「2月の独り言」
この日は四谷ロミーナで行われた粕谷知世さんの「クロニカ」出版記念パーティに参加。粕谷さんは空想小説ワークショップに最近通
い始めた方なのですが、昨年の新潮社ファンタジーノベル大賞を見事受賞、その作品「太陽と死者の記録」は「クロニカ」と改題されて12月に出版されたのでした。作品そのものの感想はこちら。
さて、メンバーでそれを祝おうということになり、連絡係や司会、プレゼント担当等をそれぞれ割り振ったのですが、私はというとワイン係……というか持込みオーケーということなので、それならば作品世界に合うものを、と思ってまず頭に浮かんだのが、チリの「ドムス・アウレア」。なにしろ「クロニカ」は衰退期のインカ帝国が舞台。ペルーとチリは南米繋がりということもあるし、あのラベルに描かれた南米の原住民の絵は結構雰囲気に合ってるかも知れないと思ったのでした。
用意したワインは以下の通り。
右から、「ドムス・プロア・シャルドネ98年」「ドムス・アウレア・カベルネ・ソーヴィニヨン98年」「ステラ・アウレア・カベルネ・ソーヴィニヨン98年」「モンテス・アルファ・シャルドネ2000年」。メインブランドの「ドムス・アウレア」はラテン語で「黄金の家」の意。「プロア」がセカンドワインというのは本にも書いてあったのですが、「ステラ・アウレア」のいわれまでは分かりませんでした。とはいうものの、「ステラ・アウレア」に描かれているのはどう見ても女性なので、写
真の様に並べるとなかなか趣があります。
大森望氏による「ファンタジーノベル大賞」の裏話や、作品を元ネタにした伝言ゲーム(作品の中でも文字を持たないインカ社会の伝達史が重要な役割を果
たします)などなかなか盛り沢山の企画で楽しかったのですが、中でもびっくりしたのが「本の表紙そのままのケーキ」。うーん、こんなことができるんだ! 知らなかったなあ。
想像力が貧困なので、「表紙をデザインしたケーキ」と前もって聞かされていたのにも関わらず、チョコレートクリームか何かで子供の絵でも描かれているのだろうくらいしか思っていなかったのでした。お恥ずかしい限りです。
3時間はあっという間に過ぎ去り、隣の店で二次会に突入。結局私は次の日も昼から飲み会だったので終電で帰ったけど、他の人達は朝まで飲んでたみたい。これから「ロード・オブ・ザ・リング」の先行オールナイトを観に行くという人達もいたし。
2月24日
この日はE氏宅で日本酒の会。昼の十二時に集まっていきなり日本酒で乾杯、そのまま夜まで飲むというかなりハードな飲み会。出された一升瓶は「四季桜・大吟醸生酒」「菊姫・大吟醸生酒」「上喜元・濁り酒」。「四季桜」は非常にフルーティで香りと味に甘味を感じるお酒、「菊姫」は逆にミネラル感というかお米の生硬さを残した造り、「上喜元」はいまだ発泡性を残したまるでシャンパーニュの様なさわやかさ、とかなり三者三様の味が楽しめました。
2月15日は私の誕生日でした。とは言うものの平日なのでしっかり勤務。終業時刻もかなり過ぎたところで、「実は今日は……」と同僚にもらしたところじゃあ祝ってあげようということになり、夜九時過ぎに職場近くの洋食屋さんでささやかながら誕生会。へへ〜ありがとうございやす。このご恩は忘れません。皆様のお誕生日の時にはぜひぜひお礼を。
2月16日は母親と弟と一緒に新宿の寿司屋で昼食会。寿司は弟が好物なのでと気をきかしたつもりではありましたが、腹の調子が良くないらしくしょっちゅうトイレへ……。その後、プレゼントに何でも好きなものを買ってやろうと珍しく太っ腹の弟の気が変わらぬ うちにと、高島屋のCDショップに寄ったのでした。そこでたまたま海外版の「ニーベルングの指輪」全曲、あのパトリス・シェローの物議をかもした 演出の作品がDVDで出ているのを発見。「これじゃ、これが欲しい」とわがままを言う。CDならショルテイ指揮の全曲版を持っているというのに我ながらホントに見るんかな……でも舞台を完全に近代に置き換えたシェロー演出作、日本語版の発売はないと書かれているし……(こういうのに限って買った後からしっかり販売されたりするけど……)。次に高島屋の地下の食品売り場へ行き、伊勢海老の尾頭付きがないかしらと探したのですが、海老はないけどタラバガニがまるまる一匹2000円というのでさっそく買ってしまったのでした。もちろん翌日の自宅パーティ用。他に豚肉など買い込み、家に帰ってからは翌日の料理の準備に取りかかったのでした。
