「3月の独り言」
以前は土日は外を遊び歩いていたので、日記に書くネタには困らなかったのですが、最近では色々と事情があり、ワイン会以外はなかなか更新ネタも書けない状況にあります。
これではさすがにまずいなあと。というわけで、これからはインドア関係でつらつらと書きつづることにしようと思います。まあそれなりに本を読んだりテレビを観たりはしているわけだし。
<というわけでテレビとかマンガとか……>
今年に入ってからのテレビといえば……大河ドラマ「天地人」。上杉氏に仕えた直江兼続の物語。まあ丁度新潟を担当していたので、仕事でゆかりの地を回ったりもしたので、録画してまとめて観たりしてます。上杉謙信亡き後の、あまり知られていない上杉家の内乱を描いているのがミソで、やはり大河ドラマは、少しマイナーな時代や人物を扱っているものの方が面
白いような。南北朝動乱を描いた「太平記」とか、奥州藤原三代を描いた「炎立つ」とか、応仁の乱を描いた「花の乱」とか……。戦国武将でも、「信長」「秀吉」「家康」「信玄」「謙信」はもはや定番なので、一代で西国一の大名となった「毛利元就」とかが面
白かったですね。
大河ドラマでは、歌舞伎役者とテレビのコメディアンが同じ画面で会話したりするので、中村橋之助演じる元就が「おおお……」とか声を震わせている横で、恵俊彰が「兄者があ〜」と叫んでいたりとか、三田佳子演じる日野富子が「よよよ……」とか舞台風の芝居をしている横で、ルー大柴演じる骨皮道賢が例の調子で「オレは骨皮、道賢だあ〜」と叫んだりとかするので、他のドラマでは見られないような妙な組み合わせが意外と笑えたりして。
さて今回の「天地人」ですが、脚本も音楽もCG制作も女性の方ということもあってか、戦国が舞台でありながら非常にソフトな印象。昨年の「篤姫」が、とかく低視聴率になりがちな幕末・明治初期物の割に、童顔の主人公の成長物語を描くことで成功したので、それを意識したのでしょうが……主人公はとにかく泣き虫という、火坂雅志氏の原作とは似ても似つかない設定。妻夫木聡演じる直江兼続と、その主である北村一輝演じる上杉景勝とは、生涯互いを裏切ることなく全幅の信頼を寄せている間柄……な訳ですが、子供の頃から雪の中をおんぶして歩いたりするのはともかく、いい大人になっても見つめあったり目配せしたりと、妙にアヤシイのであります。これはいわゆる腐女子狙いか……?
他に観ていたのは……ワインコミック原作の「神の雫」。ワイン物となれば当然観ない訳にはいかないと録画しましたが、うーんコミック原作だからと妙にオーバーアクションにしてしまったのは残念。竹中直人登場で思わず「これは『のだめカンタービレ』か?」と思ってしまいましたが、原作はキレイな描線で丁寧に描かれた絵なので、下手にCGとか使わず丁寧に作られた映像で見せるのが正解だったと思います。いっそのことアニメーションにした方が……。ミステリー連作「キイナ」は図書館で数十冊の本を一気読みして、得られた知識で事件を解決……というスタイルがユニーク。別
にそんなに読みまくらなくても構わないようなオチだったりしますが、これはまあドラマ「ガリレオ」の、何かがひらめくと意味なく数式を書きまくるという設定の焼き直しかも知れません。「相棒」は、シリーズ途中で右京さんの肝心の相棒の亀山君が降板してしまい、どうなるものかと思いきや今年に入ってからは3ヶ月間相棒なしで通
してしまいました。最終話で及川光博演じる神戸君が特命課に配属となりましたが、続くのかあ? これからは半年ごとに相手が変わって、「やっぱり特命課は人材の墓場……」というジンクスが定着したりして。そ、それでいいのか……。
なかなか本を読む時間もありませんが、例えば新幹線の往復の間とか、1人宴会(イタリアンとかフレンチとか、和風居酒屋とか、あんまり1人で行かないところに夜遅くふらっと入って酒を一杯やる)とかでは、それなりに本を開いています。
3月に入ってから読んだ本は……「異形コレクション・幻想探偵」(光文社)……昔からお気に入りの井上雅彦編集によるアンソロジー。実はこれに収録されている竹本健治作「羊の王」のオチが……わ、分からない! 実は人から分かるかどうか尋ねられたのがきっかけなのですが、たった数ページのミステリーなのに、オチが全く分からないのでありました。ネットでざっと見ても説明されているところはないし、勢い余って原作者と面
識のある知人にも聞いてみましたが、やはり分からない! 気になる! 誰が教えて!
