と蛍、純・・・をめぐる感動のドラマが蘇る。

 

  ♪ A−−− U−−−  Lalalala−−−

 

 世界が大きく揺れ動く中、日本の自衛隊が遠く異国の地に派遣された。

宿営するイラク・サマワの空にトランペットが鳴り響く。

遥かなる大地を歌うこのメロディ−が隊員たちの疲れを癒しているという。

 

 時に明るくさわやかに、時に静かにしっとりと・・・“さだメロディ−”。

 人の温かさ・命の尊さを、しばし共有できれば幸いである。

 

  
                   (
2004.7 記)