「ダウズ・トウニーポート」30年
ビアパーティの締めくくりはYさんのイギリスのおみやげ、「ダウズ」の30年物のポート。
ポートはポルトガルの酒精強化ワイン。ドウロ川上流のブドウを原料とし、収穫時にブランデーが添加され、オポルト港から船積みされたものをこう呼びます。ポートという名前は港(ポート)
から名付けられたものかと思っていたんだけど必ずしもそうではないそうで、むしろオポルトという地名から来ているのだそうです。
じゃあなぜイギリスなのかというと、このワインの人気はまずイギリスで定着したから。ワインにブランデーを添加することが考案されたのが1756年。丁度このころ、イギリスでコルクの栓抜きが開発され、皆が瓶詰めのワインを家庭に持ち運びできるようになったわけで、ワインの長期熟成というスタイルはまずはポートから始まったと思っても良いのかも。「刑事コロンボ・別
れのワイン」で、ポートが重要な役割を果たしているのも納得がいきます。
さて、このポートの名前に覚えがあると思ったら、このポートのビンテージ物を以前飲んだことがあったからなのでした。でも澱が沢山出てデカンテーションを必要とするビンテージポートとは違って、こちらはトウニーポート。
ビンテージポートは瓶の中で熟成しますが、トウニーポートは樽で熟成されてから瓶詰めされます。このボトルも右下に「1999年瓶詰め」と記載されています。どちらかというとウィスキーの世界に近い感覚ですね。だから味わいもビンテージポートとはちょっと違います。そもそもトウニーとは「赤味がかったオレンジ色」を指します。実際、澱は殆どなく、ワインの持つ紫色は失われ、むしろ琥珀色に輝いています。ほのかな甘味とアルコールにのった香りのふくらみが実に味わい深いものでした。
アシャーの「優雅なワイン選び」という本には、この違いがさらに詳しく記されています。
「思うに、瓶熟ポートと樽熟ポートでは、遇し方を異にする。名高いビンテージをいただくときは、酒齢にこだわらず、ひたすら未来を占いたくなる。対して、樽熟ポートの魅力の核は、過去にある。だからこそ樽熟ポートは、どんなに感銘の深いポートもかなわぬ
流儀で、心をなぐさめてくれる」
うーん、さすがに説得力のあるお言葉です。