日々の何気ない出来事を思いつくままに綴ってみました・・・

          

6月27日(日)雨 今朝A.M.4:07受け持ちの患者さんがお亡くなりになられた。5月中旬発症の脳幹部梗塞で意識がなく、四肢も麻痺状態であった。当初はICU(集中治療室)などで可能な限りの治療を行ったが薬石の効なく意識は回復されなかった。70歳という年齢を考えれば気管切開や経管栄養などを行えば十分在宅にもっていける症例だったが、家族との話し合いによっていずれの手段も望まれず一般病棟に移して保存的治療を続けていく運びとなった。もともと慢性呼吸不全があって在宅酸素療法が続けられていたこともあって呼吸機能が悪く経口挿管チューブも喀痰による閉塞で何度か入れ替えさせていただいたが、ご家族は最後まで気管切開など侵襲的なことは望まれなかった。1ヶ月という経過であったが本日安らかに永眠なされることとなった。この入院期間中ご家族と共に色々と話し合ってきたが、今回のケースはご家族、特に奥さんの信念みたいなものがしみじみと感じられた。ご夫婦で元気な頃からお互いにもしもこのような状況になった時には過剰な医療を受けないように話し合っておられたとのことだった。我々医療提供側としては癌のようなターミナルケアと違ってこういったケースの場合保存的な治療には若干辛さみたいなものを感じるがお見送りの時のご家族の表情や患者さんへの声掛けを見ていてやっぱりこれで良かったんだとしみじみ感じた。どんな形であれそばで生きていてくれたらと考える家族もあればこのように元気な頃からの意思や信念を貫き通される家族もおられる。もし自分がこの患者さんの立場だったとしたらやはり植物状態で「生きる」というよりもむしろ「生かされる」ことは望まないだろう。患者さんのご冥福を心からお祈りいたします・・・。

6月25日(金)雨 今日は早起きして朝何とか目を覚まして眠たい目をこすりながら病院へと向かった。夜勤の看護婦さん達も今日は一体何事か?とびっくりした様子だった。何とか回診を終わらせてカルテはまた夕方帰ってから記載するということで必要な指示だけ書いて病院を10分遅れで後にした。財田診療所は三豊総合病院からタクシーで約30分の距離である。今回はN鞍先生の計らいで定期の外来患者の来院をずらしていて下さったお陰で比較的患者さんも少なかった。診療所に置いてある教科書や医学雑誌をゆったりと読むことができた。う〜ん、こんなゆったりとした時間・・・何とも久しぶりで快適だ・・・。そんなゆとりある時間などあっという間に終わってしまい、夕方には病院へと戻って再び厳しい現実へと引き戻されてしまった。病棟に貯まっているカルテの山を見てまたまた愕然としてしまう。まさに浦島太郎状態である・・・。我は研修医の身、まだまだ弱音を吐くにははや過ぎるのだ・・・。

6月24日(木)雨 今日の午後大野原町から財田町、観音寺周辺の在宅往診を行った。O原先生が山形の方へ出張されて不在のために明日金曜日の往診も含まれていて訪問件数が多かった。中にはALSという難病があるにもかかわらず在宅で頑張っておられる患者さんもおられた。訪問看護婦さん達はこのように広域の医療圏をところ狭しと毎日駆け巡っておられるようで頭が下がる思いだった。夕方から高松市内で食道静脈瘤についての研究会があり、そこでS脇部長が座長を務められ先輩のN津先生が演題発表をされるということで自分もお伴させて頂くことにした。栗林病院や高松日赤病院などからも症例や新しい手技の提示があり大変勉強になった。研究会が終わってからS脇部長と香川県立中央病院消化器科K合部長らものものしい面々でN津先生らと一緒に飲みに連れていって頂いた。お二方は入局以来の同期生で大変交流が深くお互いにユニークな昔話を色々と話して下さった。K合先生はN津先生の仲人さんだったとのこと。香川県中時代に研修で大変にお世話になった先生とのことだった。大雨の中S脇部長とN津先生と3人でタクシーで豊浜まで帰ってきた。三豊での研修について普段なかなか聞けないような貴重なお話を頂いて大変有意義だった。23時半過ぎに病院に着き、夕方の回診を思い出しながら病棟で今日の記録をカルテに記載して本日の予定がようやく終了となった。明日は財田診療所への2回目の代診がある。診療所長のN鞍先生もO原先生と同じ会に出席するために山形に行かれているためだ。2回目なので特に緊張感もなく今からとても楽しみである。ただ困ったことに朝8:10分に玄関にお迎えのタクシーがやって来るとのこと・・・。ということは入院患者さんの回診は・・・・。A東先生の患者さんもいるのでとにかく朝すごく早起きしなければとても終わらないことだけは確かである。早起きしそうな患者さんから回診を順に済ませていこお〜っと。今から寝ると何時間眠れるのだろうか・・・?

