東京丸の内ビルの「カサブランカ・シルク」にて、八月末にアメリカに渡るSさんの送別
会第2弾。
前回出席できなかったYさんからSさんへプレゼント。ミニチュアのグラスとデカンター、コルク抜き。世の中には面
白いものがあるんだなあ。
←ワイングラスの脚と比較すると、かなり小さいことが分かりますね。
こちらはフランス風エスニック料理の店で、春巻きなどもメニューにあります。 上げ春巻きに生春巻き、豆腐などの盛り合わせ等つまみながら、さっそく皆で持寄ったワインでブラインドテイスティング。
最初は「ビルカール・サルモン・ロゼ」で乾杯。シャープでドライ。余韻が長いロゼ・シャンパーニュ。
二本目からいきなり赤ワイン。明るく透明な赤で、ベリー系の甘い香り。かなりすっきりしている味だけど、微妙な苦味が……。Sさんは「ピノ・ノワール」だと思うけどそれ以上はわからないとの答え。正解は、「Bruno
Paillard Bouzy 1991」シャンパーニュ地方のピノで、ブルーノ・パイヤールも有名なシャンパーニュメーカー。
三本目はやはり赤。二本目のものよりやや暗い色。味わいもさらに濃い。Sさんは「南フランスのムールヴェードル2001年」と、かなりマニアックな答え。色合いと味わいが南っぽいとのこと。正解は「ELK
COVE VINEYARDS 2002」オレゴンのピノ。確かにちょっとピノ・ノワールとは思えない味の濃さ。
四本目は白。これはSさん自信を持って「キスラー」と回答。Sさん持参の「Kistler
Chardonnay 1997」はカリフォルニアならではの樽香を利かせた白ワイン。甘い香りで酸味は控えめ。濃縮感があります。
五本目は白の甘口。Sさん迷いもせず「ドイツのリースリング、シュペートレーゼ2000年」と回答。ただしビンテージ違い。「Egon
Muller Scharzhofberger Spatlese 1985」。1985年は良いビンテージで、しかもその蔵出しとなると、果
実味が強烈で、ミネラル感もあり、かなり実際よりも若い印象を受けました。
六本目も白ワイン。Sさんの答えは「絶対シャルドネ。ラフォンのムルソー・クロ・ド・ラ・バール 1996年」。上質なバター香はまさにムルソーならではですが、生産者まで当ててしまうとは……。正解は「MEURSAULT-CHARMES
CLOS DE LA BARRE 1998 DOMAINE DES COMTES LAFON」ビンテージ以外はほぼ正解。
七本目は赤ワイン。Sさんは「カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨン1999年……いや、ボルドーのカベルネかな」との答え。やや迷いあり。フルボディの赤なのですが、このボディの強さはヨーロッパの南かアメリカかと悩むのも無理はないのですが。かなり余韻の残る、それでいて膨らみのある味わい。これは実は私が持ってきたもので、正解は「LA
FIRMA 2000」。「タウラジ」でも紹介した、最近注目しているアリアニコ主体の南イタリアワイン。
「WINART 第20号・南イタリア特集」で丸々1ページ使って紹介されていたバジリカータ州のワイナリー「カンティーネ・デル・ノタイオ」。ワイナリーの所有者ジェラルドの祖父は、農業を継ごうとしない息子達ではなく孫にブドウ畑を譲ろうとしたのですが、三人の息子達はそれを無視して畑を分割相続。しかし祖父が夢枕に立ち、自分の行いを恥じたジェラルドの父は、他の兄弟から畑を買い戻し、ジェラルドに渡したといいます。ジェラルドは公証人の父親への感謝の意をこめて、ワイナリーに「ノタリオ」(公証人)という名を付けたとか。「ラ・フィルマ」という銘柄名も、公証人用語である「署名」を意味しています。30年以上の樹齢の高いアリアニコ種から作られる「ラ・フィルマ」は、確かにアリアニコ独特の野性味が抑え目でどこか洗練されていて、カベルネ・ソーヴィニヨンに近い味わいがあります。
八本目の赤ワインは、Sさんによれば「ライトボディだが酸味があり苦味も残る……アルゼンチン?」。正解は「TSUGANE
BEAU PAYSAGE 2001 MERLOT」日本・山梨県のメルロー。これはちょっと難しいかも。
九本目ともなると「酔っ払っちゃってもう分かんないよ」とSさんもそろそろ降参気味。「サンジョベーゼ? ネビオロ? いやイタリアじゃないな……ポムロールかな?」となかなか焦点が定まらない。正解は「SCHIDIONE」イタリアのスーパータスカン。サンジョベーゼでもありボルドー的でもあるというのはいいところついていたんだけど。
十本目はさらに濃厚なワイン。「イタリア? マルケ州? ニューワールドじゃないな……ローヌのシラー100%……コロナスの90年?」。ここら辺になるとかなり誘導尋問的になってますが、正解は「DOMAINE
CLAPE CORNAS 1995」でした。
11本目はこれも濃いめの赤。「アメリカのメルロー……いやカベルネとメルローのブレンドか?」正解は「GALDWELL
NAPA VALLEY 1999」。ラベルに品種名はないのですが、おそらくはカベルネ主体のブレンドでしょう。
12本目……「これは美味い!……ボルドーの上級銘柄? ひょっとしてラトゥール?」。確かに味わい深く、ボリュームとパワーにあふれたワインでした。若干ムスク香が加わり、良い感じて熟成が始まっているよう。正解は「Ch.
Latour 1988」。1988年という、80年代最大のボルドーの当たり年、しかも五体シャトーの一つ「シャトー・ラトゥール」となれば、飲めるだけでもうれしいというものです。
13本目……「これもめちゃめちゃいい! ボルドーのカベルネ、メドック……サン・ジュリアンか……ポイヤック? ラフィット? 古いのかな……85年? いや、75年!」 確かにその前の88年ラトゥールよりも熟成間はあるけれど、それほど古いとも思えない、みずみずしさの残る味わい。正解は「Ch.
Latour 1967」。同じもののビンテージ違い。非常に状態の良いもので、とても四十年近く前のものとは思えなかったです。ラトゥールはビンテージに限らず安定した出来栄え、とは良く言われることですが、しかしそれにしても凄かったです。
←「Ch. Latour 1988」 ←「Ch.
Latour 1967」
14本目はデザートワイン。Sさんは「バルザックのソーテルヌ」と回答。正解は「Ch.
Dorleac Sainte-Croix-du-Mont 2000」。サン・クロワ・デュ・モンは川を隔ててソーテルヌとは反対側にある甘口ワインの生産地。ワインの講習会では必ず習う地域ですが、飲むのはこれが初めてでした。
それにしてもSさんの銘柄当ては正直かなりのもの。しばらくいなくなってしまうとこういったお遊びもできなくなるなあと残念がることしきり。いやいや年末には良いワインを持参して帰ってきてもらわないと。