「ミオロ」2002年
ワールド・カップの始まる前、WINESCHOLAでは次のワインの会のテーマをワールド・カップにちなんだものにしようという話が持ち上がっていました。フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ポルトガル、アルゼンチン……結構優勝候補になる国はワインの名産地だったりします。なるほどそれなら、例えばフランスが決勝進出ならフランスワインを揃えれば良い、ということで、6月末はなんとなくそういうテーマにしましょうということになったのでした。もちろん、ブラジルとかイングランドとかだと、サッカーは強いがワインは知らない……まあそういうリスクもある程度承知でいたわけで……。
ところがいざ試合が始まると、あれよあれよといううちにフランス、イタリア、スペインといったワインの豊富な国が次々と倒れていくのでした。どうするんだ、もしトルコとか韓国とかしか残らなかったら……。
それで結局、ブラジルとドイツの決勝を前にして、ドイツワインだけでは揃えにくかろうということで、結局それぞれ違う国のワインを持寄ることと相成りました。私の割当はアメリカ物、ということで携帯電話に連絡が入ったのが丁度お店に向かっている途中のことでありました。
場所は銀座の「マンジェ・エ・ボワール・ナガオ」。まずは一本目は上記のブラジルワイン「ミオロ」(ラベル上部の黒帯部分に金色で"MIOLO"と書かれているのですが、スキャンの際消えちゃっています……)。なんとガメ種で作ったブラジルのヌーボーであります。ブラジルでもワインを作っていたとは! しかもそれが日本で手に入るとは! ということで自分が買ってきたわけでもないのにしっかりラベルを頂いてきてしまったのでした。味は文字通
りのボジョレー・ヌーボーの味。軽めのボディでしたが、酸味があるので前菜には合いますね。
私が途中で買ってきたのはカリフォルニアのサンタ・マリアのバイロン「I.O.」97年。シラー77%、グルナッシュ13%、ムールヴェードル8%のカリフォルニアでは珍しいローヌタイプ。しかしそこはさすがカリフォルニア。酸が穏やかで果
実感が強く香りはちょっとむせ返るほど豊か。ガスパッチョと意外と合っていたのがちょっと印象的。もっとも日本語の裏ラベルではしっかり「バイロンI.O.」と書いてあったのだけれど、ラベルを剥がして持ち帰ってみたところどこにもバイロンとは記載されていない。うーん、変だなあ。
メインの鴨に合わせて「シャトー・フィジャック84年」と「シャトー・モンローズ89年」というかなりパワフルな赤が用意されたのですが、それにもまして印象的だったのがこの「ドクトール・ローゼン」85年。リースリング・アウスレーゼということで、まあそれなりにしっかりした甘口の白でしょうと漠然と想像したのですが、いざグラスに注がれてみると、その独特の香りに思わずうっとり。水仙のような、いわゆる白い花の香り、としか形容できないのですが(そもそもどの花がどんな香りかなんて正確に知らないし……)、今まで味わったドイツワインとはかなり印象の違う、実にパワフルなワイン。フィジャックやモンローズと並べて味わってもひけを取らない強さでした。これも自分で買ったわけでもないのにしっかりラベルをもらってきてしまったりして。
ちなみに「フィジャック」は、他のビンテージで飲んだことがありまして、その時は非常にしっかりしたボディの赤という印象でしたが、今回は84年物ということもあり割と線の細い印象。逆に「モンローズ」は今や滅多に手に入らない89年物でしたが、かなり苦渋味がしっかりとしていて濃厚、持参してきた人は押し入れに入れていたので保管状況を心配していましたが、なんのなんのまだまだいける、という感じでした。
さて、次回は何をテーマにすることやら。一度うちで……という話もあるのですが、なぜか企画が上がる度に休日出勤が入ってしまうのでした。今回も仕事帰りの遅刻参加だったし……。