6月23日(水)晴れ 今日は一日なかなか忙しかった。A東先生が出張で不在のために午前中はA東先生の代わりに胃カメラに入り検査を手伝うこととなった。胃カメラの最中に入院が入った。肝臓に腫瘤があり、その精査加療目的の入院であった。慌しく検査の予定を組んで入院指示を書き上げて午後の大腸ファイバー検査に入った。検査の最中A東先生から任された患者さんの容態が悪くなってコールを受けた。これから3日間何か嫌な予感が走る・・・。夕方の内科カンファレンスまでに自分の受け持ち患者さんとA東先生から申し送りのあった患者さんの回診を慌しく終わらせた。カンファでは7月3日に行われる学会に向けての予行練習があり、私の前任のK村先生の分を私が代読することとなった。色々と指摘を受けたところをメモしてカンファ終了後にK村先生に伝えた。その後自分の受け持ち患者さんを回診してカルテ書きを済ませ、何とか今日の予定は終了となった。時間はすでに22時を過ぎている。明日はちょっと早起きして回診をしないととても全員診察することができないので早く寝て明日に備えよう・・・。

6月22日(火)晴れ 今日の夕方いつも通り消化器カンファがあった。ただいつもとちがうのは私自身に宿題が出ていたことだ。というのも先週のカンファで胃癌(Borr3)症例を提示した時に症状もなく骨転移を示唆するデータもないのに骨シンチを施行していて問題となったためである。ここ三豊総合病院では胃癌の場合スクリーニングやステージング目的に骨シンチは施行していない。従って胃癌患者を診た時にどういった基準で骨シンチを施行すべきなのか文献などで調べてきなさいという指示をS脇部長、S川部長から頂いていたのだ。早速文献を検索して何とか今回のテーマにそくした2つの文献を手に入れることができてカンファレンスの終わりに時間を頂いてみんなでディスカッションを行った。今後胃癌患者を受け持つ場合に骨シンチを施行する大まかな規準がそこで決定されることとなった。勿論骨シンチを施行してはいけないというのではなく、ルーチンやスクリーニング、ステージング目的に安易な検査だけはしてはならないということが明確となった。高知県立中央病院時代には結構そういった感じで骨シンチの検査をしていただけに今回色々と考える機会に恵まれた。話は代わって明日からA東先生が学会出張のために土曜日まで不在となる。今日A東先生から「出張の間私の入院患者さんを頼むな」と受け持ち患者さんのリストとサマリーを頂いた。これは責任重大である。化学療法をしていて好中球が極端に減っている患者さんも含まれているぞっ・・・。毎日の病棟回診が忙しくなりそうだが、こうやって仕事を任せて頂けるということはかえって幸せなことだと考えるべきなのであろう。よお〜っし、頑張るぞっ!!!・・・。

6月20日(日)晴れ 今日は久し振りに家族で出掛けることができた。重症の入院患者さんがいるために遠出はできないために近くでどこかよい所は?ということで見つけたのが雲辺寺ロープウェーであった。すぐ隣りの大野原町にあって車で約30分の所である。雲辺寺は四国88ヶ所の札所の一つであり、お遍路さんも結構来ていて賑やかだった。子供達もロープウェー初体験ということでとても喜んでいた。頂上付近では一部携帯電話の届かない場所があってちょっとドキッとしたが特に病院からの呼び出しもなく家族そろっての一時を過ごすことができた。見晴らしのよい芝生の敷き詰められた頂上公園はなかなか良かった(記念写真はココです。)。夕方には2人の子供をお風呂に入れて久し振りにのんびりとした休日を過ごした。明日からまた激しい日常業務が待っている・・・。早く寝よお〜っと。

