「ルイス・フェリペ・エドワルズ・カルメネール」1998年
知人宅で3,000円ワインの試飲会を開くことに。前回は2万円から2千円までのワインを集めて比較試飲したのですが、今回は同じ価格帯でどこまで楽しめるかがテーマ。私とH氏がワインの調達係。ちなみに私の用意したワインは以下の通
り。
A)ルネッサンス 98年 (浦安ブライトンホテルNET販売 \3,000) U.S.A., Oregon,
Sierra Foothills, Renaissance Vineyard & Winery; Alc.12.5%(赤)
B)シヤトー・レゾルム・ド・ペズ99年 (新宿やまや酒店 \2,980) France, Bordeax,
Medoc, St.-Estephe ; Alc.13.0% Crus Grands Bourgeois; Cabernet Sauvignon 55%,
Merlot 35%, Cabernet Franc 10%(赤)
C)ポール・ブルーノ98年 (新宿京王 \3,000) Chile, ; Alc.14%未満(赤)
D)クラウディ・ベイ・シャルドネ2000年 (渋谷東急 \3,000) New Zealand, Marlborough
; Alc.15%未満(白)
E)シヤトー・メルシャン・長野シャルドネ2000年 (渋谷東急 \2,500) メルシャン株式会社勝沼ワイナリー製造
; Alc.12%(白)
H氏の用意したワインは以下の赤ワイン4種(Hさん〜、全然3,000円じゃないじゃん〜)
F)ルイス・フェリペ・エドワルズ・カベルネソーヴィニヨン・レゼルヴァ99年(\2,000)
G)ルイス・フェリペ・エドワルズ・カルメネール99年(\2,000)
H)シャトー・ルミエール・キュベ・スペシャル95年(\5,000)
I)エル・チェルギ・カベルネ・ソーヴィニヨン2000年(\950)
Aの「ルネッサンス」については先に前のページで説明した通り。
Bの「レゾルム・ド・ペズ」はポイヤックの5級「シヤトー・ランシュ・バージュ」と同じ所有者で、評価が高く月刊誌「THE
WINE」発行者のコーツ氏は格付け4級レベルと評しています。やまやでは他のブルジョワ級よりも安く2,980円で買えたものの、手元のカタログでは6,000〜8,500円と記載されているのでちょっと反則かも。実はこのワインは飲んだことがなかったのですが、同じサン・テステフのブルジョワ級「マルビュゼ」は濃厚で良かったです。
Cの「ポール・ブルーノ」はシャトー・コス・デストゥルネルの元オーナー、ブルーノ・プラッツとシャトー・マルゴーの醸造担当ディレクター、ポール・タリエが、チリの醸造家フェリペ・デ・ソルミニャックと協力し、サンチャゴの近く、アンデス山脈の山麓に設立したワイナリー。プラッツは「現在のチリワインは、醸造家がボルドーやカリフォルニアの物真似をするあまり、チリ本来の葡萄の個性を歪めている」として、ヴァン・ド・プレス(発酵後タンクに残った果
皮・果梗を圧搾して得られるもの)以外はオーク樽による熟成を行っていないとのこと。
Dの「クラウディ・ベイ」はオーストラリアのケープ・マンテルの子会社。フレンチ・オーク樽で熟成させたフルボディの白。
Eの「シャトー・メルシャン・長野シャルドネ」は長野県北信地区と長野県塩尻市のシャルドネから造られたもの。シャルドネは100%新樽発酵の「北信シャルドネ」(渋谷東急で6,000円)が有名。発酵は木樽とステンレスの併用。
H氏も持参したワインについて丁寧な資料を用意してくれました。それによると……
Fの「ルイス・フェリペ・エドワルズ」はチリのコンチャグア・ヴァレーに位
置し、チリの醸造家ソルミニャック氏を主任に、シャトー・ラフィットのディレクター、ジルベール・ロヴァム氏をコンサルタントに迎えているワイナリー。コルチャグア・ヴァレーはネクスト・ナパを狙う高品質なワインを産する地域で、「ビニャス・デ・コルチャグア」にはルイス・フェリペ・エドワルズの他モンテスやモントグラス、ビスケルト、カサ・ラポストル等がメンバーとなっているそうで、このうちモンテスやカサ・ラポストルは飲んだことがあるけれど確かにレベルが高かったです。
