★小川
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人の手が入っていない、まだドロだけで出来た小川、小川とはこんな所。
農家の横を通り、田んぼの畦道を通り、小川のまわりに生き物が育っていくような優
しい命の流れ、それが本当の小川。
うまく出来ているものだ。小石、砂、土、泥の混じった地表に雨が降る。それらは
、雨の雫が寄り集まって小さな流れを作る。その小さな流れが寄り集まって、さらに
寄り集まって、いつのまにか小川の流れとなってくる。
こうして小さな雫が互いに寄り集まってできた、この小川の回りには、生き物たち
の命の流れがある。
そう、理科の野外授業がきっかけだった。なにげなく目にしていた田んぼの光景だ
った。畦道をゆっくりゆっくり歩きながら、温かいお日さまに包まれながら、その小
川に添って小さな生き物をじっと見守ったこと。そうそう、一面に蛙の鳴き声のひろ
がる光景、畦道を歩いて見つけた蛍、そしてスカンポ・・・。
その中で、小川のゆらぎの中を覗き込むと、きれいな水の流れにマツモ、スギモが
揺れていて、一層その水の流れの存在を気づかせてくれた。水の流れを視覚化してみ
せてくれたのだ。流れの厚みや、乱れ、速さを・・・。
その流れとともに生きる小動物、小魚たち。こんな光景の中に身を置くと、不思議
なことに心がドキドキしてくる。生き物たちのエネルギ−が伝わってくるのか、やっ
ぱり命の流れの中で、生き物たちと共に生きていることに改めて気づき、自然に反応
しているような感覚。
ユラユラとゆらぎの中に身を置くことに心地よさを覚える。太陽のあたたかさ、そ
して、川面に写った光のゆらぎ、そのゆらぎに身を任せている自分がいる。
自然の営みは、実にうまくバランスがとれているのだと気づかされる一時である。
人間にとって都合のいい、あるいは都合の悪い面だけを見て、その大切なバランスを
崩していることがなんと愚かなのかと・・・。