6月18日(金)曇りのち雨 今日は消化器疾患で下血の患者さんが受け持ちとなった。ミットはS脇部長とである。S脇部長から「自分なりに考えて今後の治療方針を立てていきなさい。私は君がどうやって治療を進めていくのか横で見ておくからな・・・」とおっしゃられて立ち去られてしまった。う〜ん、何とも重い言葉である。下血も地域医療では結構診てきた経験はあるのだが、そういったシンプルな症状は裏を返せば実に奥の深いものなのである。せっかく担当させていただくからには自分の技量をフルに活用してこの患者さんを無事退院にもっていくに他ならない。当然緊急内視鏡や絶食・持続点滴・・・・色々と思いつくがままに指示を考えてカルテに記載した。S脇部長の治療方針にあっていたのかどうか・・・全ては明日以降に答えが出されることになろう・・・。

6月17日(木)曇りのち雨 今夜は医局会の後に泌尿器科のS賀先生の送別会があった。S賀先生は大学に戻って研究をなさるとのことである。大学とは縁遠い私にとっては新鮮な響きをもつもので、こういった機会に医局のシステムなどについても色々と知るチャンスとなるわけである。会場は前回のI川医師の時と同じ「Sのはら」というお店だった。このお店、医局会ではよく利用する所で焼肉やしゃぶしゃぶなど食べ放題で結構盛り上がれる場所である。日頃あまり話す機会のない他科の先生方とコミュニケーションを図れる絶好の場でもあり、結構個人的に楽しみにしている会なのだ。日頃の診療業務でお世話になっていることや、一つの医局に机を並べていることなどから顔を知らない先生の方が少なくなっていてちょっぴり嬉しかった。次回の会までには全ての先生の顔と名前が一致するようになっていればいいのだが・・・。

6月16日(水)曇り 今日は夕方に入院が入った。血液疾患で貧血が進んできているらしい。点滴や輸血などにてこれから治療を考えていかなければならない。三豊には血液関連の疾患は主にA山先生が中心になって受け持っているのだが、結構血液関係の入院患者さんも多いことは事実である。血液関係の患者さんは一般的に入院経過も長くなってしまうのだが、必然的にうちの内科ではA山先生がダントツの入院患者数を抱えてひときわ多忙な毎日を送っておられる。週に一度こられる香川医大のK田先生にも助言を頂きながら治療を進めていくことになるのだが、今回の自分の症例もどうやらそういった流れになっていきそうである。血液・消化器・呼吸器・循環器・脳血管障害・透析・内分泌代謝・・・と三豊での内科入院受け持ちには幅広い患者層があり、まさに総合医養成機関といえる病院である。

6月15日(火)曇り 今朝は早起きをして何とか予定の検査をこなすことができた。午後にはいつも通り気管支鏡検査に入って2例の検査を施行させて頂いたのだが、何と2例目に施行した患者さんの喀痰からガフキー1号が検出されてしまったのである。ガフキーが陽性に出るということは結核菌が喀痰の中に排菌されているということを意味するのだ。気管支鏡を施行する医師は必ず咽頭〜喉頭部の麻酔をするのであるが、この麻酔の際には喉頭部を刺激するために結構咳が出るのである。患者さんの顔に面と向かって麻酔をかけるために一番咳をまともに受けるのは真正面にいる医師なのである。この患者さんは私が勿論担当しており、Y地先生によるとマスクはあまり意味がないとのこと・・・。果たして大丈夫だろうか?まあこれまでにも結核患者さんを受け持ったことは何度もあるので免疫は持ってると考えているのだが・・・。これも医師としての宿命というものだ。こんなことで恐れをなしていては気管支鏡検査をやる資格などないのだろう・・・・。