ワイン関係の本は相変わらず衝動買い。今月だけでも……小飼一至「生涯ソムリエ」、玉
村豊男「100本のボルドーワインのための100皿の料理」、葉山考太郎「クイズでワイン通
」、亜樹直「ノムリエ日記」、佐藤陽一「ワインテイスティング」、青木富美子「映画でワインレッスン」等々……。中でも面
白かったのはベンジャミン・ウォレス「ジェファーソン・ボトルの酔えない事情」(早川書房)
。これはいずれ感想文のコーナーで。
一応仕事関係の本もそれなりに……。ゴールドラット「チェンジ・ザ・ルール」(ダイヤモンド社)、ダベンポート「分析力を武器とする企業」(日経BP社)、「レイバースケジューリング」「販売計画の立て方」「よくわかるこれからの流通
」etc...。うーん、読んだはずなのにあんまり頭に入っていない……。
火坂雅志「天地人」(上・中・下)、字は大きいし文章は短いし、意外とすんなり読めます。思い入れが強かったと作者は書いていますが、筆致は淡々としていてむしろ冷めた視線で登場人物を描いているような印象があります。
3月に購入した本は27冊、読んだ本は15冊くらい。思ったより読んではいますが、思ったより頭に入っていませんね。
漫画もそれなりに。亜樹直/オキモト・シュウ「神の雫(20)」と城アキラ/松井勝法「ソムリエール(9)」は新刊が出るたびに当然ながらチェック。浦沢直樹「プルートゥ(7)」はそろそろ物語も終盤に。イプシロンの物語はノース2号のエピソードほどのインパクトはなかったものの印象的な決着を付けてくれました。山田芳裕「へうげもの(8)」は古田織部を主人公に安土桃山時代を描いた異色作。大河ドラマにならないかな。ならないですかやっぱり。清水玲子「秘密(6)」は、遺体の脳から直接記憶された映像を取り出せるという技術が実現した未来を舞台にしたミステリー・シリーズですが、第一巻・第二巻のまさにミステリとSFの両方のテイストを兼ね備えた傑作群と比較すると、最新刊のエピソードは、良く読み返すと別
に現代を舞台にSF抜きの設定で描いても殆ど成立してしまう話なので、うーんちょっと厳しいところかな。介護という厳しい現実を描いているところは好感が持てますが……。沙村広明「無限の住人(24)」は、「EDEN」(遠藤浩輝)と並ぶ月刊誌アフタヌーンを代表する長編作品。寄生虫の作用で不死の肉体を得た主人公の物語もいよいよ終盤を迎えて盛り上がっています。「EDEN」同様しっかりと決着をつけてくれることでしょう。楽しみ楽しみ。楽しみといえばこの間のワイン会で話題となった諸星大二郎(何故にワイン会で諸星……?)ですが、モーニングに連載の場を移した「西遊妖猿伝」、連載開始から25年目にしてやっと3番目の僕「沙悟浄」の登場であります。雑誌が休刊となっても続いていく手塚治虫「火の鳥」なみの長丁場ですが、こうなるともうとにかくちゃんと大団円に持ってきてもらえるよう祈るしかないですね。