「トカイ・5プットニュス」83年
この「トカイ」の貴腐ワインも、いわゆる「試験に出るワイン」の一つでしょう。ハンガリーで造られる、世界三大貴腐ワイン(他にシャトー・ディケム、トロッケンベーレンアウスレーゼ)の一つで、主要品種はフルミント、ラベルにアスーとあるのは「糖蜜の様な」という意味で、貴腐のつかないものは「自然のままに」の意のサモロドニと呼ばれます。選別された貴腐ブドウはプットニュスと呼ばれる26キログラムの背負い桶で運ばれ、これをゲンツィと呼ばれる136リットルの樽にどれだけ加えたかで甘口の度合いが増すことになります。通常は3プットニュスから5プットニュス、上のラベルは5プットニュスとありますが、最高は6プットニュスまで……。どうです、いかにも試験に出しやすそうな用語がいっぱいのワインでしょう。
83年物ともなると、色はまるでウィスキーの様な琥珀色で、紹興酒の様な重い香り、貴腐ワイン独特の甘いながらも滋味感のある口当たり。飲みやすいタイプではありませんが、熟成したボルドーの貴腐ワインが一万円近くするのに比べ、三千円で年代物が買えるトカイワインは極めてお買い得と言えましょう。もっとも食事やデザートにはちょっと合わせにくいかなあ。