「ポール・ロジェ」88年



 新宿の「グリル・メダリオン」は、結構良く行く店で(とはいうものの、年に二回か三回だけど……)、というのもワインの銘柄とビンテージが揃っている割にはリーズナブルな値段だからであります。
 その程度の客でも、こちらのことを覚えていてくれているようで、「今回はどのシャンパーニュにしますか?」といきなり聞かれてしまった。パターンが読まれている……。「ボランジェ、ってありますか?」「今日は、残念ながら……」「じゃあ、くせのある奴を……」
 といって選んだのがこれ。「ポール・ロジェ」のビンテージ。確かウィンストン・チャーチルが好きで飲んでいたシャンパーニュ。確かテレビでそう言ってたよなあ。それとも店で見たんだっけ。
 飲んでみるとこれが結構甘みがあって果実感が強いのだった。10年置いたにしてはフレッシュでふくらみがある。いつものいわゆる「辛口」シャンパーニュとは違うみたい。
「ぶどうは何を使っているんですか?」
「ピノ・ノワールとピノ・ムニエとシャルドネを三分の一くらいずつ使っています。他のメーカーとは違って必ずしも辛口を追求してはいないんですよね」
 ご丁寧にも、「ここのロゼはあんまりおいしくないんですよ」なんてことまで教えてくれました。ははは。



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