「シャトー・ジュリア」97年



 北海道に出張する機会があったので、その時にたまたま千歳空港で生タラバガニを買ったのでした。滅多にお目にかかれない代物だし、1.2kgで4800円というのは安い! と思い購入、一泊分の荷物(北海道は寒いのでコート付き)にお菓子の手みやげ袋と、ただでさえ荷物が多いのに……。ひいひい言いながら羽田空港に着。しかも新宿にワインを注文していたことを思い出し、バスで新宿三越に行く。赤ワインを二本注文していたのですが、白ワインのテイスティングコーナーで飲んだ白ワインが気に入ってしまい、さらに二本追加購入してしまいました。おかげでバッグと手みやげ袋と箱詰めタラバガニに加えて、計四本のワインを下げたままひいひい言いながら家へ帰ったのでした。
 さて、テイスティングコーナーにあったのは三越でも初めて扱うというギリシャの白ワインとドイツのフランケンワイン。ギリシャの白なんてたかだか2200円、今まで買ったこともなかったけれど、まあそれほどでもあるまいとたかをくくっていたら、これがグラスで飲ませてもらったら思いの外濃厚な口当たり。フランケンの辛口が薄く思えてしまうほど。思わずおかわりをしてしまいました。カニを買ったんでそれに合う物を、と店の人に聞いたら、即座にこのギリシャワインを勧められました。確かに海の近くのギリシャなら、フランスやドイツのワインよりも海産物に合うのは当然のような気がします。
 さっそく次の日、知人の家に行って生タラバを炭火で焼いてこのギリシャワインと一緒に頂いたのでありました。なんでもたまたま三日前に焼き肉用に炭を買ったばかりだとのことで、まさしくグッド・タイミング! 若干生の食感が残る程度に焼いたタラバガニは絶品で、柔らかくほのかに甘みがあり、さすがに東京ではなかなか味わえない物でした。しかもそれにこの白が良く合う! こと海産物に関してはワインとの相性は難しく、シャブリクラスでも下手するとえらく生臭くなってしまうので、日本酒の方が安心できるのですが、このワインは決して互いに風味を引き立て合い、決して生臭くなったりはしなかったのでした。
 それにしてもギリシャのワインがここまで良質だったとは! ワインの世界も今更ながらなかなか奥が深いですなあ。



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