「ブジャール・ペール・エ・フィス・ボジョレー・ヴィラージュ」1976年
WINESCHOLA主催の古酒テイスティング。これが二回目なのですが、前回は参加できなかったので私にとってはこれが初めてになりました。今回のテイスティングは以下の通 り。
Champagne Delamooto Brut NV
1983 Gevrey-Chambetin 1cru la Cazetirs(Philippe Leclerc)
1976 Baujolais-Villages(Bouchard P&F)
1967 Beaune Bressandes Tastevinages(Chanson P&F)
1961 Chambertin Clos de Beze(Pierre Damoy)
83年のジヴレイ・シャンベルタンはかなり紅茶に近い褐色。清澄度あり。甘いプラムのような香り。アルコール感を強く感じました。かすかにムスク香も。ボディはやや控えめですが、余韻が長い。意外と苦味も残っていて強いワインという印象。
驚いたのが76年のボジョレー・ヴィラージュ。色は上述のジヴレイ同様紅茶のような暗褐色で、既に輝きが失われているものの、甘いドロップのような濃厚な香りはジヴレイ以上。浅田飴のような少しハッカが混じったような風味もあって、なによりその芳香の強さに驚かされました。これがあのガメ種から作られているとは! 香りの強さという点では今回のセレクトの中では随一。ただし、その強い芳香は時間が経つと大人しくなり、他のピノ種のものほど長持ちはしませんでしたが……。
76年はブルゴーニュでは割と良い年らしいのですが、なぜか日本では評価が低いとのこと。作り手でかなり違いが出るビンテージなのだそうで、チャートにも「?」の印が見られるとか。エキス分や糖分がかなりリッチに表現され、タンニンも多い。これくらいの古酒になると、ブランデーとウィスキーが似てくるように、セパージュ(品種)を超えた味わいが出てくるものなのだとか。
最も当時は品種のブレンドも結構行われていて、その意味でピノ・ノワールに近いものもいろいろあるそうです。
67年のボーヌ・ブレサンドは、かなり暗い赤褐色で上述のボジョレーよりさらに失光していました。干しぶどうのような香り。渋味は残っているものの、かなりキレが良いという印象。ちなみにこのボーヌ、一本空けてデカンタージュしたところ、たちまちのうちに濁りだしたので、もう一本空けたのだとか。そちらの濁ってしまった物もテイスティングさせていただいたのですが、香りはポートのようで、これはこれでそれなりに楽しめるような気が……。ただし味はややスカスカでしまりがない。実際にその場でコルクを割ってみると、正常な物に比べてこちらの痛んでいた方はかなり隙間が多くなっていました。コルクは自然物なので場合によっては通 気性が良すぎる物もあり、結果そのために酸化が進んでしまっていたというわけ。古酒にはこういったリスクが伴います。たとえ何万も払ったものでも中身は保証されないし、空けてしまったが最後取り返しはつかない。古酒を楽しもうと思ったらこういった事故もあえて楽しんでしまうような度量 が必要だというのですが、う〜ん。
61年のシャンベルタン・クロ・ド・ベーズは、あらかじめ2本用意され、一つは一時間前にデカンタージュ
、もう一つはデカンタージュ なしで直接瓶から注いでテイスティング。普通ボルドーと違い香りがデリケートなブルゴーニュはあまりデカンテーションしないと物の本にはありますが、さてさて……。
デカンタージュしたものは、やや僅かに濁っているように見えるものの、香りに厚みがあり、香りがぐっと迫ってくる感じがあります。味も心なしか膨らみがあるような……。それに対し、瓶から直接グラスに注いだものは、色こそ違いはないものの、濁りはなくクリーンで、香りもシャープ、キリッとした印象。味もややはっきりしているような気がしました。ブラインドではないので、かなり先入観に左右されている気もしますが……。基本的にデカンタージュしたものはエレガントになる傾向があるのだそうです。ワインを用意した海外酒販の方の説明によると、「以前は確かにやってはいなかったが、今はむしろ良いものはデカンタージュした方が良いと考えている。30分程度たつとビタッと来る時がある。瓶から直接注ぐとどうしてもいわゆる馬小屋臭が出てしまう」とのことでした。
次回はブラインドで飲もうということになりました。しかし今回のテイスティングからすると、年代に十年以上の開きがあっても味わいはそれほど違いが出てこないから、かなり難しそうであります。