6月14日(月)晴れ 今日は胆嚢に異常な影が見られるという患者さんが入院受け持ちとなった。今後予定される検査として血管造影やらERCP、胃カメラ、エコー、CTなど結構色々とある。三豊では病棟の入院患者さんの大きな検査の予約は全て主治医がやることになっており、ゆったりと検査を進めるとすれば苦労はしないのだが、入院して頂いている以上一週間もただ寝かせておくだけでは申し訳ないために何とか今週中に何とか入るよう主治医が努力するわけである。自分で全部できるのであれば苦労しないのだが、それでもすでに予定された基準の枠は全て埋まっているのである。こんな場合には緊急枠という裏技を使うのだが、この場合その検査担当医に直接依頼して予約を入れてもらうシステムとなっている。これで予約を全て入れて、ある程度の検査予定が立たないと入院治療計画書が書けず、また患者さんやその家族にも治療方針に関するムンテラが進んでいかないのだ。あちこち走り回って何とか全て今週中にできる手はずとなった。明日は胃カメラを朝一番でやることとなり、その前にエコーを行うこととした。胃カメラの全処置のためにA.M.8:10頃には内視鏡センターに患者を搬入しなければならない。ということはエコーを施行するには余裕を見てその30分前・・・。ということはその前に病棟回診を済ませておかなければならないので朝は・・・う〜ん、結構早起きしなくてはならないようだ。まずい・・・早く寝なくては・・・・と思っていると、幡多けんみん病院のK村医師(三豊での私の前任医師)から電話がかかってきて今度学会で発表する症例の病歴調査と内視鏡およびCTの画像の手配を依頼された。何を隠そうその症例は今や私が受け持ちの患者さんなのである。画像はスキャナーで取り込んでインターネットで送ってあげることにし、病歴やL/Dについては電話で直接教えてあげることにした。この他にも何やらかんやらと仕事や雑用があって結局午前様になってしまった。ま・まずい・・・早く寝ておかなければ。

6月12日(土)晴れ 今日は午前中病棟回診を終わらせてからP.M.1:00過ぎより高松市内で開かれる心エコー研究会に向かった。循環器のU枝先生とS川医師と3人で一緒に行くこととなった。研究会では同僚のK野医師が最近経験したまれな症例報告をする予定にもなっていて、その応援も兼ねての参加だった。他施設から出された症例も色々と興味深いものがあって大変勉強になった。症例検討の後には川崎医大循環器科のY川教授の弁膜症に関する教育講演もあって最新の3Dエコーの画像なども見せて頂いて感動ものだった。研究会が終わった後にみんなで揃ってU枝先生お勧めの屋島にある「わらや」といううどん屋さんに夕食を食べに行こうということになっていたが、U枝先生は研究会の関係の幹事会に残らなければならなくなり、K野医師とS川医師と3人でうどんを食べに行くこととなった。着いてみると店の方から「大変申し訳ありません。18:30オーダーストップなのです」ということで大ショックだった。結構香川県内のうどん屋さんで老舗のようなところはあまり夕食には力を入れていないようだ・・・。ということでそのまま三豊に帰るのも悔しいということで高松市内で飲もうということになった。S川医師に色々とお店を教えてもらって餃子やらうどんやら美食三昧で楽しい時間を過ごすことができた。三豊に帰ってきてからもK野医師と近くの居酒屋に飲みに行こうということになって研修医のK合医師とO谷医師も呼んで一緒に閉店のA.M.2:00過ぎまで飲み明かすこととなった。今日登場した先生方は皆独身であり、彼らのその底知れぬパワーを感じた・・・。

6月11日(金)晴れ 夕方仕事を終えてから地域医療部のバーベキューパーティが病院近くのI宮公園で開かれた。P.M.6:00からだったが、結局お肉にたどり着いたのはP.M8:00をすでに回ってからだった。残り物に福ありと考えて行ってはみたものの残念ながら時すでに遅しといった感があった。保健婦さん達が消えかかった火を再び強めてくれて私一人のためにお肉を焼いてくれて嬉しかった。咽喉が乾いていたので氷で冷やされた缶ビールもすごく美味しかった。この会は家族同伴OKということでO比賀先生も日頃は別所帯となっている奥さんと長男のR丸君を呼び寄せて一緒に参加しておりとても楽しそうだった。全体的にとてもFamilialな会で和気藹々としていてとても楽しかった。三豊に来てからはこうやって家族ぐるみでの集まりというのは半分以上諦めていたこともあってさすがは地域医療部と見直してしまった。さてお腹も一杯となったところでさあ病棟に戻って仕事・仕事・・・・。