2月17日は自宅で2月生まれの人を招待してのアクエリアス・パーティ。今回私の用意したものは海老のアメリカン・ソースと豚のフルーツ煮込みなど。しかし皆さん結構色々と持ち込んで下さったので、足りないどころか結構余ってしまいしました。翌週は余ったコロッケやハム、パンやチーズだけで十分夕食が間に合ってしまったほど。詳細はこちら。
元ワークショップメンバー4人ほどで集まって「フロム・ヘル」鑑賞会。観たいぞ〜と声を上げたのは私でしたが、時間確認やお店のセレクトは殆どKさんに任せっぱなしでした。まずは有楽町で台湾料理のお店「欣葉 銀座麦酒楼」でお粥ランチと台湾ビールで一服。前の晩は遅くまで飲み会だったので缶
一本で持て余すくらい。1缶700円はちょっと高いか? 何しろランチメニューがデザートまでついて1000円だから……。
帝国ホテルのラウンジでケーキと紅茶など頂いた後、日比谷シャンテで午後1時50分の回へと向かう。映画作品の感想はこちらまで。
上映が4時に終わってから、お店に予約を入れている5時まで、時間が空いたので思わずエノテカのワインショップへ。「見るだけ、見るだけ……」と自分で念を押したにも関わらず、「バニュルス」と「リヴザルト」の1929年物がさりげなく売られているのを思わず指摘されてしまう。「29年? 79年の間違いじゃないですかね?」「昭和29年かな?」「
それにしてもこの価格は……」……。「バニュルス」の61年というのは私も持っていて、それもビンテージの割には買えない値段じゃないんだけど、瓶やラベルはきれいなもので、樽か別
の瓶から移し替えたものらしい。ビンテージポートなんかは瓶で熟成させたものなので、かなりオリもたまっているものなんだけど、こちらの方はそれほどでもないとのこと。見ると「バニュルス」「リヴザルト」共に棚に残っているのは2本ずつくらい。「次来たときになかったら後悔しますよね?」と自分で言ってしまい結局買ってしまった。見るだけって言ったのにもう……。
その後メンバーが一人入れ替わって銀座六丁目の「バンパイア・カフェ」へ。コンセプトはもろ「ドラキュラ」。血みどろの映画の後には、フロア全体が真っ赤で入り口の通
路に赤血球の拡大写真がデザインされているお店は全くグッド・セレクションといえましよう。お通
しなんか棺の形をした黒いお皿に入っていたりして。「生春巻き十字架仕立て」とか、「伯爵のシーザーズサラダ」とか、お料理のネーミングも愉しい。いや、確かに名前だけなんだけれども……。気のせいか店内にはガーリックの香りが漂っていたりして。
飲み足りないぞともう一店舗の候補、「オザミ・デ・ヴァン」系列の串焼きとワインのお店「ヴァ
ンピックル」へと向かいましたが、満席状態。あきらめてその近くのバー「Origin」へ。看板に「フランスワイン200種あり」と書いてあったのに惹かれて入ったのですが、メニューはウィスキーとカクテルばっかり。私はグラスワイン、他の方々がカクテルを頼んだ後、「あのう……外にはフランスワイン200種って書いてあったんですが……」とおそるおそる尋ねると、「あっ、それ、この上の店です」……。
ええいまちがえた! とばかり、一杯そこそこで切り上げて、その上のワインバー「Goutte
d'or」へ。確かにメニューには原語で各種ワインがずらっと。シャンパーニュをグラスでもらった後(しまった銘柄忘れた……)、なるたけ珍しいワインをと思って選んだのが「Domaine
Gauby 2000 Vielles Vignes」。ラングドック・ルーション地域の、なんでも樹齢百年以上のプレ・フィロキセラのカリニャン・ブランの古樹から得られたブドウが入っているとのこと。うーん、そう聞くとなんだかそれだけでありがたい気がするぞ。チーズの盛り合わせもセレクトさせてもらい、充実した週末でありました。また来ねばなるまいな、うん。