「ポール・アンホイザー・クロイツナッハー・クレーテンプュール・アウスレーゼ」89年
久しぶりに横浜の「WEIN」へ。ここではオクトーバー・フェストと称して、ドイツビールの生樽飲み放題が行われていました。
本場ドイツのミュンヘンでも、世界最大のビール祭「オクトーバーフェスト」が行われます。生産量・消費量共に欧州一のドイツならではの祭。それにあやかって、本場の味を楽しませようと、マスター自ら調達したのがラインラントファルツ西端のビットブルクのピルスナービール「ビットブルガー」と、旧東ドイツのバート・ケストリッツ村に1543年に創業したという醸造所で作られる黒ビール「ケストリッツァー」の二つ。前者は「ビッテ・アイン・ビット」のキャッチフレーズで有名なメジャーブランド、後者はゲーテも愛飲したという歴史あるビールだそうです。
日本のビールに慣れている人にとっては、香りが強く味が濃厚で炭酸が弱めなので、少々持て余すかも知れないです。飲み放題といってもそんなに量は飲めませんでした(といっても、一人1.5L以上は飲んでるな……)。しかしこのコク味がドイツビールの醍醐味。苦味が控えめで刺激も少ないから、それこそビール腹に簡単になれそう。日本のビールは発泡酒が出てきてますます薄味・スッキリ味に流れていくので少々淋しい限りですが。「レーベンブロイ」とかおいしいと思うんだけどな、なんで売れないんだろ。やはり「良い物は売れない」わけで、それは結局良い物を知るにはそれなりに忍耐が必要なのと、良い物は少量で満足できてしまうので量や価格を競うことにならないということなんでしょうか。
ビールの飲み放題は二時間で終了、というわけでそれ以降はドイツワインに以降。酸味の強いモーゼル・ザール・ルーヴァーの「ドクトル・フィッシャー」で舌をなじませた後、ナーエの89年物のアウスレーゼへ。
ドイツの「偉大なる年」は、1959年、1971年、1976年、1985年、1989年。これらを選んで置けば間違いない、ということでしょうか。ナーエは最大の生産地ラインヘッセンと有名なモーゼルの間に位置して、その中間的な性格を持っていて、かつそこで最も重要なのがバード・クロイツナッハ村。リンゴの様な香りで、甘いながらもアルコール感があってとてもしっかり訴えかけてくれる味です。
ワインアドバイザーの資格は取ったし、ビールの仕事をするようになったしで、まあある意味今回のドイツビールとドイツワインの夕べの企画はグッドタイミング、でした。