「シャトー・ド・ファルグ」89年



 この日は西麻布の「シャヴァル・ドール」にてワインスカラの夕食会。各自一本以上ワインを持ち込むということで、10名の参加者で11本のワインを飲むことになりました。さすが皆さん力を入れて講座を受けた方々ばかりなので、気合いが入ってます。

 飲みながらのメモなのでとても心もとないけど、右からシャンパーニュ「ランソン」のマグナム、ニュージーランドの「ウィンター・ヒルズ・ソーヴィニヨン・ブラン」98年、甘くフルーティーな香りながらすっきり辛口。メオ・カミュゼ「オー・コート・ド・ニュイ・シャルドネ」98年、若いながらしっかりした樽香がいかにも正統派のシャルドネという感じ。私の持ち込んだ貴腐ワイン「シヤトー・ド・ファルグ」89年、丁度タイミング良くフォアグラが出てきたのでこれに合わせる。樹脂香がバランスよくなじんでいて美味。「シャトー・ディルフォール・ヴィヴァン」73年、ボルドーの赤なのにここまで熟成が進むとまるでピノ・ノワールの様な上品な色と香り。現地で5000円ほどで購入されたとか。ブルゴーニュの「ボーヌ・グレーブ」95年、2年前に開けようとしたら「まだ早い」と言われて待つことにしたという逸品。実際、非常に香りが丸くなっていて、バランスが良かったです。カリフォルニアの「カレラ・ジェンセン・ピノ・ノワール」97年、これも私の持ち込みなんですが、前述のボーヌと比べると確かにちょっと早すぎた感じ。一応97年物は早飲みとは聞いていたのですが、ジャムの様な香りが強くこれはこれでおいしいけれどもう少し待っても良かったのかな。サンテミリオンの「シャトー・ベレール」90年、さすがにボルドー黄金の年だけあって独特のまろやかさのある芳香が心地良かったです。ここら辺で二品目のマトダイのグリル。魚ですが赤ワインソースで絡めているのでオーケー。ギガル「コート・ロティ・シャトー・ダンピュイ」96年、いかにもシラー種という趣の酢酸香のあるワインでしたが、味わいはまろやか。チリの「エラスリス・ドン・マキシミアーノ・ファウンダーズ・リザーブ」98年、これは創業者の名を冠するエレガントなワイン。カベルネ・ソーヴィニヨン主体の筈ですがどちらかというとオーストラリアのカベルネ・シラーズブレンドタイプに近い濃厚な味わいでした。カリフォルニアの「ベリンジャー・プライベート・リザーブ」94年、以前に96年物を飲んでかなりきついワインという印象があるのですが、こちらの方は「エラスリス」と比較したせいかかなりまろやかな印象でした。ほろほろ鳥のローストと一緒に頂きました。写 真には写っていませんが、この後カリフォルニアの「レイト・ハーベスト・ナバーロ・リースリング」95年「レイト・ハーベスト・クラウディ・ベイ・リースリング」といった珍しい新世界の甘口ワインのハーフボトルも出されたのでした。
 結構集まるメンバーがばりばりのワイン愛好家ばかりとあっては、選んでくる物もかなり気を使ってしまうのでした。皆さん海外とかに行って珍しい逸品を買ってきたりしているし。上記の「ウインターヒルズ・ソーヴィニヨン・ブラン」なんかも実際にオーストラリアで購入されたものだったりして、現地を目で見てきた人が語るとまた説得力があったりします。私も行く直前まで悩んで、やまやで朝並んで買った「カレラ・ジェンセン」や、秘蔵の貴腐ワインを持っていったのですが、まあバッティングしないだけ良かったかな、という感じ。「ジェンセン」97年は確かにまだ早かった。もう二本持ってるからしばらく寝かせておこう。
 「シャトー・ド・ファルグ」「シャトー・ディケム」と同じくリュル・サリュス伯爵のブドウ園から作られる貴腐ワイン。1472年に「ファルグ」の継承者がリュル家に輿入れし持参金としてブドウ園を持ち込んだのが始まりとされています。持ち込んだはいいけれど、ソーテルヌの何級に格付けされていたか忘れてしまった。名前を覚えているくらいだから一級なんだろう、いやいや覚えてるかぎりその名はなかったような……でもこんな有名なワインが……ということで先生に聞いてみたところ、「シャトー・ディケムは特一級、ファルグは一級でしょう」とのこと。でも家に帰って調べてみると、「シャトー・ド・フアルグが初めて瓶詰めされたのは1943年、それまでは赤ワインが作られていた。従ってこのワインは格付けを受けていない」……ちゃんと調べてから持って行くんだった。80%のセミヨンと20%のソーヴィニヨンという比率も、摘み取り法も同じで、違いは「シャトー・ディケム」が心樽しか使わないのに対し、「ファルグ」が「シャトー・ディケム」に使った樽を使うこと。年間生産量 は「シャトー・ディケム」9万5千本に対し1万2千本というからこれも結構手に入らない代物。うーん、こちらもちょっと早すぎたかしら



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