「祈りの島のワイン」



 ワインはもともと日本語で葡萄酒と言われるように、普通は葡萄を原料に作る醸造酒だと思われていますが、厳密な定義はどうなのでしょうか。葡萄の糖分が発酵してアルコールとなり、ワインになるわけですが、葡萄以外の果物でも同じように糖液が得られるわけで、原料は葡萄に限らないはず。
 しかし大英酒類協会の定義によれば「新鮮なブドウの果汁を、その地域の伝統的・慣習的手法によって、その産地において発酵させて得られたアルコール含有飲料」となっており、またマリソン著「ワインと蒸留酒」の冒頭には「ワインとは発酵したブドウ果汁である」とされています。
 ではブドウ以外の果物から作ったお酒はワインではないのだろう、ということになってしまいますが、一方では日本の規格では「果実酒」という分類しかなく、「果実酒」の定義は「果実または果実及び水を原料として発酵させた物(補糖可)」となっており、あくまでワインはその果実酒の代表格となるわけです。ちなみにリンゴを原料としたものは「シードル」と呼びます。
 あくまで正統派を目指すなら、ブドウ以外の果実から作ったお酒をワインと言うなんてけしからん、てなことになるのでしょうか。
 しかしこの「ポンカンワイン」こと「祈りの島のワイン」、九州からのおみやげに頂いたものなのですが、飲んでみてびっくり、これはいかにも正統派の白ワインではないか! と驚いた次第であります。どうしても柑橘から作ったお酒と聞くと、甘みや酸味が強いいかにもジュースっぽいニュアンスを想像してしまいますが、どうしてどうして、酸味は意外と少なく、口当たりは完全に白ワインのもの。ドイツの白の辛口にとても似た印象で、これはまぎれもなく「ワイン」ではないかと納得したのでした。他にも「枇杷ワイン」とかもあったそうです。うーん何だかんだ言っても色々と飲んでみることだなあとあらためて思いました。食わず嫌いはいけませんね。
(全く関係ないけど、フジテレビの「とんねるずのみなさんのおかげでした」の「食わず嫌い」のコーナー、「食わず嫌い」は「食べてもみないでわけもなく嫌うこと」と辞書にもあるのに、あれは単に嫌いな食べ物を当てるのだから、タイトルが違っていないかなあと思うのでした……)



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