「ターリー・ジンファンデル・オールド・ヴァインズ」99年



 手元にある「カリフォルニアワインの旅」という本には、文字通 りカリフォルニアの珍しいワインが沢山紹介されていて、それこそ「スクリーミング・イーグル」だとか「ハーラン・エステート」とか、数百ケースしか作られないカルトワインのあることを知ったのも、この本によるところが多いのでした。
 その中でも編集部で写真すら手に入らなかったという幻のワインが二本。「マーカサン・シャルドネ・ハドソン・ヴィンヤード」「ターリー・ジンファンデル・ホイットニー・ヴィンヤード」。後者についてのコメントは「ヘレン・ターリーの兄弟のワイナリーが造る傑作。約百年の樹齢のジンファンデルで造るワインはファンの垂涎の的。目印はボトルの下の方についている"Turley"の帯。編集部でも入手不可能」となっています。
 「ハーラン・エステート」は前にロサンゼルスへ行った時、お店にあるとは聞いたものの、一本6万円近いと知って断念したことがありましたが、しかしそれよりも入手が困難なワインなど到底目にすることもあるまいと思ってました。しかし、渋谷東急のカリフォルニアワインフェアで見つけたのがこれ、「ターリー・ジンファンデル・オールド・ヴアインズ」。なで肩の瓶の下の方に、申し訳程度に貼ってある横長のラベル。これって……これって……もしかして? 価格を見ると5,200円。買えるじゃん!
 レア物とされているのは「ホイットニー・ヴィンヤード」と名付けられてるので、単なる「オールド」では違うよ、とも思ったのですが、それでもなかなか目にしない物であることには違いないですね。寝かせて置こうかとも思ったのですが、「ワインスカラ」のパーティが久しぶりにあったので、「ぜひともワインに詳しいメンバーでも驚くようなものを」と思ってしまい結局これを持ち込んで開けてしまいました。
 ジンファンデルは結構シラーとかに似たクセを持つ品種で、決して飲みやすいものではない、というのが正直な印象で、以前にトポロスのジンファンデルをブラインドで当てたのも必ずしも好きな味だったからというわけではないのですが、こちらのジンファンデルはやはりまた少々イメージが違いました。非常に果 実感が強く、まだ若いビンテージなのにひっかかるようなクセが少ない。実際これを飲んでジンファンデルが飲みにくいと思う人はいないでしょう。他の銘柄のジンファンデルなんか、ある人に「腐ってるんじゃない?」とまで 言わしめたことがありますから、それと比べても格段に品質の高いワインであります。



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