6月10日(木)晴れ 今日の午前中はS脇部長とマンツーマンの胃内視鏡検査となった。いつもは防衛医大出身のI井先生が一緒に研修されていて3人体制で検査を進めているのだが、今日のような状況はさすがにいつも以上にピーンと張り詰めた雰囲気の中で緊張のしっぱなしであった。午後は仁尾町と観音寺市内へと在宅往診を済ませた後心カテに入ったのだが、ここでも何とU枝先生2人で検査に入ることとなり、またまた大緊張してしまった。U枝先生の無駄のない迅速な動きになかなかついていくことができずおろおろとするばかりでちょっと恥ずかしい感じだった。検査がP.M.5:00前に終了してさあ病棟回診だと思っていたら何と緊急入院が当たってしまった。右肺胸水と右中・下葉の無気肺の患者さんが受け持ちとなった。これから色々と精密検査を進めていかなければならない。慌しくP.M.6:30からは循環器カンファレンスがあり、これを済ませてからの遅い病棟回診となってしまった。中4病棟でカルテを書いていると病棟の看護婦さんから急に胸がしんどくなったという患者を診て欲しいと依頼を受けた。主治医の先生が見つからないとのことだった。主治医が見つかるまでは万全を期して可能な限り対応を・・・とレントゲンや血ガスなど色々と可能な範囲で精査してみた。幸い症状は軽減して大事に至ることはなかったため何とかその場を凌ぐことができてホッとした。これが急性心筋梗塞だったり肺梗塞だったりすると目もあてられないことになってしまう・・・。今日はいつもとはちょっと違った緊張感の中で少しお疲れモードである。早く寝てenergy chargeをしなければならない・・・。

6月8日(火)晴れ 今日の午後気管支鏡検査の後にCTガイド下生検という手技を見学させて頂いた。肺の後ろ側の肋骨のすぐ裏にある病変に対する病理組織採取法の一つなのだが、気管支鏡検査では病変が末梢にありすぎて鉗子がそこまで届かないためにこのような方法を採るわけである。肺を包んでいる胸膜を突き刺して病変に到達するのだが、気胸などは合併症としても少なく、あってもその突いた針で空気を抜いてあげるだけで良くなる程度のものだということだ。これまで高知県立中央病院でも何度か施行されて耳にしてはいた言葉なのだが聞くと見るのでは全然印象が違うものでなかなか強いインパクトがあった。夕方消化器科カンファレンスに出ているとポケベルが鳴って訪問看護婦さんからだった。先日I川先生の代わり往診に行ったお年寄りが再び発熱して調子がよくないとのことだった。カンファが終了してすぐに往診へと向かい、点滴と採血を施行してきた。データもやはり芳しいものではなく水曜日往診担当のN津に申し送りをして明日改めて診察して頂くこととした。在宅往診の連携もこういったところで威力を発揮するのである。往診看護婦さんもいつでも点滴に行きますよと言って下さるし在宅医療の充実ぶりを改めて実感させられてしまった。ただ往診先の家を出る時に車の助手席に乗り込もうとして暗闇のために側溝に右足を滑らせて転んでしまった。お陰で白衣は泥まみれになり、靴下は濡れてしまって右手に軽い擦り傷を負ってしまった。帰院後に地域医療部でイソジン消毒をしてもらった。イソジンが久しぶりに身にしみて痛かった・・・。

6月7日(月)雨 今日は午前8:15から循環器科抄読会があるために早起きして病棟回診へと向かった。月曜日は休み明けでいい加減朝が辛いのであるが何とか今のところ出席できている。午前中胃カメラに入っていたのだが、検査の後半になって外来から緊急で胃カメラの検査が入った。ここ1ヶ月くらい食欲がなく胃部に不快感があるという患者さんだった。検査にて胃に大きな潰瘍ができており、このために食事が摂れなくなっていることが判明し本日そのまま入院となった。胃カメラに立ち会った関係もあってか私の受け持ちとなり、今後何とか栄養状態を改善して元気になって退院してもらえるように努力していかなければならない。夕方には定例の呼吸器カンファがあったがいつもより症例が少なく1時間程度で終了した。今夜は早く夜の病棟回診ができていつもより早く帰宅できてラッキーだった。朝が早かったので今夜は早く寝よお〜っと。おやすみなさ〜い。

6月5日(土)曇り 今日は午前中病棟回診を済ませて午後日本循環器学四国会地方会の教育講演を聴きに高松に行った。心エコーの権威といわれる大阪市立大のY川教授が来られて講演をなさっていたが虚血性心疾患における心エコーの果たす今後の役割に関してお話頂いた。何でも心エコーを左冠状動脈の前下行枝に合わせそこにドップラーをあてて冠動脈内の血流をみるというものである。収縮期と拡張期の波形かあり、注射によって心臓に負荷をかけると血流の波形が正常と前下行枝に狭窄のある患者さんとに有意な差が出るということを示しておられた。技術的な問題は残るものの負荷心筋シンチよりも感度、特異度いずれにおいても高いデータが示され、コスト的にも大きな違いがあるとのことだった。右冠状動脈や回旋枝については経食道心エコーによって同じ評価ができるとのこと。もしもこの技術が浸透するようになれば虚血性心疾患における心エコーの意義も今以上に高まり、患者さんの負担も軽減されて一石二鳥のこととなりそうだ。なかなか時代は進んできているものだと感心してしまった。

