「スーラ・ディンドリ・シラーズ」2007年



 日本はもとより、アメリカもヨーロッパも何かと元気のない昨今、やはりそれなりに盛り上がっているのは中国かインドか……。環境問題、民族問題等何かと色々あるとはいえ、活気のあることは否定できない。そんな中国やインドのワインって、そもそもどうなんだろう……。
 K先生によると中国は「日本の廉価ワインよりは良い」、インドも「しかり」ということで、さてさて本当か……? まあ日本のワインも原産地統制呼称が定着していない分上から下までかなり差があるので、どこの国がどれだけ良いなどということは一概に言えるものではありませんが、何しろ中国やインドのワインにはあまり馴染みがないし……。
 ということであらためて購入してみたインドのワイン。以前に東京のレストランで、同じくスーラ・ヴィンヤーズのソーヴィニヨン・ブランを飲んだことがあったのですが、何ともピンぼけした味で、決して値段に見合う物ではなかったと記憶しています。しかしそれからもう4、5年経っているし、1回きりでは決めつけられないと、スパークリングの「スーラ・ブリュット・メソッド・シャンプノワーズNV」、白の「スーラ・ソーヴィニヨン・ブラン2008年」、赤の「スーラ・ヴィンヤーズ・ディンドリ・レゼルヴ・シラーズ2007年」を入手。いずれもネットで1,000〜2,000円で購入できるもの。
 先に数名の宴席で開けた「ブリュット」は、意外にしっかりした味わいで、なかなか好評でした。酸味も自然で、なめらかな味わい。「メソッド・シャンプノワーズ」とあるからには、シャンパーニュと同様瓶内2次熟成を行った物ということ。ヨーロッパ物では1,000円台ではシャルマ法が殆どという中で、ここまでしっかりしたスタイルの物があるというのはありがたい話です。品種はトンプソン・シードレス60%+シュナン・ブラン40%というかなり独特のものですが、インドの地ならではの個性が発揮されていました。
 さて、今回開けたのはシラーズ。100%バリック(新樽比率40%)で熟成させたもの。こちらも果実味があり、非常にボディがありながら親しみやすい味わい。オーストラリア・シラーズに近いフルーティなワインで、シンプルな牛肉のローストにぴったりの相性でした。
 スーラ・ヴィンヤーズは、インド西部の都市ムンバイ(ボンベイ)から180キロ北東に離れたナシクの町に位置し、海抜610mの高地にあるため、スペインやカリフォルニアに似た気候。1997年にソーヴィニヨン・ブランとシュナン・ブランが植樹され、2000年に初めてのワインが誕生。インポーター・レポートによれば、フランスでは、パリのカリスマ・ワイン・ショップ「ラヴィニア」がプロモーションし、アメリカにおいてはフランシス・コッポラ、ロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムスが共同経営するサンフランシスコのレストラン「ルビコン」でもサーヴィスされているとか。さらにイタリアでは、バルバレスコのアンジェロ・ガイアが妻と共に経営する輸入流通会社がこのワインを輸入したとあり、実際のところ、味わい以上にそのグローバルな展開活動に興味を惹かれます。手元にある約300ページ・フルカラーの2002年版「世界のワイン」(産調出版)では、「アジア」のページにたった三行のコメントしかないインドワインですが、数年後にはかなり日本にも普及しているかも知れません。



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