「カスティーヨ・イガイ・グラン・レゼルバ」1970年

 
↑試飲したワインの数々。中央にあるのが「カスティーヨ・イガイ・グラン・レゼルバ」


 都営大江戸線牛込柳町駅からすぐ近くのフレンチ「ル・デッサン」にて、この夏アメリカに渡るSさんの送別 会。今回の趣向は、各自持寄ったワインをSさんにブラインドで飲んでもらい、その銘柄を当ててもらおうというもの。エキスパート試験で2~3問しか間違えなかったという優等生Sさんの実力やいかに。
 一本目はスパークリングワイン。少し甘味があり、酸は大人しい。Sさんの答えは「シャルドネ6割のフランスのクレマン」。正解は……「BERNARD-MASSARD CUREE DE L'ECUSSON BRUT 1998」。なんとルクセンブルクのシャンパーニュ方式で作られたクレマン。ルクセンブルク……さすがに難しい
 二本目は白ワイン。酸は穏やかで、少しボディを感じます。Sさんの答えは「ブルゴーニュ・アリゴテ2002年」。正解は……「MONTAGNY "LES BASSETS" 2002」 。ビンテージは正解で、ブルゴーニュの白という点では当たらずとも遠からず。アリゴテとは少々考え過ぎでしたね〜。
 三本目は白ワイン。ハチミツの香りがして、それに加えてシェリーのような風味も感じられます。Sさんの答えは「ボルドー・セミヨン 1996年」。正解は……「シャトー・ヌフ・ド・パプ2000年」。これは難問でしたね。言われてみればどこか南仏の雰囲気も……。
 次は赤ワイン。色が明るく、不思議と甘いベリー系の香りが。これはさすがに分からないかも。Kさんの持ってきた「トルコワイン」でした。独特の瓶に入っていて、「カッパドキア」と記されています。
  ←トルコワイン
 五本目は少し酸味のある濃いめの赤ワイン。Sさんの答えは「イタリアのマルケ……カンパーニャ? ピエモンテ?(少々悩む)ネビオロで1999年」。正解は「CH. MALECASSE HAUT MEDOC 1997」
 六本目は再びスバークリングワイン。かなりすっきりしていて、非常にシャープな印象。Sさんの答えは「シャンパーニュ、マルヌ、1997年」。正解は「ラミアブル・キュヴェ・レ・メスレーン 1999年」。聞きなれない銘柄ですが、地元で9割以上消費されてしまうものだそうです。「ワイナート」のシャンパーニュ特集でも取り上げられていた逸品。
 七本目は白ワイン。かなりしっかりした樽香を感じます。バターの香りと落ち着いた味わい。Sさんの答えは「ラモネのピュリニイ・モンラッシェ・プルミエ・クリュ・カイユレ 1996年」とかなり細かいもの。さすがにブルゴーニュにこだわりあり。正解は「ラモネ・バタール・モンラッシェ1999年」。やや誘導があったとはいえ、生産者が合っているとは……ほぼ正解に近いのでは……。
 八本目は私の持参してきたワイン。色は赤紫、特徴的な香り。果実的な甘い香りが乗っかり、ある意味自分でも意外な感じ。これは他の人も同感だったようで、「予想していたのと大分違う」という意見が大半でした。Sさんの答えは「イタリアのバローロ 1978年」。果 実味と熟成感を合わせ持つところからイタリアの年代物と思ったのでしょうが、ある意味的を得ています。正解は「カスティーヨ・イガイ・グラン・レゼルバ1970年」
 出来の良い年にしか作られないスペインのリオハ・ワインで、長い間樽で寝かせた後に瓶詰めされる銘柄。かの田崎真也が1995年の世界ソムリエ選手権でフランスのプシェと争ったのがこのワイン。プシェは「リオハ・レゼルバ」、田崎氏は「リオハ・グラン・レゼルバ」と答え、微差で栄光を勝ち取ったのは有名な話。外したソムリエは確かイタリアの年代物と答えたはず。ある意味、これを飲んでリオハワインだと分かるというのは凄いかも。リオハワインはもっと濃くて野性的という印象があるものですから。
 九本目はソムリエのMさんがあえて私の持ってきたものと合わせて出したもの。明るい色調で、しっかりとムスク香がします。Sさんの答えは「ブルゴーニュ・ピノ・ノワール1988年」。妥当な線かなと思いきや、正解は「レバノン CH. MUCAR 1977」レバノンのワイン……? 想像もしなかった銘柄に一同驚きの声を上げる。ボルドー・ローヌ系の品種を使っているそうですが、熟成するとここまで洗練された味になるのか……!
 十本目は酸とタンニンがまろやかな赤ワイン。Sさんの答えは「北イタリアのサンジョベーゼ 1998年」。正解は「アルト・アディジェ ALOIS LAGEDER  メルロー100%」。もうこの辺になると酔いが回って記録もいい加減になってきます。
 11本目は果実味溢れる赤ワイン。Sさんの答えは「カリフォルニアのカベルネ、1999年」。正解は「ナパ・バレーのCORISON 1998年」。これもかなり近い。
 12本目はまさに王道の赤。Sさんの答えは「シャンボール・ミュジニイ1989年」。正解は「ルソーのシャンベルタン1994年」。近い。
 13本目、Sさんの答えは「シャンベルタン1993年」。正解は「ミュジニイ」。近い。
 基本的にブルゴーニュ好きのSさん、王道路線はかなり正確に当てられてたようです。少なくとも変わり種を除くと、大幅に外したものはないみたい。最後にSさん持参の「DRCエシェゾー1995年」を頂く。ムスク香があり、軽やかでなめらか。抵抗感なく喉を滑る感じは確かにピノ・ノワールの正統派の味わい。ホッとさせられます。デザートのバナナのタルトに、シャトー・クリマン1997年を合わせて、盛大に送別 会は締めくくられたのでした。
 とは言うものの、Sさんの渡米は八月。それまでにもう一回集まることになったのでした。「エシェゾー」の次は何を飲ませてくれるのかしら。今から期待大であります。



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