6月4日(金)晴れ 今日は朝6時30分に出勤して急いで病棟回診を済ませた。というのも今日は朝から夕方までここから車で約30分のところにある財田町にある診療所の代診業務が入っているためなのである。財田診療所には9期生のN鞍先生が常勤として勤務されており、年に一回のご自身の検診があってその代診として私が派遣依頼を受けたというわけである。実際は三豊総合病院が後方病院ということで私に直接依頼があったわけではないが、内科の他の先生方はデューティーとしての業務がぎっしりと詰まっており、なかなか一日まるまるを不在とするのはキツイものがあって後期研修中で立場的に動き易い私が選ばれることになったようだ。一応地域医療としては9年目という実績も認められてのことだと思うが私自身としても古巣に戻る感じで依頼を受けてとても嬉しかった。うまく利用されているのでは・・・と危惧される方もおられるかも知れないが、診療所ではまた病院とは全く違う雰囲気やリズムがあって梼原病院時代も週1回の四万川への出張診療は一つの楽しみでもあった。期待を裏切らず昨年オープンしたばかりの新しい診療所で高知県では吾川村の大崎診療所レベルの広さがある診療所であった。CTや内視鏡も備えており、いずれは医師2名体制を考えた設計・配置となっている。ISDNを備えたWindowsパソコンが1診の外来に設置されており簡易型のテレビ電話装置がついていた。外来も2診体制まで可能になっており、現在三豊総合病院からも週に1日水曜日の午後だけY井先生とT田先生が交代でこちらに出張診療をなされているようだ。2年前には梼原病院にも町長さん達と一緒に関係職員が揃って施設見学に来ていたらしく、その影響もあってか町役場のすぐ横に設置されて保健・福祉・医療の統合を目指しているとのこと。ここへ送迎してくれた運転手さんもその時に梼原に同行していたようで梼原のことをよく覚えていてくれて何だか遠くに来ているのに世間は狭いものだと感じて嬉しかった。この診療所設立にも梼原の取り組みが十二分に活かされているのかと思うと何だか嬉しい気持ちになった。日頃の三豊での激しい日々の診療から離れていたせいもあるだろうが今日一日何だかとても気が安らいで楽しかった。勿論外来患者さんも結構沢山来られて忙しかったがやはり自分には地域の診療所が一番似合っているのだろうか・・・?ふと自分を見つめ直す機会に恵まれたいい一日であった。

6月3日(木)晴れ 今日は右下肢第1指趾の動脈閉塞による壊死+蜂窩織炎の患者さんが入院担当となった。先輩のO原先生の親戚の方ということもあって大原先生とミットで先生からも宜しくと頼まれた症例であった。発熱や炎症反応も高く壊死部周囲の皮膚も腫脹しており、抗生剤などにて保存的に治療を続けて炎症がおさまってから手術となる方針である。今後形成外科や血管外科の専門医の先生方と連絡を取り合いながら診療を進めていくことになるが、こういった横の連携のよさも総合病院のもつ強みといったところであろう。今寝たきりのお年寄りも入院患者さんの中にいるのだが、褥創があってこれまでの病院であればほとんどは自分達で褥創管理をしていたのだが、三豊では全て形成外科もしくは皮膚科の医師による毎日の創処置が続けられている。いままでやっていたこととさほどの違いはないようだが新しい治療も色々と取り入れられて褥創治療も進んできている。形成や皮膚科の褥創治療および治療経過を傍から勉強していけるのも各科の連携のよさがあってこそのものだと思う。自分達がやらなければならない処置や治療であるのに他科の先生方にお任せするのは何だか気が引けるのだがそれはそれで三豊では当たり前のことであって何だか申し訳ない気がしてならない。「郷に入れば郷に従え」ということだろうが実にありがたく思われる今日この頃である。午後には心カテの前に在宅往診に行った。今日は定期以外の飛び入りが入っており、急に熱が出て容態が悪くなった患者さんであった。聞くとI川医師にかかっていた在宅患者さんだったようだが、最初にいつものようにI川医師の携帯に連絡が入り、I川医師から訪問看護ステーションの方へと往診依頼の連絡が入ったようである。I川医師は6月1日からS病院に転勤されており、もう三豊の在宅には関係していないのだが、やはり在宅で長く診てもらっていた馴染みの先生だけに頼る気持ちも判らないでもない。電話のあったI川医師が一番びっくり仰天していることなのだろう。往診して風邪をこじらせているようでI川医師の代わりに手厚く診療をさせて頂いた。こうやって携帯電話で医師が飛んで来てくれる24時間体制のシステムはすばらしいものだが医師や看護婦さんの立場としてはなかなか大変な苦労があるのだろう・・・・。