Gは同じく「ルイス・フェリペ・エドワルズ」の作るカルメネール。カルメネールはカリフォルニアのジンファンデル同様チリ独特の品種。元々は19世紀半ばにボルドーから持ち込まれましたが、本家では既に耐えているのにチリでは生き続けていたという品種です。
Hの「シャトー・ルミエール」は明治18年創立の日本の老舗ワイナリー。95年はリュブリアナ国際ワインコンクールで金賞を受賞したという、いわば代表的な国産ワイン。
Iの「エル・チェルギ」はボルドーを本拠地とするライマン・ワインズ社のブランドであるモロッコ産ワイン。フライング・ワインメーカーの一人ヒュー・ライマンがプロデュースしたもの。
さて、今回はさすがに9種類もあるので銘柄当ては無理だということになり、それぞれのボトルをブラインドでテイスティングして10点満点で点数を付けて一番人気を選ぶ方式を取ってみました。私は抜栓係となり、一人は途中でリタイア、計8人の評価点を合計して順位 付けした結果は次の通り。
1位)シヤトー・レゾルム・ド・ペズ99年 60点
2位)ルイス・フェリペ・エドワルズ・カベルネソーヴィニヨン・レゼルヴァ99年 54点
3位)ルイス・フェリペ・エドワルズ・カルメネール99年 50点
4位)クラウディ・ベイ・シャルドネ2000年 42点
5位)ルネッサンス 98年 39点
6位)シャトー・ルミエール・キュベ・スペシャル95年 36点
7位)エル・チェルギ・カベルネ・ソーヴィニヨン2000年 35点
8位)ポール・ブルーノ98年 19点
9位)シヤトー・メルシャン・長野シャルドネ2000年 14点
←「シャトー・レゾルム・ド・ペズ99年」
一位になったのはフランスワイン。しかしこれはある意味やまや価格ならではであって、実質的にはかなり他の物より高価格のはず。その意味で驚かされたのは「ルイス・フェリペ・エドワルズ」の2品。しっかりとした苦渋味がありしかもコクも申し分なく、しばらく置いておいても風味が劣化しないどころかむしろまろやかになっていく。チリワインの良質な部分をしっかりとおさえていて、しかも2,000円という低価格。あの「モンテス」と同じく「ビニャス・デ・コルチャグア」に参画していると聞いてある意味納得かも。「モンテス・アルファ」も2,000円という価格ながらかなり水準の高いワインを作っています。二位
については、何と9人中5人がFではないかと答えました。今回カルメネールを初めて飲んだのですが、カベルネと殆ど遜色のない果
実味のあるしっかりとしたボディの赤でした。ううん、やはり結果としてあなどれなかったチリワイン。今度は2,000円価格帯で勝負か……?
4位の「クラウディ・ベイ」は、白ワインということで必ずしも同列に論じるべきではないかも知れませんが……。私も確かピノ・ノワールやソーヴィニヨン・ブランを飲んでいるので、そのレベルは保証できると思ったのですが、中にはやはり樽香が甘すぎる、という意見も。5位
の「ネルッサンス」は、最初に空けたせいもあって、甘い香りが比較的好評だったものの、ボディはやや弱いという印象を持たれたようです。6位
の「シャトー・ルミエール」は「可もなく不可もない。特長がないところがむしろ日本的」という鋭い指摘をした人もいて、9人中5人がHを挙げました。7位
の「エル・チェルギ」はなかなか変わった風味で、カルメネールかモロッコか、と悩んだ人が多かったようです。
散々だったのが8位の「ポール・ブルーノ」と9位の「長野シャルドネ」。前者はピーマンのような青っぽい匂いがかなりきつく、飲みにくいなあという印象。プラッツの「ボルドーやカリフォルニアとは違うスタイルを」という意気込みがかえって裏目に出たのか? という印象。後者は香りが殆ど失われていて味も変。「日本のワインとしてもあまりにひどい」というのが大半の意見でしたが、今にして思うとこのボトルひょっとして劣化していたのではないかと……。一度試飲したことのある私としては、以前にコメントした紅茶に似たハーブの香りが全く感じられず、かなり戸惑ったのでした。「クラウディ・ベイ」と一緒に渋谷東急本店で購入したものなので、そんなに保管が悪かったとも思えないのですが……。
いずれにしても3,000円という価格帯でかなりのバリエーションが楽しめることが分かりました。次のテーマは「魚に合うワイン」ということですが、こりゃまたえらく難しい課題だなあ。