「モンテス・アルファ・カベルネ・ソーヴィニョン」97年



 池袋サンシャインシティの最上階で、「太陽に一番近い葡萄とワインの国」と題して国産ワインの試飲会が行われていたので、Kさんに誘われるまま池袋へと足を運んだのでした。33銘柄中、飲んだことができたのは10種類。アサヒの「カベルネ樽熟」は香りもなじみやすく非常に飲みやすいカベルネ、「プリエール金」は甲州を使用したモーゼルを思わせる甘口。まるき葡萄酒の「新酒デラウェアにごり」は新鮮な葡萄ジュースをアルコールで割ったカクテルのようなフレッシュな味わいで、大和葡萄酒の「紅の露」は鮮やかな赤が印象的なまるで天然のキールを飲んでいるような感じ。塩山洋酒の「大菩薩」は、名前も凄いけど品種も「アリカント」という珍しいものを使っており、こんなものもあったのかと驚いてしまいました。
 二時間ほど飲み続けた後、AさんとAさん(思わず同じイニシャルになってしまったが)と合流し、「くいものBAR KIT COCKNEEL」というお店へ。Kさんがネットで検索して見つけたのですが、ワインとカクテルが沢山あるというので喜ぶ。
 実際、その品揃えは大したもの。「本日のおすすめ」とあった白ワインの「パスカル」が、7時の時点で既にもうないというフェイントはあったものの、「アスティ・スプマンテ」に始まり、イタリアのピノ・グリジォ「サン・アンジェロ」、そしてこのチリの「モンテス・アルファ」と計三本を空けました。
 「サン・アンジェロ」は酸味が少なくボディがあって、まるで日本酒のような感覚で飲める白。非常に料理にあわせやすい、という印象でした。
 「モンテス・アルファ」は既に私らにとってはお馴染みの逸品。「コンチャ・イ・トロ」や「ロス・バスコス」のような有名銘柄と違って何故か「世界銘酒事典」でもちゃんと紹介されていないマイナーな存在だけど、その味は折り紙付きで、結構「エノテカ」や「東急本店」でも見かけることが多いです。以前このワインを2年以上前、当時二万円のムートン、一万円のオーパス・ワンとブラインドで並べて10人くらいで試飲したところ、一番人気はなんと果実感の高いこの「モンテス・アルファ」でした。価格はムートンの1/10だからこれはとってもお買い得なワインなのです。この「KIT COCKNEEL」もこのお酒がお気に入りと見えて、壁に沢山このラベルが貼ってあったのでした。
 新しいビンテージの銘醸品は若干苦味や香りの強さがかえって違和感をもたらす場合もあるので、むしろチリやオーストラリアの苦味が控えめでそれでいてコクのあるタイプの方が充実感があるのもうなずけます。実際、赤は苦手というAさんもこの「モンテス」に関しては文句なし、というわけで、まあこの日はにわかアドバイザーの面目を果たすことができたのでした。
 ちなみにここはオリジナルの料理もなかなか面白くて、「和風ごはん」とあるので何が出てくるかと思ったら、あんかけご飯に明太子とオクラとしめじと生卵がのっかっているもので、なるほどこれは確かに「和風」には違いないけど、一見韓国風にも見えるところがミソかしら、などと思ってしまいました。



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