6月2日(水)晴れ 今日内科から整形に手術目的で紹介入院となっている患者さんが朝からおしっこが出ていないということで整形外科の主治医から電話連絡が入り、往診依頼を受けた。寝たきりのお年寄りで手術に備えて尿道バルーンという管が留置されている。さてどうしたことか?と診察してみると下腹部が膨満しているではないか。腎後性のものだと判り早速バルーンを交換してみたところ溢れるように尿が排泄され始めた。バルーンの閉塞によるものだったようだ。すわっ!!急性腎不全か???などとドキドキしながら整形病棟に向かっていた緊張感がさあ〜っと引いてホッとした。地域医療ではよく遭遇することではあるが大病院の看護婦さん達ではあまり頻度が高いものではなかったようだ。夕方P.M.5:30からは定例の内科医局会が開かれた。今週末にある四国循環器学会の予行練習とスライドの最終チェックが行われた。スライドチェックといってもコンピューターの画面をスクリーンに映し出すプロジェクターを駆使したものでこの辺りもさすがに進んでいるなあと感じた。このやり方だとスライドをいちいちチェックが入る度にスライドを作り直す手間が省けて高価ながらもこのプロジェクターは非常に役に立つシロモノなのである。病院医局の持ち物ということでプレゼンテーションの際には遠慮なく使用できるようである。コンピューターがMachintosh派とWindows派に分かれているためにその都度プロジェクターにつなぐコンピューターを入れ替えたり立ち上げたりする手間だけが気になった。今日は循環器科トップ2人の発表原稿が公開された。香川県中循環器科で後期研修していたO比賀医師が絶賛する高度・新しい知見の内容をふんだんに取り入れた内容であった。さすがはU枝先生とM浦先生である。この2人の発表内容を変更させられるだけの発言をされた先生はさすがにいらっしゃらなかった。すごい!!!の一言である・・・。

6月1日(火)晴れ 今日から香川県の自治医大人事によりI川医師に代わってO比賀医師が勤務開始となった。午前中N津先生に連れられて病棟内の挨拶廻りをしている姿を見かけてつい2ヶ月前の自分を見ているかのようだった。昨年一年間後期研修にて香川県中で循環器を勉強していたとのこと・・・。即戦力として早速今週のカテのメンバーにも名前が並んでいた。しばらくは慣れないところで苦労もあるだろうが期待の大きい先生である。午前中は腹部エコーを担当してやっていたがA.M.11:00頃に隣りでやっている心エコーの担当であるT田先生が緊急心カテ検査に呼ばれて続いて検査が進められない状態となり、私が代わって心エコーを施行することとなった。やはりこういった事態があるので日頃からそのつもりでしっかり勉強しておかないと大変なことになってしまう。スクリーニング検査が主体であったために何とか一通り自分なりに所見をつけたものの単独での心エコーは三豊では初めてだったので結構なプレッシャーだった。午後には胃の出口にあたる幽門が狭窄していて食事をもどしてしまうという症例が入院してきて受持ちとなった。S脇部長とのミットということで少し緊張気味だが万全を尽くそう・・・。その後ブロンコファイバー検査につき、夕方消化器カンファといつも通りのデューティをこなした。これで今日の出来事(実際日付は変わっているのだが・・・)はおしまいかと思いきや深夜A.M.1:50に呼び出しがあった。受け持ちの患者さんが呼吸停止となったためである。高齢でもあり、万が一のことがあっても挿管や人工呼吸管理はしないということでインフォームドコンセントを得ており、家族も涙ながらも満足そうにお別れをなされていた。お見送りをして現在A.M.4:00となっている。早く寝なければならないが結構こういう時間帯ではなかなか都合よく眠れないものである。明日の仕事は少しこたえるかも知れない・・・。