「リースリング・キャビネット・シュロス・ハイデルベルク」93年



 95年の3月、海外出張でドイツへ行きました。その時プファルツ選帝侯の居城だったハイデルベルク城に寄って、そこでしか飲めないという白ワインを飲んだのでした。
 ハイデルベルク城には地下に22万リットルも入る巨大なワインの大樽があることで有名。1751年カール・テオドールの命によって作らた、長さ8.5m、直径7mの大樽は実際にワインで満たされていたとのこと。毎日2000リットルの需要があったそうですから、22万リットルの樽も決して無茶な存在ではなかったのだそうな。この大樽の番人を勤めたのが、宮廷道化師の小人ペルケオ。彼は一日に13リットルのワインを飲んだという大酒飲みで、人から薦められてワインの代わりに一杯の水を飲んだところ、それが原因で死んだと言われています。当時の衛生状態から考えるとあながち嘘とも思えませんね。
 ドイツワインとしては意外と甘さも控えめで、とても飲みやすい。味が気に入って、しかもここだけでの特産品ということで、三本セットを購入。最後の一本を99年の元旦に開けたというわけ。
「どうせドイツに行ったのなら、トロッケンベーレンアウスレーゼでも買ってくれば良かったのに」と言われてしまったけど、ハイデルベルクの閑静な雰囲気と大学広場、哲学者の道とかの思い出になると思ったので。まあそれに、こっちで高級・高価格のワインは現地でもやっぱり高いわけで、それなら地酒を楽しんだ方が良いかなと。
 ワインは旅をさせるなというけれど、そうでなくても日本には決して輸入されないワインというのも沢山あるのだろうしなあ。「この手塩にかけた逸品に船旅などさせられるものか」なんて言い切る頑固な作り手達が結構ヨーロッパには沢山いそうだし。



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